消費者契約法見直しへ論点整理案 第8回WG、脆弱性対応や継続契約規律など審議
消費者庁の「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会ワーキンググループ(WG)」は27日、第8回会合を開催し、これまでの議論を踏まえた論点整理案について審議した。事務局が整理案を説明した後、委員による意見交換が行われた。
脆弱性への配慮、行動規範として規定案
事務局は、消費者が多様な脆弱性を有することを前提に、事業者および取引に関係する主体の役割を明らかにするプリンシプル(行動規範・行動原則)を消費者契約法に規定する案を示した。
同案では、「不適切なもの(ミニマム・スタンダード)」と「望ましいもの(ベスト・プラクティス)」に区分し、事業者に対し、消費者の適切な判断を困難にしないことや、生活・財産状況に照らして著しい不利益を生じさせないことへの配慮などを求める内容とした。
また、事業者以外の主体についても、消費者が安心・安全に取引できる環境の実現に向けた配慮を促す規定を設ける案を示した。これらの規定について事務局は、具体的行為を特定するものではないことから、民事上の効果や行政処分に関する規定は設けないと説明した。
これに対し委員からは、「不適切なもの」と「望ましいもの」の記述について、「しないこと」と「すること」が対応しておらず分かりにくいとの指摘や、「第三者」の概念が広く、親族などを含む場合には明確化が必要との意見が出された。
契約拘束からの解放、解除権案に課題指摘
事務局は、消費者に深刻な結果が生じる場合への対応として、契約の拘束力から消費者を解放する仕組みとして、解除権を設ける案を示した。
同案では、消費者が適切な判断をすることが困難な状態で、かつ深刻な結果となる内容の契約を締結した場合に解除できるとし、併せて第三者による見守りを促す仕組みとして、契約締結前に事業者が所定の第三者に連絡した場合には解除権が発生しないとする想定が示された。
これに対し委員からは、当該権利の法的性質について、取消権との関係や解除権とする根拠が十分でないとの指摘があった。また、事業者がどの程度の配慮を行えば解除権の発生を回避できるのかという予見可能性や、第三者への連絡のみで足りるのかといった点についても検討が必要との意見が出された。
さらに、解除権の効力として想定される原状回復の範囲や第三者への対抗関係についても、既存制度との関係を含めて検討が必要との認識が示された。
消費者が金銭に代えて情報や時間、アテンションを提供する取引について、契約に該当する場合には消費者契約に含まれると整理する案を示した。その上で、こうした取引に特化した規定は設けず、消費者の適切な判断の確保に関する既存の枠組みで対応可能とする整理案を示した。
継続的契約、解約規律の整備案
事務局は、サブスクリプションなど継続的契約の普及を踏まえ、契約からの離脱に関する規律を整備する案を示した。
具体的には、合理的な解約方法の提供に関する努力義務、解約条件の情報提供、解約妨害の禁止などを規定する案とした。また、契約更新時の事前通知や契約変更時の通知義務、契約当事者の死亡時の対応手順についても規定案を示した。
このうち解約妨害の禁止および契約変更時の通知義務については、適格消費者団体による差止請求の対象とする案とした。
これに関連し、欠席委員からは書面意見として、契約更新時の通知については努力義務ではなく義務とすべきであるとの意見や、通知がなかった場合の遡及的な解除の検討を求める意見が示された。
解約料規制、見直しへ複数案
事務局は、解約料に関する規律について、現行の「平均的な損害の額」を基準とする枠組みでは説明が困難な類型が存在することを踏まえ、見直しの方向性として複数の案を提示した。
WGでの議論を踏まえ、論点整理案は修正の上、検討会に報告される予定。今後は検討会において、具体的な制度設計に向けた議論が進められる見通しとなった。
【田代 宏】
公表資料はこちら(消費者庁HPより)

