栄養機能食品制度改正へ 消費者庁の検討会が終了、注意喚起表示はほぼ現行のまま
消費者庁は22日、栄養機能食品に関する検討会を開き、栄養機能食品の義務表示事項である「摂取する上での注意事項」の改正案を示し、了承を得た。現行の規定から大きな変更はなく、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください」など、健康被害を防止するための注意喚起表示が引き続き義務付けられる。
消費者庁、食品表示基準改正に向け手続き
この検討会は昨年度も開催。栄養機能食品における栄養成分の下限値・上限値のほか、機能表示の文言の改正案を取りまとめていた。
それぞれ一定の見直しが入り、例えば、ビタミンDの下限値が現行1.65μgから2.70μgに引き上げられたり、ビタミンAの現行の機能表示文言の一つである「夜間の視力の維持を助ける栄養素です」が「暗所での視力を正常に保つのを助ける栄養素です」に改められたりする。ビタミンKについては、「骨を作るのを助ける栄養素のひとつです」が追加される。(令和7年度栄養機能食品に関する検討会取りまとめはこちら)
22日の検討をもって、予定されていた検討事項の審議がすべて終了。消費者庁食品表示課は今後、栄養機能食品の定義や義務表示事項などを規定する食品表示基準(内閣府令)の改正に向けた手続きに入る。食品表示基準を改正するには、消費者委員会への諮問および答申が必要で、改正基準の施行は答申後となる。下限値・上限値の見直しなどによって製品設計の変更等が必要となることから、一定の経過措置期間が設けられる見通しだ。
機能の表示が可能な保健機能食品の1つである栄養機能食品の制度は2001年に創設。現在、ビタミン・ミネラルを中心とする20種類の栄養成分が食品表示基準で規定されている。栄養機能食品として販売するためには、各栄養成分の含量が同基準に定められた下限値および上限値の範囲内にある必要がある。また、同基準に定められた摂取する上での注意事項などの義務表示事項を表示しなければならない。さらに、同基準に定められた機能表示の文言は、変化を加えたり、省略したりは認められていない。
栄養機能食品は、制度創設以来、栄養成分の機能および摂取する上での注意事項の文言については見直しが行われていなかった。このため、各栄養成分の機能表示文言の土台である「日本人の食事摂取基準」に記載された機能の科学的根拠とのかい離も指摘されていた。こうした背景を受け、栄養機能食品制度の見直しが検討されることになった。
制度改正案の取りまとめまでに開かれた検討会は、昨年度と合わせて計4回。うち1回(令和7年度検討会の取りまとめを行った2026年3月17日)は書面開催だった。
一方、足元では、小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を受けたサプリメントの規制の在り方検討が、食品衛生法を所管する厚生労働省と消費者庁によって進められている。中間とりまとめの段階では、保健機能食品を除外せずにサプリメントを法令上で定義し、その製造・品質管理に関しては原則として、GMP(適正製造規範)の遵守を義務付ける方向性が示されている。錠剤やカプセル剤など、サプリメント形状の健康食品は栄養機能食品にも多い。規制の在り方検討の結果は、栄養機能食品にも影響を及ぼすことになりそうだ。
注意喚起表示の改正点、一部成分名の追記にとどまる
栄養機能食品に表示が義務付けられている注意喚起表示は、①すべての栄養成分に共通する注意事項、②乳幼児・小児に対する注意事項、③特定の栄養成分に対する注意事項──の3つに分類できる。
①について現行の文言は、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください」。22日の検討会で同庁は、すべての栄養機能食品に引き続き表示を義務付けることを提案し、了承された。
②は、亜鉛、銅、マグネシウムの3栄養成分を対象とする注意喚起表示。現行の文言は「乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください」であり、同庁はこれについても引き続き表示を義務付けることを提案し、了承された。この注意喚起文言の趣旨について同庁は「人間の生命活動に不可欠な栄養成分であるという本来の特性を否定する趣旨では全くない」と説明。乳幼児・小児について同3栄養成分は「基本的に通常の食生活で満たされる」ものであり、サプリメント等から「補給・補完する必要性がない」旨を述べているという。
また、②の表示を新たに義務付ける栄養成分は他にないと整理された。その根拠として同庁は、同3栄養成分が栄養機能食品の対象成分に追加された2004年以降、食品安全委員会から乳幼児・小児に対する注意喚起を促す成分は示されていないことを挙げた。
一方、ビタミンDに関しては、それを含む加工食品を摂取している3~17歳の約1%が耐容上限量を超えて摂取しているとの報告が2021年に公表されている。ただ同庁は、「過大申告と思われる回答であっても除外せずに集計した結果であることから、結果の解釈に留意が必要」、「平成30年、令和元年国民健康・栄養調査によると、1~17歳のビタミンD摂取量において、目安量を満たさない者が一定数存在する」として、②の表示の対象外とすることを提案。検討会に了承された。
③は、亜鉛、カリウム、マグネシウム、ビタミンA、ビタミンK、葉酸を対象にした注意喚起表示だ。
現行の規定では、亜鉛については「摂り過ぎは、銅の吸収を阻害するおそれがありますので、過剰摂取にならないよう注意してください」、カリウムでは「腎機能が低下している方は本品の摂取を避けてください」、マグネシウムに関しては「多量に摂取すると軟便(下痢)になることがあります」、ビタミンAについては「妊娠三か月以内又は妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないよう注意してください」、ビタミンKでは「血液凝固阻止薬を服用している方は本品の摂取を避けてください」、そして葉酸については「胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育がよくなるものではありません」の注意喚起表示がそれぞれ義務付けられている。
同庁は、このすべてについて引き続き表示することを提案。そして了承された。
この結果、改正点は、ビタミンAとマグネシウムの注意喚起表示の文言に各栄養成分名を追記するのみにとどまった。これは、複数の栄養成分について注意喚起表示を行う際に配慮したもの。例えば、ビタミンAと同Cについて注意喚起表示を行う場合は、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。妊娠三か月以内又は妊娠を希望する女性は、ビタミンAの過剰摂取にならないよう注意してください」と表示することで、どの栄養成分に対する注意喚起であるのかを明確にさせる。
【石川太郎】
関連資料:2026年6月22日、消費者庁「令和8年度 第1回栄養機能食品に関する検討会」配布資料等はこちら
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