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プロテオグリカン、海外需要高まるか 【機能性食品素材最前線】リーディング企業に動き

 皮膚や軟骨などの生体組織に含まれる糖タンパク質の一種、プロテオグリカン。海洋資源を有効利用して開発された抽出物の登場を受けて、機能性食品素材として利用できるようになってから13年超が経過した。この間、機能性表示食品制度の波にも乗って、一定規模の市場を形成。市場は今後、アジア全域に広がっていく可能性がある。プロテオグリカン素材市場に一番乗りした一丸ファルコス㈱(岐阜県本巣市、安藤芳彦社長)の動きから最前線を探る。

市場拡大の余地まだ、しかし素材市場の競争は激しく

 プロテオグリカンの本格的な商業利用の始まりは2010年まで遡る。同年4月、サケの鼻軟骨から同成分を酢酸で抽出し精製した機能性食品素材「プロテオグリカンF」の発売を一丸ファルコスが発表。弘前大学らが確立した、食品などの用途に適したプロテオグリカン量産技術(特許第3731150号)に基づき、同社が初めて製品化したものだった。

 この製品の登場によって、健康食品などのヘルスケア分野でプロテオグリカンを商業利用していく道が拓くことになる。それまでもプロテオグリカンは生産されていたが、主な用途は実験用試薬。かつ、生産可能量は極めて少量であったため、価格は1グラムあたり数千万円もしたとされる。

 それから13年以上が経った今、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンは、機能性表示食品の機能性関与成分としても活用が進んでいる。

 訴求機能は大きく2つ。ひざ関節のケアと肌の弾力維持だ。現在までに合わせて約140件の届出があり、最終製品販売会社などに対する届出サポートでも先んじた一丸ファルコスが健康食品原材料GMP認証工場で製造する素材が多くの届出製品に配合されている。

 一方で、現在のプロテオグリカン素材市場は一丸ファルコスの牙城とは言えなくなっている。ここ数年で、製法や分子量などが異なる同プロテオグリカンを製造したり供給したりする企業が増え、多くの機能性表示食品に配合されるようになってきたからだ。

 「届出件数は当社の製品を使ったものが最も多い」と同社は語る。機能性表示食品以外も含めた国内健康食品市場全体におけるプロテオグリカン素材市場シェアも依然、同社がトップと推測される。だが、競合製品の追い上げは激しい。それをかわし、さらに差をつけていくために、同社がいま取り組んでいることを知ると、この素材の今後が見えてくる。

美容の側面に改めて光

 プロテオグリカンは今後、美容食品の分野、機能性表示食品でいえば「肌の健康維持」の領域で需要が高まっていく可能性がある。肌に特化した一般消費者向けのプロモーションを、一丸ファルコスが素材マーケティング会社と連携して進めているためだ。

 この動きの狙いについて同社は、「健康食品としてのプロテオグリカンは中高年層を中心に、ひざ関節に良いものとして一定の認知を得ている。一方で、肌に関しては、化粧品に配合されている成分として美容愛好家などに認知されているものの、飲んでも肌に良いものである、ということがあまり知られていない」と解説する。消費者認知の「すき間」を埋めることで、需要の底上げを図ろうとしているわけだ。

 実際、機能性表示食品の届出件数を訴求機能別で見ても、ひざ関節ケアの占める割合が圧倒的に大きい。逆に言えば、肌の健康維持には大きな伸びしろがある。

 同社は天然物を活用した化粧品素材メーカーの国内大手。ひざ関節ケアの方面でも新規需要の掘り起こしを進めながら、同社の強みを発揮できる美容食品市場において、プロテオグリカンのシェアを大きく引き上げる構えだ。

 加えて、プロテオグリカンの市場を東アジアや東南アジアにも広げていく動きを以前から見せている。プロテオグリカン素材リーディングカンパニーのポジションを日本以外でも確立させたい考えだ。美容食品素材で主力の「フィトセラマイド」(米由来グルコシルセラミド)の販売数量が好調に伸びている国もあり、まずは美容や肌の健康維持の側面から需要を掘り起こそうとしている。

【石川太郎】

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