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グルコサミン、成熟市場からどう脱却 甲陽ケミカルはこう取り組む

 関節ケア機能性食品素材の定番、グルコサミン塩酸塩(以下、グルコサミン)の製造販売で国内最大手の甲陽ケミカル㈱(赫珠里社長)。「成熟市場」と表現される国内グルコサミン市場を盛り立てようと、あの手この手を検討している。成熟から脱却し、さらなる成長に向けた扉を開くことができるかどうか。

エビ・カニ由来だけではない

 国内外のサプリメント市場で定番素材化されて久しいグルコサミンの国内市場規模は現在、素材流通量として年間1,100~1,200トンと推計されている。ここ数年の流通量に大きな変動はないとみられ、いわば「なぎ」の状態が続いている格好。商品の市場普及率が高い割合に達した状態を指す「成熟市場」であるがゆえだが、目を凝らしてみると、動きがないわけでは決してないようだ。

 「(複合素材などで)差別化を図りながら販売しているお客様も少なくない。大口のお客様も販売数量を伸ばしている。そのため当社の製造販売量はここ数年、控えめに言っても堅調」。甲陽ケミカルの幹部はそう語り、成熟市場ながらも需要を広げられていると解説する。

 最終製品販売会社のそうした動きが伝播していくことで、国内グルコサミン市場全体のパイは広がる。そのために素材メーカーとして何が出来るか。「お客様の商品に独自性を加えたり、付加価値を高めたりするお手伝いが出来ないかと考えている」と同社は話す。それを実現する手段の1つとして現在進めているのが、エビやカニに由来しないグルコサミンの提案だ。

 同社は昨年、時に「発酵グルコサミン」などと呼ばれることもある、微生物菌体由来のグルコサミンの取り扱いを開始した。サステナビリティ(持続可能性)やプラントベースフード(植物性食品)に対する関心の高まりも受けて、同社として初めてエビ・カニ由来以外のグルコサミンを取り扱い製品ラインナップに加えたかたち。

 微生物菌体由来のグルコサミンは以前から国内外で販売されている。そのため同社は後発となるが、海外の製造元とのコミュニケーションを深め、日本の顧客ニーズに合わせた高品質製品を提供できるようにしたり、ベジタリアンやヴィーガンに関する製品認証の取得に向けた検討をおこなったりといった独自の取り組みを通じて、アレルギー表示が不要となるメリットにとどまらない価値を顧客に提供していきたい、と話す。

もっと魅力的なヘルスクレームを

 この新たなグルコサミン(微生物菌体由来グルコサミン)を、機能性表示食品対応素材として展開していくことも視野に入れている。

 エビ・カニ由来のグルコサミンは現在、機能性表示対応素材として展開。研究レビューに基づき「ひざ関節の動きの悩みを緩和することが報告されています」などといったヘルスクレームを行える。

 しかし一方で、「一般加工食品の場合、エビ・カニ由来である時点で『NG』と言われることが多い」のが現状だという。それを打破し、サプリメントだけでなく、様ざまな一般加工食品にグルコサミンが配合されるようになる可能性を秘めるのが、エビ・カニ由来ではないグルコサミンだ。そのため同社は微生物菌体由来についても機能性表示対応素材化させる道を模索し始めた。

 また、現時点では将来的な構想にとどまるが、ヘルスクレームの拡充も図りたい考え。前述の現行ヘルスレームが初めて届け出されてからすでに5年近くが経過した。新しい風を吹き込む必要がある。

 抗炎症機能によって関節軟骨の分解を抑制すると考察されている作用メカニズムや、骨や血管などに対する有効性も基礎研究などで示唆されていることを背景に、「一般消費者にもっと強く訴求できるヘルスクレームも可能なのではないか。それを実現できれば、グルコサミンの市場を今よりもっと大きく出来る」。同社はグルコサミン市場の今後をそのように展望している。

【石川太郎】

(冒頭の写真:キトサンやグルコサミンを製造する甲陽ケミカルの境港工場。同社提供)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:鳥取県境港市竹内団地217(境港工場)
TEL:03-5244-4235(東京本社)
URL:https://www.koyochemical.jp/index
事業内容:キチン、キトサン、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン等の製造販売

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