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ステロイド検出、情報提供がきっかけ 医療従事者が国センの「ドクターメール箱」に

 ㈱香塾(大阪市都島区、大野康行社長)がインターネットで販売していた『ジャムー・ティー・ブラック』と称したお湯に溶かして飲む粉末状のお茶に、ステロイドの一種で医薬品成分のデキサメタゾンが含まれていた問題。そのことを突き止め、12日に公表した(独)国民生活センター(国セン)は、医療従事者からの情報提供を受けて、同品にステロイド成分が含まれないか調べていた。国センが運用する、通称「ドクターメール箱」に今年1月、以下の情報が寄せられたことがきっかけになった。

 「テレビ番組でタレントが絶賛しているのを観て、花粉症によく効くというお茶を通信販売で購入し、21年12月から、4カ月ほど飲んでいたところ、花粉症が劇的に改善したとのことであった。別疾患で通院中であり、定期の血液検査にてACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)といった検査値が低いことから、副腎機能が抑制されていることに気付いた。22年4月にお茶を止めてもらったところ、検査値は速やかに改善した。以上から、お茶に抗炎症・抗アレルギー作用のある副腎皮質ステロイド成分が入っていることが疑われた」。

 この患者は13歳の女性であったとされている。

 国センは情報提供を受け、同一銘柄の商品を購入し、ステロイド成分含有の有無を分析。その結果、1グラム当たり3マイクログラムのデキサメタゾンが検出された。同成分は抗炎症作用を持つ医薬品成分で、アレルギー性鼻炎や花粉症の患者に用いられることもある。

 同品のパッケージには、「一日1~2回、食間にお飲みください」とあった。国センによると、小さじ一杯(約2.5グラム)の同商品を1日2回飲用した場合、デキサメタゾンを15マイクログラム摂取することになる。この量は、同成分を有効成分とする医薬品における15歳未満小児の1日当たり最低量の約10分の1に相当した。

 また、商品パッケージや説明書には、食品の矩(のり)を超えた表示も見られた。「体質を改善するための飲み物です」、「花粉症の激しい症状が緩和され通常生活が可能な状態になると報告さています」、「症状が出た時にだけ飲む(一日に何回でも大丈夫ですが)事をお勧めします」──などと記載されていたという。

大阪市が立ち入り検査実施 自主回収と原因究明を指示

 医薬品成分が検出された事実、医薬品的効能・効果および用法・用量の標ぼう、本人の自覚なくステロイドを飲用し続けてしまう恐れがあることを重く見た国センは、厚生労働省や消費者庁に対応を要請するとともに、社名や商品名を公表して消費者に注意喚起。そして国センが公表した12日、香塾を管轄する大阪市が厚労省の要請を受けて同社への立ち入り検査を実施し、自主回収と原因究明を指示している。

 大阪市の担当課によると、同品はインドネシアのジャワ島で製造されたものであることが確認された。デキサメタゾンが含まれていた理由については「今のところ不明」。これまでの販売数量もはっきりしていない。香塾の大野社長はきのうから行政への対応で追われているという。「商品の販売中止、ウェブサイトにおける表示の削除、市場からの商品の自主回収、それから在庫の処分を命じられている」と話している。同品の売上高についてはノーコメント。また、同区高倉町にある店舗コウジュク(香塾)の代表は、同社の元役員。「商品パッケージも違うし、今は関係ない」(大野社長)という。

 ところで「ジャムー」とは何か。特定の植物などの名称ではなく、インドネシアに伝わる伝統的な薬や食べ物などを総称する概念だといわれる。近年では、「ジャムー」を掲げたサプリメントや化粧品などが現地で販売されているらしい。日本でも、インターネットを中心に、さまざまな「ジャムーティ」が流通しているのを見かけることができる。

【石川太郎】

(冒頭の画像:デキサメタゾンが検出された香塾が販売するジャムー・ティー・ブラック。国セン提供)

関連記事:健康茶からデキサメタゾン検出 国セン、飲用していた人に受診求める

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