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微細藻類や植物抽出物を新たに開発 【九州・沖縄】金秀バイオ、沖縄発素材をグローバル展開

 沖縄を拠点に健康食品の原材料から最終商品まで製造販売を手掛ける金秀バイオ㈱(糸満市西崎町、宮城幹夫社長)。主力製品はオキナワモズク由来のフコイダン。国内のみならずアジアや欧米にも顧客を抱える。この記事では、機能性食品素材(原材料)の開発をめぐる同社の直近の動きに注目、沖縄に由来する2つの機能性食品素材にスポットライトを当てる。

自社工場で培養 パウダー化も

 金秀バイオは昨年、糸満市内の自社工場内で微細藻類の培養を開始した。培養しているのはオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を含有するナンノクロロプシスとラビリンチュラ(オーランチオキトリウム)の2種類。沖縄県を始め東京工業大学、宮崎大学の協力を受けながら培養技術を確立、設備投資も実施した。それぞれパウダー化も自社工場内で行う。

 同社が微細藻類の培養を手掛けるのは初めて。オキナワモズク由来フコイダンに次ぐ柱商材を創出する目的で微細藻類の事業化に着手、およそ6年の歳月を費やして形にした。藻体をまるごとパウダー化するラビリンチュラについては2022年に入り原材料販売を本格化。屋内培養を行うナンノクロロプシスについても、今後の原料販売のスタートを目指し、培養可能量の更なる拡大を進めていく計画だ。

 各微細藻類に含まれるオメガ3脂肪酸を見ると、ラビリンチュラにはDHAが比較的多く含まれる一方、ナンノクロロプシスにはEPAが多いという違いがある。ただ、DHAやEPAの供給源として知られる魚油と比較すると、ベジタリアンなど植物性食品を求める層に訴求できる強みがあるとはいえ、それぞれ含有量は少ない。

 そのため同社では、各微細藻類に含まれるオメガ3脂肪酸以外の栄養素や機能性成分に着目。需要開拓が先行するラビリンチュラについては、培養した藻体を丸ごとパウダー化できる技術を開発した。たんぱく質を始め様々な栄養素や機能性成分を一度に摂取できる「マルチ素材」として市場への提案を進める。一方のナンノクロロプシスに関しても、EPAの他にビタミンからアミノ酸までおよそ60種類の成分を含むホールフーズとして提案していく計画だ。

 「沖縄発」の新たな健康食品素材であることをアピールしながら需要開拓を進める考え。とりわけラビリンチュラは、石垣島で採取された株をもとに培養技術を確立しているため「生まれも育ちも沖縄」と言える素材。ナンノクロロプシスについても、培養技術を確立できた背景には県農林水産部栽培漁業センターの協力がある。

長命草に含まれる機能性成分に着目

 以上、沖縄発の微細藻類が、金秀バイオによる直近の開発素材「その1」。その2は、植物由来素材だ。与那国島産の長命草(ボタンボウフウ)の抽出物(エキス末)を開発し、今年4月、同素材を配合した自社ブランドのサプリメントの販売を開始した。

 この抽出物は、長命草にわずかに含まれるポリフェノールの一種、ジヒドロピラノクマリン類(プテリキシン、イソサミジン)をターゲットに抽出、精製したもの。ジヒドロピラノクマリン類に抗肥満機能があるとする琉球大学熱帯生物圏研究センターの屋宏典教授らによる基礎研究報告に着目して開発したもので、抽出方法を確立していた琉球大の技術指導を受けながら、初めて量産スケールで抽出できるようにした。

 同抽出物にはジヒドロピラノクマリン類がおよそ10%含まれる。安全性に関してはAmes試験、急性毒性試験、28日間反復投与試験を通じて確認。同社では今後、ジヒドロピラノクマリン類を配合した健康食品のOEMにコマを進める計画だ。原材料販売を行うことも視野にある。

(冒頭の写真:培養技術を確立した微細藻類をめぐり昨年3月に行われた記者会見の一コマ。会見に出席した金秀バイオの宮城幹夫社長(写真左)は「沖縄県産素材と組み合わせることで新たな価値を提供できる」と語った。写真提供:金秀バイオ)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:沖縄県糸満市西崎町5-2-2
TEL:098-994-1001
URL:https://www.kanehide-bio.co.jp/
問合わせ:https://www.kanehide-bio.co.jp/contactus/
事業内容:健康食品(原材料、最終製品)の製造・販売

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