グミと原材料、GMP義務化巡り温度差 【新開発食品調査部会】適用除外の案にかたや異論噴出、かたや意見なく
消費者庁の食品衛生基準審議会新開発食品調査部会が23日夕に行った今後のサプリメントの規制の在り方を巡る議論は、予定を大幅に超過して3時間超に及んだ。
事務局を務める消費者庁の食品衛生基準審査課が事業者団体や消費者団体へのヒアリング結果を踏まえて取りまとめた、規制の方向性に関する原案をそのまま了承することを多くの部会委員が会議の場で是としなかったためだ。
とりわけ、規制の前提となるサプリメントの定義と、グミをはじめチョコやゼリーなどといった菓子類的な形状のサプリメントにはGMP(適正製造規範)遵守義務を適用しないとの案に異論が集中。GMPではなくHACCPを主体に管理が行われているグミ等(菓子類)の製造現場の実態と実効可能性を考慮し、グミ等の形状のサプリメントに関しては、直ちにGMP基準の遵守を義務化するのではなく、自主的な取り組みを促すとする同課の案に対し、部会委員は安全性確保の観点から疑問視・不安視した格好だ(最終的には原案を概ね了承=24日付既報)。
一方、同課の原案では、サプリメントの原材料に関しても同様に、GMP遵守義務の範囲から除外する方向性が示されていた。これに対して部会委員が意見を述べる場面は3時間超の議論の中では一切見られず、原案をそのまま了承する格好となった。
だが、サプリメントの規制の在り方が検討されるきっかけとなった小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題(2024年)の根本的な原因は、同社が製造した原材料(紅麹)の製造・品質管理にあったと強く推定されている。「グミにとらわれ過ぎだ」。この日の会議をオンラインで傍聴した有識者からは不満の声も上がる。
製造現場の実情と規制のバランス
同課がまとめた規制の方向性に関する原案では、サプリメントの基盤とも言える原材料について、「GMPを遵守する管理体制を一律に求めることは困難」と整理。その理由については、「一般の食品の製造工場において製造されたものを転用している場合がある」ほか、「化成品の製造工程と異なり、植物由来、魚介類由来など天然由来の原材料の製造工程は多岐にわたり、必ずしも、混合、造粒、打錠、充填といった典型的な工程のみからなるものではない」とした。
また、2年間の経過措置期間を経て今年9月1日からGMP基準の遵守義務化が完全施行される機能性表示食品と特定保健用食品のサプリメント形状においても、原材料についてはGMP遵守義務の適用範囲外とされている現状なども理由に挙げた。
その上で、原材料の安全性確保については、「HACCPによる管理を徹底」するとともに、同課が所管する通称「3.11通知」の別添1「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」に基づく安全性確認を「引き続き求めていく」とする方向性を提案。原材料に関しては、製造管理や品質管理などに関する法的な規制を新規に導入するのではなく、引き続き事業者による自主的な安全性点検を求めるにとどめる方向だ。
これに対して部会委員は、部会長をはじめ、誰一人として意見を述べなかった。
他方で、「風味を容易に覚知できる方法により摂取するもの」として、グミやチョコなどの形状のサプリメントにはGMPの遵守を義務付けない方向性に対しては積極的な発言がなされた。
「(GMPに対応できないのであれば)サプリメントとして販売すべきではないと普通であれば考えたくなる」、「グミ・チョコ・ゼリー(形状のサプリメント)で何か問題が起きた時、なぜGMP(の義務)を掛けなかったのかという議論になることを我々は恐れる」、「現実的には妥協が必要だということは理解するが、風味を容易に覚知できるから異常を覚知しやすいというのは疑問」、「美味しいから過剰摂取することもある」、「GMP義務から除外するのが現実的であるのだとしても、いつまでそうするのかをロードマップ的に示す必要がある」──などといった意見が挙がった。
このため、製造現場の実情を考慮に入れた、グミ等の形状のサプリメントをGMP遵守義務の適用範囲から除外する措置は、恒久的ではなく暫定的なものとする方向性がほぼ固まった。他方で、原材料については、規制検討の要因となった健康被害問題の主因領域である一方で、特段の規制は行わず、実質的には現状のままとする原案がそのまま了承される流れとなった。
【石川太郎】
関連資料:令和8年度第1回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会配布資料「サプリメントに関する規制のあり方」は消費者庁のウェブサイトから
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