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サプリ活用促進を訴える理由 島村大参院議員に聞く「健康寿命延伸に有力なツール」

 「医薬品の役割とサプリメントの役割を明確にした上で、サプリメントのさらなる活用を検討すべき」──第210回国会、参議院・消費者問題に関する特別委員会の第3回質疑(昨年11月16日)において、厚生労働省や消費者庁を相手にそう問題提起したのが自由民主党の島村大参院議員(=写真。神奈川県選出)である。歯科医師。2013年に初当選。厚生行政に強く、第1次岸田政権では厚生労働大臣政務官を務めている。サプリメントの活用促進を訴える理由を聞いた。

──主要政策に健康寿命延伸を掲げています。なぜですか。

島村 世界に冠たる日本の国民皆保険制度を維持するために必要だからです。このままだと制度が破綻する可能性があると医療の現場にいて感じていた。制度を作るのは国。だから立候補したのです。国民皆保険制度を具体的にどう持続可能なものにしていくか。それが私の主要な政策で、制度を守るための1つの大きな柱になるのが健康寿命延伸であるということ。そう訴えて立候補しました。今でこそ当たり前のように言われていますが、健康寿命延伸という言葉が出てきたのはここ10年位のことですよ。

──先の国会の委員会でサプリメントの活用促進の検討を訴えた理由は。

島村 健康寿命延伸のツールとして、サプリメントは1つの大きな柱になり得ると考えているから。もちろん、食育も重要。健康維持のためには毎日の食事が大切であるのは当然です。しかし現代人は忙しく、食事を満足にとれない人も少なくありません。その中でサプリメントは食事を補完できる。ご案内のとおり、社会保障費がかなり厳しいことになっています。社会保障費の自然増をいかに抑えるか。そのために最優先で進めるべき政策は、国民にとっても、国にとっても、プラスになる健康寿命延伸であると考えています。だから健康の維持、あるいは増進が期待できるサプリメントに興味を抱きました。

──委員会の質問では、「いわゆる健康食品」の法律上の位置付けを厚労省と消費者庁に問いました。法律上の位置づけ、つまり定義や法律がないことを疑問視しているのだと私は受け止めました。サプリメントの定義や法律が必要だと考えているのでしょうか。

島村 定義を設けることは可能でしょう。ただ、そのための議論が足りていないのではありませんか? 定義や法律が必要だと言うのであれば、まずは専門家を交えた議論の場を作らないと。国民目線を取り入れる必要もある。海外の制度も参考にしながら、日本に必要なサプリメントの定義を作ればいいと思う。

──そうした議論の場を率先して作ろうと考えていますか。

島村 もちろん。そのための働き掛けをしていきたい。サプリメントなど健康食品を規制する省庁はある一方で、産業として育成する省庁がない。法律上の位置づけが明確でないにもかかわらず、規制だけはしようとする。原因が分かっていないのに健康被害情報を公表するとか、それはおかしいと思う。国民の健康維持増進のためにサプリメントの活用を前向きに議論できる場が必要ではないか。そうした議論の場をどこに作ればいいかと言えば、厚労省、農水省、消費者庁よりも、経済産業省でしょう。サプリメントは医薬品ではありません。そうであれば、医薬品や医療を所管する厚労省は、サプリメントについて議論する場としては馴染まないと思う。一方で経産省には、医療や医薬品の周辺産業であるヘルスケア産業の振興を目指す部局がすでにあります。サプリメントの活用推進に向けて、ここはやはり経産省に先頭を切ってもらいたいというのが私の考え方。

──規制と育成の両方が必要だと。

島村 そうです。育成ばかりでは問題が生じるおそれがあるから規制も必要。両方があって初めて産業として健全に育っていく。先ほども言ったとおり、サプリメントは医薬品ではない。どちらかというと食品に近い。それにもかかわらず医薬品に近い規制ばかりが行われているように思う。これでは産業としてどんどん縮小してしまうおそれがある。医薬品的な規制を国民が望んでいるのかも疑問です。サプリメントなど健康食品の利用率は国民の4~6割に達していると聞いていますが、なにも効果だけを求めて利用しているわけではないと思う。健康を維持するためだったり、モチベーションを高めたりするために利用しているのではないでしょうか。

──だから医薬品の役割とサプリメントの役割を明確にする必要がある。

島村 そういうことです。国民の健康寿命延伸のために、サプリメントをどう位置付けるべきか議論を進める必要があると考えています。と同時に、事業者には、安全性をしっかり確保した商品を継続的に供給できるようにすることを求めたい。

──安全性を担保するには適正な製造・品質管理が求められます。一方でサプリメントには定義や法律がないから、そこさえも国は実質的な関与をしていない。事業者個別の努力に委ねられています。どう思いますか。

島村 事業者や業界だけではできない、というのであれば国に頼るのも1つの考え方。そうするべきだと考えるのであれば、国の関与を求めればいいと思う。ただ、国が規制することで安全性を担保できると言い切れるかどうか。私は、まずは事業者や業界が自ら安全性をしっかり担保することが大切だと思います。自浄作用を働かせるべき。その方が技術の促進にもつながると思う。医療人の立場で言わせてもらえれば、正直、国にはあまり関与してもらいたくない。どうしても規制の方向に傾いてしまいますからね。規制する側の気持ちも分かりますが。

──国民の健康維持増進のためにサプリメントの活用を推進する必要がある。そのように考える議員が他にもいるのでしょうか。

島村 漠然とではあるにせよ、皆、分かっていると思う。実際、サプリメントを利用している人も結構多いですよ。ただ、サプリメントなど健康食品の仕組みを理解している人はまだ少ない。

──サプリメント法を作ることに賛成ですか。

島村 それが必要であるなら。

──サプリメント業界にとって前向きな話に聞こえます。

島村 サプリメントが日本でも発展することを願っています。日本と日本の経済を支えていく1つの大きな力になるといい。健康維持増進のためのツールの1つとして、その他の健康増進のためのツールとコラボレーションしながら発展していく方向に進んでいくとおもしろい。その結果、医療費をはじ始めとする社会保障費が抑制され、国民皆保険制度の維持につながる。そうした政策を進めていきたいと考えています。

──消費者にサプリメントをどう利用してもらいたいですか。

島村 私は歯科医師の立場で約30年間、臨床に携わってきました。その中でしみじみと感じたのは、予防や健康維持が最も大切であるということ。子どもの健康な歯や歯肉を維持するのは親にとって大事な仕事だと思う。しかし、悪くなったらクリニックに行って治療すればいい、と考えてしまう。そうではなく、歯にせよ何にせよ、いかに健康を維持するかという方向に考え方を改めてもらいたい。それが国民皆保険制度を守るための1つの大きな柱になる。その中でサプリメントは、予防や健康維持、増進に寄与できるもの。体質的に合う、合わないがあるでしょうから、ご自身に合ったものをしっかり選び、健康維持増進のために役立てていってほしいと思います。

──健康リテラシーを高める必要があるということですね。では、サプリメントの事業者に望むことは。

島村 国民が安心できる商品を継続的に安定供給できるように努めてほしい。それに尽きます。

──ありがとうございました。

【聞き手・文:石川 太郎】

(下の写真:参議院・消費者問題に関する特別委員会でいわゆる健康食品について質問する島村議員。参院インターネット審議中継をキャプチャ)

プロフィール: 1960年生まれ。85年東京歯科大卒、90年歯科診療所開業(横浜市保土ヶ谷区)、2011年日本歯科医師連盟理事長、13年参議院選挙初当選(神奈川県選挙区)、現在2期目。自民党横浜市連の会長を務める。

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