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健康被害疑い情報、報告義務化へ 「巡る検討会」が方向性固める、医師の診断伴う情報主体に

 機能性表示食品制度の今後の在り方を検討している有識者検討会は8日、機能性表示食品との関連が疑われる健康被害情報の国への報告を事業者(届出者)に義務付ける方向性を固めた。

 医師の診断を伴う、因果関係の疑われる健康被害情報を、症状が重篤か否かを問わず、報告すべきとの意見で一致。報告期限は、健康被害情報の報告を事業者に義務付けている指定成分等含有食品制度など他の制度を参考に、重症の場合は15日以内、それ以外は30日以内の報告を目安とする線が濃厚だ。

 報告義務は法令で規定する方向。義務付けを機動的に実行できる府令や告示で規定する案が出ている。検討会は、小林製薬㈱(大阪市中央区)が販売していた機能性表示食品のサプリメントの使用による腎機能障害の健康被害が消費者に広がった事態に対応するため、制度を所管する消費者庁が先月、立ち上げていた。

 「機能性表示食品を巡る検討会」(中川丈久座長=神戸大学大学院法学研究科教授)は8日午後、3回目の会合をオンラインで開き、健康被害情報の取り扱いをテーマに議論した。現行の機能性表示食品制度で健康被害情報の報告に関する規定はガイドライン(通知)で示している。ただ、報告に法的な強制力はなく、小林製薬の事例では、医師から健康被害の報告を受けてから国に報告するまでに2カ月以上を要した。報告の遅れが健康被害の拡大につながったと指摘する声も上がり、大きな問題になっていた。

 次回の会合はあす10日午後1時からオンラインで開催し、生産・品質管理のテーマで議論する。関係団体からのヒアリングも行う。機能性表示食品のうちサプリメント形状の加工食品について、GMP(適正製造規範)を義務化するかどうかが最大の論点になりそうだ。

報告義務化、機能性表示食品だけ?

 「(健康被害報告の)義務化は規定路線」。健康食品業界関係者からはそんな見方も上がる。一方で、「トクホ(特定保健用食品)や、その他の健康食品(の健康被害疑い情報の取り扱い)はどうするのか」として、機能性表示食品だけ義務化するのでは不公平だとする指摘も。検討会はこの日、サプリメント形状の加工食品に限らず、生鮮食品を含む全ての機能性表示食品に対して報告義務規定を掛ける方向性で意見をまとめた。

 検討会の構成員からは、医師の診断を伴う健康被害情報以外にも幅広に情報収集すべきだとする意見も上がっている。構成員の三浦公嗣・藤田医科大学特命教授は、因果関係がはっきりしない健康被害情報を収集する目的は「早期に事態を把握し、早期に対応することだ」と指摘。その上で、「アドバイザリースタッフの活用も含め、さまざまな情報を幅広く迅速に収集する、いわば『集音マイク』のような仕掛けがあってもいい」と意見を述べた。

 検討会はこの日、前回に引き続きヒアリングを実施。健康食品に関して適切な情報を消費者に伝える資格を持つアドバイザリースタッフの養成機関からも意見聴取した。

 アドバイザリースタッフの1つ、NR・サプリメントアドバイザーを養成する(一社)の日本臨床栄養協会の千葉一敏事務局長は、消費者が健康食品やサプリメントを選択したり利用したりする際に、アドバイザリースタッフに相談することで、「健康被害の未然防止にもつながる」と意見。ただ、その存在があまり認知されていないとし、認知度向上と活用を広げるための施策を国に求めた。NR・サプリメントアドバイザー有資格者は、今年3月末時点で全国に3,488人存在するという。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:検討会構成員全9人の似顔絵)

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