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東洋新薬、ロコモ領域にも進出 【機能性表示食品特集】主力のプロテインとも親和性

 受託開発・製造大手の㈱東洋新薬(服部利光社長)が機能性表示食品の届出サポートを行えるヘルスクレームの領域を広げている。

 先ごろ、「歩行能力の向上」もサポートできるようにした。植物由来の独自素材で対応できるようにしたもので、いわゆる「ロコモ」や「フレイル」の領域にもサポートの範囲を広げた格好。現在、同社の主要な受託開発・製造品目にはプロテインがあり、筋肉・筋力の維持に必要な、たんぱく質の補給目的で需要が増えているプロテインの機能性表示食品化も念頭に入れた動きとみられる。

既存関与成分に新たな機能を見いだす

 歩行能力の向上機能を訴求できるようにしたのは、同社が2000年代から取り扱っている独自素材の「バナスリン」(東洋新薬の登録商標)。ヒト対象研究を新たに実施して機能性表示食品対応素材化させ、筋肉・筋力が関係する同機能のほかに、膝、腰、肩に対する働きを複合的に訴求できるようにした。具体的なヘルスクレームは次のとおり。

 「軽い負荷のかかる日常的な運動と併用することで、中高年の方の加齢に伴い低下する歩行能力の向上に役立つ機能、椅子から立ち上がるときや座るときの膝の違和感を軽減する機能、一時的な腰や肩の負担を軽減する機能が報告されています」。

 バナスリンは、東南アジアなどに生息する落葉高木「バナバ」の葉を原料にした抽出物。機能性関与成分は、「バナバ葉由来コロソリン酸」となる。

 もともと血糖値の領域で届出が進んでいた機能性関与成分だが、筋肉や筋力に及ぼす機能性を見いだし、全く新しいヘルスクレームを行えるようにした。東洋新薬が行った研究によると、同成分は、筋肉の細胞に働きかけ、筋タンパク質合成を活性化し、筋力・筋肉量が維持されることで、歩行能力を始めとする身体機能を維持することに役立つ、と考えられるという。

 機能性関与成分を配合したプロテインを機能性表示食品として届け出る動きが20年以降、見られている。ただ、筋肉・筋力に関連するヘルスクレームを行う届出は限定的だ。今後、バナスリン(バナバ葉由来コロソリン酸)を配合したプロテインが機能性表示食品として届け出されることもあり得る。

表示領域さらに拡大へ 外部からもシーズ募る

 機能性表示食品をめぐる東洋新薬の最近の動きを見ると、バナバ葉由来コロソリン酸がそうであるように、既存機能性関与成分に対して科学的な知見を付加し、新しいヘルスクレームを行えるようにする取り組みが目立つ。

 バナバ葉由来コロソリン酸の他にも、先ごろ、睡眠領域(睡眠の質)で届出が多いラフマ由来ヒペロシド・同イソクエルシトリンについて表示可能な領域を広げた。同社で実施した新たなヒト対象研究に基づき、「精神的ストレスや日中眠気を緩和する」旨のヘルスレクームを行えるようにした。

 また、食事に含まれる脂肪や糖の吸収抑制機能のほか、内臓脂肪などお腹の脂肪とBMIの減少サポート機能で届出件数を大きく伸ばしてきたターミナリアベリリカ由来没食子酸に関しても、やはり同社で実施したヒト対象研究によってヘルスクレームが拡充。食後の尿酸値の上昇を抑える旨の機能を表示し訴求できるようにした。

 同社は現在、機能性表示食品対応素材になり得るシーズを外部の企業や研究機関などから募っている。外部とも協働して届出サポートが可能な素材を増やし、ヘルスクレームの領域を広げていくことで、顧客のニーズに洩れなく応じられるようにする狙いだ。

【石川太郎】

『ウェルネスマンスリーレポート』2023年6月10日号(第60号)より転載

(下の画像:東洋新薬が提案するテーマ別原材料・素材。現時点では機能性表示食品対応素材ではないものも一部含まれる。同社が運用するウェブサイト『原料・素材ナビ』から)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:佐賀県鳥栖市弥生が丘7-28(本部・鳥栖工場)
TEL: 0942-81-3555(本部)
URL: https://www.toyoshinyaku.co.jp
事業内容:健康食品・化粧品・医薬品・医薬部外品の受託製造

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