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植物由来の筋力ケア素材、拡販目指す 【機能性表示食品特集】ニップン、1日当たり摂取量を従来の半分量へ

 製粉大手の㈱ニップン(前鶴俊哉社長)。ヘルスケア事業を通じてサプリメント・健康食品向け原材料の開発、販売も手がける。機能性表示対応素材も複数ラインアップ。そのうち、今後、拡販に乗り出そうとしているのが、筋力や筋肉量に及ぼす有用性を訴求する植物由来の素材だ。ヒト対象研究を新たに実施。従来の半分程度の摂取量でも効果が期待できることを確認した。

ヒト対象研究を新たに 握力の維持機能を確認

 ニップンは今後、機能性表示食品対応素材として以前から販売している「オリーブ果実マスリン酸」の拡販に乗り出す。植物界に広く存在するトリテルペンの一種、マスリン酸(オリーブ由来)を機能性関与成分とするもの。同素材を使用したヒト対象試験論文を採択した研究レビュー(SR)に基づき、現在、次のヘルスクレームを可能とする。

 「マスリン酸は筋肉に軽い負荷がかかる日常的な運動と併用することで、加齢によって衰える筋肉量を維持する機能があることが報告されています」。

 一方、このヘルスクレームを行うには、マスリン酸を、1日当たり60mg摂取できるようにする必要がある。製造方法の見直しや、原料の産地変更などを通じて生産コストを下げる企業努力を進めたことで、以前よりも販売価格は下がっているものの、同様に筋肉への働きを訴求できる化学合成等で生産される機能性関与成分に比べると割高だ。このため、同素材の機能性表示食品市場への広がりが阻まれていた。

 そこで同社は、生産コストをさらに引き下げる努力を続けつつ、より少ない摂取量で同様の有用性が認められるかどうかなどを検証するヒト対象研究(プラセボ対照試験)を実施した。その結果、摂取量を1日当たり30mgまで減らしても、日常的な運動と併用しながら12週間摂取することで、筋肉量の他、筋力(握力)を維持することが分かったという。研究結果をまとめた論文はすでに発表されており、近く、まずは同社として新たな届出を行う計画。「届出が30mgで可能になれば、ユーザーが大きく広がる」と同社ヘルスケア事業部の担当者は話す。

新製品のローズマリーエキス 今後ストレスケア領域で

 ニップンが届出サポートとともに原材料販売を手がけている機能性表示対応素材としては他に、肌を乾燥から守るバリア機能を高める働きを訴求する「ニップンセラミド」(機能性関与成分:米由来グルコシルセラミド/グルコシルセラミド)、血中の悪玉(LDL)コレステロール値を低下させる機能を訴求する「アマニ油」(同:α-リノレン酸)がある。採用実績としては、ニップンセラミドが最も多い。

 そこに、まだしばらく先のこととなるが、昨年発売したばかりの新製品、ローズマリーエキスを加える方向で準備を進めている。

 ローズマリー由来のロスマリン酸(2.5%以上)をはじめ、カルノシン酸およびカルノソール(合わせて4.0%以上)を規格したもの。これら3成分が機能性関与成分となる見通し。機能性に関しては、用量依存的なストレス軽減機能を期待できることが、パイロット臨床試験の他、プラセボ対照臨床試験を通じて確認していると言い、論文発表も済ませている。機能性表示対応素材化でき次第、抗ストレス領域に展開できる、新規の機能性関与成分を求めるユーザーに向けて提案していく計画。

【石川太郎】

『ウェルネスマンスリーレポート』2023年6月10日号(第60号)より転載

(冒頭の写真:マスリン酸のほかN-アセチルグルコサミンを配合した機能性表示食品『貯筋習慣プラス ひざ関節サポート』のパッケージ。届出者はニップン)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都千代田区麹町4-8
TEL:03-3511-5357(ヘルスケア事業部)
URL:https://www.nippn.co.jp/
事業内容:製粉事業、食品事業、ヘルスケア事業、バイオテクノロジー関連事業など

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