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「サラダファースト」を実証 キユーピー、野菜サラダの食後の血糖値上昇抑制要因を明らかに

 キユーピー㈱(東京都渋谷区、髙宮満社長)はこのほど、炭水化物の前に野菜を摂取すると、食後の急激な血糖値上昇が抑制されることが報告されていることについて検証を行った。
 同研究では、この作用が何によるものなのかを明らかにするため、食物繊維にターゲットを絞り、「野菜サラダ」と「野菜サラダの搾り汁」で比較・検討した。その結果、野菜サラダは食後の血糖値上昇を抑制したが、野菜サラダの搾り汁では、その効果が弱まることを確認した。また、その要因が“食物繊維の量”と“噛む・噛まないの違い”にある可能性が示唆されたとしている。
 これらの研究成果を、24日~26日に開催された「日本食品科学工学会 第69回大会」で発表した。

 「市販のごはん」150g、「市販の野菜サラダ」(千切りキャベツをベースとしたサラダ)175g、「野菜サラダの搾り汁」220g(市販の野菜サラダ175gをミキサーで粉砕してから濾過し、水を加えて220gに調整したもの)を用意し、健常男性13人を対象に単回摂取クロスオーバー試験を実施。被験者(前日に一晩絶食)を3つのグループに分け、7日間のウォッシュアウト期間を挟み、①ごはん→野菜サラダ、②野菜サラダ→ごはん、③野菜サラダの搾り汁→ごはんの3種類の食事を、それぞれパターンを変えて、①②③すべて摂取した。

 摂取開始時を0分として、摂取30、45、60、90、120分後に採血を行い、血糖値、血清インスリン、血清トリグリセリドの濃度をそれぞれ測定。その結果、②野菜サラダ→ごはんの順に食べた群が、①ごはん→野菜サラダの群と比較して45分後に血糖値が有意に低い値を示した。②野菜サラダ→ごはんの順で摂取すると、食後の急激な血糖値の上昇を抑えられることが確認できたとしている。なお、血清インスリン濃度・血清トリグリセリド濃度については、3種類の食事間に有意差は認められなかった。

 一方で、③野菜サラダの搾り汁→ごはんの群では、①ごはん→野菜サラダの群と比較して有意差が認められず、血糖値上昇の抑制効果が弱まることが分かった。
 「野菜サラダ」と「野菜サラダの搾り汁」の相違点は大きく2つあり、1つは、食物繊維の量。野菜サラダの食物繊維含量が2.0g/100gであるのに対して、野菜サラダの搾り汁では0.2g/100gと、90%の食物繊維が取り除かれていた。食物繊維を多く含む野菜サラダを先に摂取することで、後に摂取した炭水化物の吸収を遅らせたと考えられるとしている。

 もう1つの相違点は、「噛む」か「噛まない」かの違い。噛む回数が増えると唾液の分泌が増えて、食物繊維と唾液が混ざることでゲル化し粘度が高くなる。胃内容物の粘度が高いと糖質の吸収が遅くなることが報告されており、野菜サラダを「噛む」ことによって引き起こされた物理的な変化が、糖質の吸収速度に影響を与えたと考えられる。以上のことから、「野菜サラダの搾り汁」よりも、食物繊維を多く含む「野菜サラダ」を噛んで先に食べることで、急激な血糖値上昇を抑えられることが示されたとしている。

 キユーピーグループは、2030年にどうありたいかをまとめた「キユーピーグループ2030ビジョン」を策定している。その1つに、「サラダとタマゴのリーディングカンパニー」を掲げ、健康的な食文化の創造に貢献していくことを明文化している。今後も、さまざまな研究を通じて、人々の健康的な食生活の実現につなげていくとしている。

(冒頭の写真:単回摂取クロスオーバー試験の概要/同社リリースより)

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