ダークパターンは消費者を誘導するのか 消費者庁調査、契約・解約行動への影響を検証
消費者庁新未来創造戦略本部はきのう18日、「Webページ等におけるいわゆるダークパターンに対する消費者意識調査について」と題した記者向け説明会を開いた。調査では、消費者が気付かないうちに契約や選択へ誘導されるという「ダークパターン」について、認知状況や行動への影響を試行的に検証した。その結果、契約画面上の表示方法によって高額プランの選択率や解約行動に差が生じる傾向が確認できた。
昨今、ダークパターンを巡っては、国内外で消費者保護上の課題として関心が高まっている。消費者庁は昨年度、国内のウェブサイトを対象とした実態調査を実施し、さまざまな類型のダークパターンが存在することを確認していた。今回の調査は、その認識度や心理的誘導の影響を実証的に把握することを目的として行われた。
調査は2つのアンケートで構成された。
1番目の「認識性調査(ダークパターンの認知状況調査)」では、インターネット通販利用者1,200人を対象に、ダークパターンを模した28種類の画像を提示した。その結果、平均76.2%が「見たことがある」と回答した。
また、OECDの分類に基づき過去1年間の経験を尋ねたところ、37.5%が何らかのダークパターンを経験したと回答した。類型別では、「残りわずか」、「期間限定」などの表示による「緊急性の強調」が最も高かった。
2番目の「心理的誘導調査」では、1,600人を対象に架空の動画配信サブスクリプションサービスを構築し、契約場面と解約場面でダークパターンの有無による行動の違いを検証した。
契約場面では、「無料キャンペーン中」や「無料でプレミアムプランをはじめる」といった表示を強調したほか、月額料金とは別に発生するアカウント管理費300円を目立ちにくく表示するなど、「隠れ定期購入」や「隠れたコスト」を模した画面を用意した。

その結果、高額なプレミアムプランを選択した割合は、「隠れ定期購入」群で6.5%となり、ダークパターンのない対照群の1.0%を上回った。

料金認識についても差がみられた。アカウント管理費300円を正しく認識できた割合は、対照群の56%に対し、「隠れ定期購入」群では46.2%、「隠れたコスト」群では34.8%だった。
一方、解約場面では、解約ページを深い階層に配置したり、「おすすめ動画」を表示して利用継続を促すポップアップを表示したりするなど、複数の妨害要素を段階的に追加した実験を実施した。

また、解約時に複数の注意事項へのチェックを求めたり、「本当に解約しますか」と再確認する画面を繰り返し表示したりする条件も設定した。その結果、妨害要素が強くなるにつれて解約完了率が低下する傾向が確認できた。

もっとも、ダークパターンのない対照群でも解約完了率は38.5%にとどまっており、担当者は「アンケート調査特有の離脱や未実施も影響している可能性がある」と説明。絶対値ではなく、対照群との差分として結果を評価する必要があるとの見解を示した。
説明会では報道関係者から、調査結果の解釈や実験設計について質問が相次いだ。
これに対し担当者は、今回の調査は前例の少ない分野における試行的な取り組みで、「この調査結果だけで直ちに結論を導くものではない」と強調。ダークパターンの違法性を判断するものでもなく、事業者への改善指導を目的とした調査でもないと説明した。
また、新未来創造戦略本部は研究やモデルプロジェクトを担う組織であるため、法規制の検討や執行に関する質問に対しては消費者庁の担当部署(消費者制度課・取引対策課)への確認を求めた上で、「今後も研究の蓄積が必要」との認識を示した。
調査結果を受けて消費者庁は、消費者に対し契約前に解約条件や解約方法を確認することや、最終確認画面を保存することなどを呼び掛けている。
【田代 宏】
(文中の画像:消費者庁の提供資料)

