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ビフィズス菌と酪酸産生菌が長寿菌 第7回黒酢研究会で辨野義己氏が講演

 日本黒酢研究会(矢澤一良会長)は17日、3年ぶりの開催となる第7回学術研究会をオンラインで開催した。
 腸やフレイルなどの健康や予防医学に関わる視点からの演目と、黒酢の機能性に関する2題の構成で発表が行われた。招待講演では(一財)辨野腸内フローラ研究所の辨野義己理事長が、腸内細菌研究の現状と健康長寿な社会実現に向けた課題について講演した。

 大腸には多くのさまざまな細菌が存在し、肉食に偏った食生活の影響により腸内のバランスを崩し、大腸がんや潰瘍性大腸がんなどの発症リスクを高める。また、腸内細菌は全身性疾患である糖尿病や高脂血症などの他、腸脳相関によるパーキンソン病や認知症との関連も近年の研究から危険性が指摘されている。

 辨野氏はこうした健康と生活習慣、腸内常在菌との関係性をメタ解析し、9つのクラスターに分類した上でデータベース化。
 「その結果、腸内細菌は男女でも異なり、年代によっても変化することが分かった。長寿のための健康管理には、腸内細菌が重要な役割を果たしているとの認識が必要」とした。
 また、健康長寿者の大便からは平均値を上回るビフィズス菌が見つかっていることから、「ビフィズス菌と酪酸産生菌こそが長寿菌」とし、「酪酸産生菌がつくる酪酸には食物繊維が必要。そのため野菜や海藻などをしっかり取ることが重要だ。さらには食物繊維とプロバイオティクスを取るシンバイオティクスの実践により、長寿菌は効果的に増やせる」と説明した。

社会的フレイルへの対策も(飯島教授)

 東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センターの飯島勝矢教授の演題は「長寿菌がいのちを守る!~健康長寿100歳をめざして」。今後も進行する高齢化社会において重要なのはフレイル予防であるとし、「国や自治体、医学・介護に加えて、産業界も積極的に関与することで、フレイル予防産業を活性化させることが必要」との認識を示した。

 飯島氏は、「虚弱を意味するフレイルというキーワードは徐々に広まってきているが、身体面や心理・認知面だけでなく、独居や孤食、経済的困窮を要因とする社会的フレイルへの対策も地域の健康維持には欠かせない。高齢者は健康からフレイル、要介護へと急な階段を下るように状態が変化していく。その中間であるフレイルの時期にさまざまな介入を行うことで、結果として要介護に至る人を減らすことができる」とした。
 そのために取り組むべきは、栄養摂取と身体活動、社会性の三位一体であるとし、「今後は高齢者の社会参加を促すネットワークやサポートの仕組み作りが必要」と強調した。

 後半の演目では、脂肪細胞分化を抑制する黒酢メラノイジンに関する研究と、壺づくり黒酢の脂肪肝に及ぼす影響に関する研究報告も行われた。

(冒頭の写真: (一財)辨野腸内フローラ研究所・辨野義己理事長 )

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