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SRの作成、PRISMA2020準拠求める 届出GL改正案、新規と既存で異なる対応

 消費者庁は機能性表示食品の届出ガイドライン(指針)の一部改正案を25日までに公表し、案に対する意見の公募を始めた。ガイドライン改正を通じ、科学的根拠の1つとなる研究レビュー(SR)の作成について、PRISMA声明2020年版(PRISMA2020)準拠を届出者に要求する。そのために、SR作成用のチェックリストや届出様式を刷新するなどの改正案を示した。また、届け出た内容に対する責任の所在の明確化も図る。

 PRISMA声明はSRに関する国際指針。現行のガイドラインでは、初版に当たる2009年版の準拠を求めている。一方、同声明は21年、増加するSR報告の透明性や正確性などの向上を目的に刷新された。これがPRISMA2020で、より細かなチェックと報告を求めている。エビデンス総体(totality of evidence)の質について、確実性や信頼性を踏まえた説明を行う必要もある。これに準拠することで、機能性表示食品の科学的根拠としても利用の多いSRの質の向上が期待される。一方で、SRを作成する負担も高まる。

新規届出の経過措置期間は1年半余

 消費者庁では、機能性表示食品を販売する事業者などの届出者がPRISMA2020に準拠した届出を行うには「一定の準備期間が必要」と見ている。そのため改正案では、経過期間を設ける方針を示した。新規届出と既存届出で対応を変え、新規に関しては、今から1年半余り先の25年4月1日以降の届出から準拠する案を提示。それまでの間は、2009年版に準拠しての届出も「差し支えない」としている。

既存届出は随時「変更届出」提出へ

 一方、既存に関しては、「随時、PRISMA2020に準拠したSRの変更届出を行う」とする案を提示。科学的根拠としてSRを届け出ている全ての届出者にPRISMA2020に準拠するかたちでのSRの更新と、変更届出の提出を求める考えを示した。

 消費者庁は現在、届け出を済ませた科学的根拠の再検証を「随時」行うよう届出者に求めている。先の、届出表示(ヘルスクレーム)の科学的根拠をめぐる景品表示法違反(優良誤認)事案に端を発したものだ。同庁では、PRISMA2020準拠を通じて再検証を促進したい考え。ただ、改正案では、変更届出の提出期限に関する案を示しておらず、届出者の自主的な取り組みに委ねる姿勢を見せている。

 既存届出の件数は現在約6,500件(撤回除く)に上る。期限を区切れば変更届出の提出が集中する恐れがあり、そうなれば、マンパワーが限られる中で届出の形式確認を行う消費者庁も対応に苦慮することになる。そのため、無期限は現実的な判断といえるが、異なる見方もある。機能性表示食品に精通する有識者は「(SRが)更新されないままの届出も出てくるのではないか」と懸念。「既存届出も、期限を区切って変更届出を提出させる対応が求められる」と指摘する。

届出内容の責任所在を明確化、チェックリストに確認欄

 今回の意見募集の期間は来月7日午後6時までの約2週間。その後は、寄せられた意見に対する回答を消費者庁が示した上で、ガイドラインの一部改正を通知する流れとなる。同庁は、これまでにガイドラインの一部改正を都合9回も実施しているが、意見公募手続きを行ったことはない。15年3月の制定時も同様で、その内容に対する意見を一般から求めるのは今回が初。厳しい意見が寄せられることもあり得る。

 消費者庁はガイドライン一部改正案で、届出内容に対する責任の所在の明確化を図る方針も示した。そのために、チェックリストに届出者の「代表者」の確認欄を追加するという。「届出の内容、とりわけ科学的根拠の挙証責任を届出事業者全体で負っていることを確認する」のが目的だ。

 また、研究計画の事前登録に関する指針も改め、特定保健用食品(トクホ)の表示許可申請者に求めている研究計画の事前登録の仕方に準拠するよう求める。

 現行のガイドラインでは、事前登録した研究計画の情報開示日について、登録から「1年を超えない日を開示日としても差し支えない」としている。これは、知的財産の流出を防ぐための配慮。だが、同庁は改正案で、情報開示日について1年を超えない日に設定できるような「システムは存在しない」とし、トクホの「申請書作成上の留意事項」に記載の事前登録に関する規定に準拠するよう求める案を示した。

【石川太郎】

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