コロナワクチン副反応議事録を公表 コスタイベ心膜炎1例でα評価、原口氏訴訟は7月30日判決へ
厚生労働省はこのほど、「第111回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」および「令和8年度第1回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」(合同開催)の議事録を公表した。会議は4月22日にWEB形式で開催され、新型コロナワクチンを含む各種ワクチンの副反応疑い報告状況などについて審議した。
定期接種期間の副反応を集計
新型コロナワクチンについては、2025年10月1日~12月31日までに報告された副反応疑い事例を集計対象とした。事務局は、同期間が主として令和7年度定期接種期間前半に当たると説明した。
ファイザー社の「コミナティ筋注シリンジ12歳以上用」について、接種可能延べ人数は330万284回。製造販売業者から13例、医療機関から15例の副反応疑い報告があり、医療機関報告のうち13例が重篤例だった。副反応疑い報告頻度は、製造販売業者報告が0.0004%、医療機関報告が0.0005%とされた。
死亡事例としては、製造販売業者から3例、医療機関から3例が報告された。73歳男性については、mRNAワクチン接種後に呼吸苦が出現し死亡、剖検で「びまん性肺障害及び肺胞出血による呼吸不全」が確認されたと説明された。一方で、報告では製剤名が特定されておらず、企業が自社製品の可能性を考慮して報告したものであることから、因果関係評価はγ評価とされた。
このほか、88歳女性2例、91歳女性1例についても、情報不足や既往歴などを踏まえ、いずれもγ評価となった。73歳女性1例は調査中とされた。
各製剤で死亡事例も報告
モデルナ社の「スパイクバックス筋注」では、製造販売業者から1例、医療機関から4例の副反応疑い報告があり、いずれも重篤例だった。死亡事例は医療機関から2例報告され、96歳女性および94歳女性の症例について、いずれも情報不足等によりγ評価とされた。
第一三共の「ダイチロナ筋注」では、製造販売業者から8例の報告があったが、接種日は集計期間内ではなかった。死亡事例として73歳男性1例が報告されたが、事務局は、コミナティ側でも報告されている症例と同一内容と思われると説明。製剤名が特定できておらず、今後いずれかの報告が取り下げられる可能性があるとした。因果関係評価はいずれもγ評価だった。
Meiji Seika ファルマの「コスタイベ筋注用」については、接種可能延べ人数が6万4,832回で、製造販売業者から2例、医療機関から重篤症例1例の副反応疑い報告があった。報告頻度は製造販売業者報告が0.0031%、医療機関報告が0.0015%だった。死亡事例の報告はなかった。
コスタイベ心膜炎をα評価
一方、心筋炎・心膜炎疑い事例では、コスタイベについて心膜炎疑い1例が報告された。症例は47歳男性で、接種1週間後に胸痛などを訴え受診。臨床症状や検査所見などから心膜炎として鑑別診断が行われた。ブライトン分類は2、転帰は回復、専門家による因果関係評価はα評価とされた。
事務局は、コスタイベの添付文書には既に「重大な副反応」として「心筋炎・心膜炎」が記載され注意喚起済みであると説明し、「追加の対応は不要」との考えを示した。その上で、引き続き副反応疑い報告状況を注視すると述べた。
また、ファイザー製剤では心筋炎疑い2例が報告された。79歳男性と50歳代男性の症例で、いずれもブライトン分類4、因果関係評価はγ評価だった。
新型コロナワクチン全体の副反応疑い報告状況をまとめた資料1-4では、前回部会で「Meiji Seika ファルマ社製剤の報告頻度が他社製剤より高い」と説明されていた点について、今回の直近3カ月データでは「特段高いわけではない」と整理された。事務局は、市販直後調査終了後は副反応疑い報告頻度が低くなる傾向があると説明した。
レプリコン巡る訴訟も継続
こうしたコスタイベを巡っては、Meiji Seikaファルマが原口一博元立憲民主党衆議院議員を相手取り、損害賠償請求訴訟を提起している。同社は、原口氏がSNSや動画配信、書籍などを通じ、「731部隊」、「生物兵器」、「人体実験」などの表現を用いてレプリコンワクチンに関する発信を行ったことで、企業の社会的評価が低下したと主張。一方、原口氏側は、発言はmRNAワクチン行政や薬事行政に対する政治的論評であり、憲法上保護される表現行為だと反論している。
訴訟では、mRNAワクチンの危険性や承認過程を巡る論評の位置づけ、「公正な論評」の成否、社会的評価低下の有無などが争点となっている。2026年2月9日に東京地裁で結審しており、判決は7月30日に言い渡される予定である。
部会「重大な懸念認められず」
質疑では、新型コロナワクチンについて特段の質問は出されなかった。石井座長は、今回の集計対象期間における副反応疑い報告について、「現時点において重大な懸念は認められない」と取りまとめた。その上で、新型コロナワクチンの現状の取扱い変更の必要性について意見を求めたが、異論は示されなかった。
【田代 宏】

