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唐木・森下両氏が新型コロナウイルスをテーマに講演

 ㈱ウェルネスニュースグループ(東京都港区)は15日、三生医薬㈱と共催で、健康食品最前線セミナー「ワクチン接種状況と効果 コロナ最新状況と今後の方向性」をオンラインで開催した。
 講師に、東京大学名誉教授で(公財)食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏、大阪大学大学院教授の森下竜一氏を招へいした。また、三生医薬㈱取締役執行役員、健食事業部長兼開発本部長の又平芳春氏がプレゼンを行った。申込者は300人を超えた。

 近年の大きな課題である「COVID-19のワクチン接種の状況とその効果」、報告が相次ぐ変異株をめぐる「最新のコロナ情報と今後の方向性」をトピックに、感染予防対策における「食の大切さ」と「身体の内側ケア」について、そのポイントをわかりやすく紹介した。

 唐木氏は、「新型コロナ感染防止のための情報操作はどこまで許されるか?危機管理とリスクコミュニケーションの立場から」をテーマに講演。コロナの3つの謎として唐木氏は、①4カ月周期、②感染者数の地域差、③人口密度と感染者数の相関を挙げ、「日本も世界も4カ月ごとに流行期を迎えるということから、次の流行期を予測することができる。衛生対策説、BCGワクチン説、ネアンデルタール遺伝子説などさまざまな説はあるが、日本は欧米地域より感染者も死者もけた違いに少ないことから、その幸運を生かして欧米とは違った対策が可能。日本も世界も、感染者数、死者数ともに人口密度と相関する」と話した。
 また、「政府は、国民に正しい情報を伝えて理解と同意を得て協力を求めることをしなかった」として、政府の感染対策基本方針の問題点を指摘した。さらに、リスク管理とリスコミの原則は、「リスク最適化」と「逃げず、隠さず、嘘つかず」だとして、日本は感染者数、死者数ともに欧米より一桁少なく、欧米であれば対策を緩和するレベルだったにも関わらず、悪い情報ばかりで良い情報を隠す傾向にある報道姿勢に苦言を呈した。

 森下氏は「変異株の現状と今後のワクチン開発を含めた可能性、方向性について」をテーマに講演した。ワクチンには、「ウイルスワクチン」、「ウイルスベクターワクチン」、「タンパク質ベースのワクチン」、「核酸ワクチン」がある。森下氏は、「ファイザー社やモデルナ社のワクチンは核酸ワクチンで、少なくとも20のチームが免疫応答を促すコロナウイルスタンパク質に遺伝的指示(DNAまたはRNAの形式)を使用することを目指している。核酸はヒト細胞に挿入され、ウイルスタンパク質のコピーが作成される。これらのワクチンのほとんどは、ウイルスのスパイクタンパク質をコードしている」と紹介した。 
 また森下氏は、「ワクチン2回接種後に、それぞれ差はあるものの発熱や頭痛などの副反応が報告されているが、その症状も個人差はあるが2日程度で収まっている。人口10万人当たりの新規陽性者数を見ると、ワクチン未接種は88.8人、1回接種は25.2人、2回接種が5.4人というデータがある。やむを得ず接種できないケースを除き、ぜひ積極的にワクチンを接種してもらいたい」と話した。
 変異株について森下氏は、「従来の新型コロナウイルスは1人の感染者から1.4〜3.5人に感染したのに対して、デルタ株は1人の感染者から5〜9人に感染した。これは空気感染する水痘(水ぼうそう)と同等で、季節性インフルエンザなどよりも感染力が強い。ワクチン、治療薬の開発で武器は増えるが、今後の変異についても注目しなければならない」と話した。

 視聴者からは、「医療体制の実態はどうなのか」、「11月からの行動制限緩和について」、「コロナの終息時期はいつか」など質問が相次いだ。唐木氏は現状の医療体制について、「日本は2類の縛りで、感染者全員を原則入院にしたことが医療崩壊の恐れを招いている」として、「イギリスと比較して人口当たり感染者が1/5、死者が1/15の日本で医療崩壊と言えるのか。第5波はデルタ株のため感染者が急増し、自宅療養が大幅に増えた。しかし病床使用率は60%にとどまった。医療崩壊は起こっていないにもかかわらず、連日危機が叫ばれ続けているのは“恐怖キャンペーン”の材料に過ぎない」と話した。その上で、「少数の受入れ病院には大きな負担がかかっている。負担の平準化が必要」と指摘した。

 森下氏は11月からの行動制限緩和について、「ワクチン未接種者と接種者が行動を共にすることは時期尚早だが、接種者同士の感染対策を取ったうえでの行動であれば、緩和しても良いのではないか」と話した。また、コロナの終息時期について森下氏は、「当初のアルファ株のままであればすでに終息していたはずで、デルタ株への変異によって感染が拡大し、長期化してしまった。ワクチンの接種状況や治療薬の開発状況にもよるが、これ以上の変異が無ければ来年の中旬ごろには落ち着くのではないか。ただし、さらなる変異が起こることも考えられるし、これから感染が広がりやすい冬を迎えることもある。注視しなければならない」と話した。

 同セミナーは、22日に再配信される。

【藤田 勇一】

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