23年国内サプリ市場、伸び率わずか 富士経済調べ、22年比0.3%増の1兆678億円見込む
㈱富士経済(東京都中央区、菊地弘幸社長)の調べによると、ことし(2023年)の国内サプリメント市場規模は、前年比0.3%増の1兆678億円が見込まれる。インバウンド需要が回復に向かうものの国内需要は「特需」が収束。成長してきた通販チャネルの減少も受け、市場はわずかな伸びにとどまる見通し。ただ、健康寿命の延伸を目的にした需要が増加することで「今後も市場拡大が続く」と予想。2年後25年の市場規模は、22年比3%増の1兆967億円になると予測している。同社が先ごろ調査結果を公表した。
調査は7~9月にかけて実施。27の訴求機能別にサプリメント市場を調査分析し、結果を『H・Bフーズマーケティング便覧2024 No.1 機能志向食品編』にまとめた。
美容、店頭チャネル中心に伸び
同社では、サプリメントのうち「美容効果」の2023年市場規模について、前年比7.1%増の571億円を見込む。外出機会の増加やインバウンド需要の回復などを受け、「店頭チャネルを中心に伸びている」という。一方で、通信販売は「伸びが鈍化」。通販は前年まで好調だったものの、新規顧客の減少などがブレーキになる。
また、「認知機能サポート」市場は307億円を見込む。前年比は5.9%の増加。22年3月に発生した、認知機能サポート機能性表示食品の広告表示をめぐる一斉行政指導の影響で、「広告出稿の中止・大幅削減」などが行われたため、市場伸長率は「大きく鈍化」した。23年は一部の販売大手が市場をけん引しているものの、「注力度を落とす企業も増えている」としている。
ただ、主要ユーザーである高齢者層の増加によって、「今後も市場拡大が続く」と予想。25年市場規模は、22年19%増の345億円になると予測した。
スポーツサポート、3.6%増の1,187億円見込
ほかに、前年比3.6%増の1,187億円を見込むのが「スポーツサポート」市場。同社では、「22年頃からライトユーザの離脱などプロテインブームに落ち着き」がみられると指摘した上で、「23年はさらに市場の伸びが鈍化している」。ただ、プロテイン認知が拡大しているほか、プロテインの摂取や筋力トレーニングが習慣化しているユーザーも多いことから、「小幅な伸びが続く」と予測する。
スポーツサポート市場の今後について同社では、「顧客単価の向上やミドル・ヘビーユーザー向けの展開強化が進んでいく」と分析してみせた。アミノ酸やクレアチンなど、プロテイン以外の成分の啓発が進んでいることに注目。「複数の成分の併用」などによって顧客単価の向上などが進むと見ている。