1. HOME
  2. 行政
  3. 消契法・特商法改正に向け具体化 両検討会の中間とりまとめ公表

消契法・特商法改正に向け具体化 両検討会の中間とりまとめ公表

 消費者庁は9日、「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」第9回会合を開催し、中間取りまとめを大筋で了承した。翌10日、取りまとめを正式に公表した。検討会は昨年11月以降9回、ワーキンググループは8回開催され、消費者の多様な脆弱性への対応や、契約締結から契約継続、終了までの各段階における規律の在り方を検討してきた。

 中間取りまとめでは、年齢や認知機能など特定の属性だけで消費者を一律に捉えるのではなく、消費者が置かれた状況によって変化する「多様な脆弱性」に配慮する仕組みを検討する方向を打ち出した。また、サブスクリプションサービスなど継続的な契約の増加を踏まえ、契約締結時だけでなく、契約の継続や変更、終了までを視野に入れた規律を整備する方向性を示した。

 契約からの離脱を巡っては、消費者による解約を不当に妨げる行為への対応が柱となった。解約手続を必要以上に複雑にするなど、消費者の契約終了の意思を妨げる行為について、新たな規律を設ける方向で検討を進める。また、契約内容が変更される場合の通知義務についても制度化を視野に具体化を進める。堀井奈津子長官は10日の会見で、中間取りまとめにはサブスクリプションサービスの普及を踏まえ、「解約妨害の禁止」や「変更時の通知義務」が盛り込まれたと説明した。

 焦点となっていた解約料については、現行の消費者契約法9条1項1号の規律を直ちに見直す方向とはならなかった。検討会では、事業者が設定する解約料と「平均的な損害」との関係や、消費者が解約料の妥当性を判断するための情報提供などについて議論が続いたが、中間取りまとめでは引き続き検討すべき課題として位置付けた。

 9日の最終審議では、中間取りまとめ案をおおむね評価する意見が出たものの、解約料をはじめ、今後の制度設計に向けてさらに検討が必要との意見も相次いだ。今回の取りまとめは法改正の具体的な条文を確定したものではなく、今後、制度の具体化に向けた検討が続く。

特商法見直しの「中間取りまとめ」公表

 特定商取引法では、同庁の「デジタル取引・特定商取引等検討会」が10日、「中間取りまとめ」を公表した。急速なデジタル化やAIの進展に伴い、個人の属性に応じたパーソナライズド・マーケティングが主流となる中、消費者が単独で十全な意思決定を行うことが困難な状況が拡大している。こうした現状を踏まえ、同庁は消費者保護と健全な事業者の創意工夫の均衡を図りつつ、インターネット取引における規制を大幅に強化する方針を示した。

 現代のデジタル社会においては、電子商取引(EC)やSNS、スマートフォンアプリが生活に深く浸透している。その一方で、巧妙化する手口による消費者被害は後を絶たず、従来の規制の枠組みでは対応が追いつかない事例が急増している。特に、個人の嗜好や行動履歴を分析して最適化されたマーケティング手法や、巧妙なデジタル上の誘導手法は、消費者の合理的な判断を揺るがす要因として問題視されてきた。こうした背景から、同検討会では多角的な議論が重ねられ、今回の中間取りまとめに至った。

 今回の中間取りまとめでは、インターネット取引対策の主軸として「チャット勧誘」と「ダークパターン」の規制が大きく掲げられた。SNSのDM(ダイレクトメッセージ)やメッセージアプリを通じた副業や投資などの勧誘は、文字情報であっても電話勧誘販売と同等の不意打ち性を持つと結論付けられ、氏名等の表示義務や不実告知の禁止、クーリング・オフの適用などが盛り込まれた。さらに、消費者の意思に反して執拗に再勧誘を行う行為についても、厳格な規制の対象となる。
 また、消費者の選択を歪める「ダークパターン(意思決定を誘導するユーザーインターフェース)」についても、包括的な規制に向けた検討が進められている。「お試し」商法と見せかけた定期購入への巧妙な誘導や、最終確認画面でのアップセルによる意図しない高額負担、極端に複雑化させて解約を困難にする妨害工作などが、厳しくメスの入れられる対象となっている。さらに、デジタルプラットフォーム事業者に対しても、悪質広告の削除を要請する制度的措置が検討されており、プラットフォーム全体での自浄作用と法的規律の連動が図られる。

 オフラインや融合型の悪質商法に対しても、網羅的な対策の強化が図られる。水漏れ修理などに付け込む「レスキュー商法」や、点検商法における強引な契約、SNS等を起点として教材を買わせた後にマルチ商法へ組み込む「後出しマルチ」などの複雑な手口に対し、厳格な法適用が行われる方針。これにより、オンラインとオフラインの境界を跨いだ悪質な事業者による被害の根絶を目指す。

 同庁は、両中間取りまとめを踏まえ、制度改正に向けた具体化を進める。両取りまとめについては、準備が整い次第、パブリックコメントを実施する予定としている。

 ㈱ウェルネスニュースグループ(WNG)編集部では、両中間取りまとめの中身や記者レクでの担当官の説明内容などを盛り込んだ動画を公開する。詳しくはYouTubeチャンネル「ウェルネスデイリーニュース」内「記事のあと ひとり語り(キジアト)」にて公開予定。

【田代宏、藤田勇一】

関連記事:消費者契約法、取りまとめ大筋了承 解約料規定は見直し見送り、継続検討求める声多数
    :消費者庁、ネット取引の規律強化へ 中間案了承、ダークパターンやチャット勧誘に対応

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ