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高品質原料を作る次世代工場(中) オムニカの高尾社長に聞く

同条件で同じものを作る

――高い稼働率と低コストで高品質の商品を作り出す。具体的には?

高尾 分かりやすく言えば、同じものを作るということです。恒常的に最も効率の良い条件で技術・装置をルール通りに稼働させる。すると品質も安定してくる。これによって得られたものが何かというと、高性能の品質を確保した規格基準の成分ということになります。
 もともとバランスのよい食事においては摂取される成分をわざわざダイエタリーサプリメントとして摂取することで、より合理的な食生活を実現させたい、そのような要求に応える産業で働いておりますので、私たちは、性能の高い商品を作っていかなければならないという課題があります。

 その課題に対して、一定の品質の確保を行ってきました。高い性能のものを供給していくということをお客様にご理解いただき、活用していただいています。しかし、さらにその上を目指そうというのがこの工場です。

――高性能の上を目指すとは?

高尾 エキスにする利点とはそもそも何なのだろうか、と考えなければなりません。
関与成分を含んでいるものの総称をエキスという。1つの考え方として、均一化されたもので、関与成分を何パーセント含有などの単位をつけて規格化させることは可能になります。
 天然物の場合は個体のばらつきがあるので、大きなロットのなかでさえも濃淡の小さなばらつきというのが残ってしまういます。
 ですが、エキスでは1つのロットというものの中で、含有率などを均一にさせるという、そういう利用上の大きな有用性があります。

体内動態は無視できない

 もう1つは、天然物の場合、加工度が高くなると、多くはもともとの加工度が低かったもの、まだ加工されてないものと異なる特徴が改めて発現します。
 高い技術で、高度な加工をしていくことにより、関与成分にライフサイエンスとしての新しい働きを約束することが可能になります。
 その原因についていろいろと考えてみるのですが、単純に純度が高いから濃くなり、体内に大量に入るとかいうのではなく、人間の体の中にそういう関与成分がどのように利用されていくのか。消化吸収があって、それから分布があって、代謝があって、排出されていくという、そういうADME(アドメ)全体の中で、成分が生体の機能と関わり合いを持ってくる。

 いまだ未解明な点ばかりが残されますが、基本的にダイエタリーサプリメントは微量摂取な食品なので、健康な状態を起点として、そこへのホメオスタシスに全く引っかからないストーリーだけの利用法ではやはり合理的とは思えません。

 「臨床試験をやったら有効性があったかもしれない」、「有効性があることは否定できない」、「統計学的にそれ自体は正しいと考えても構わない」という、そういった結果のところがアウトカムとして出ている。
 そういうものがたくさんあるわけですが、同時に作用機序というものが、細胞試験などがラボで確認された場合、どういう理由で有効性があるのかということを推定させる。
 そういう研究が同時に行われているわけですが、ただその作用機序として知られているフィジオロジカル(生理学的)な現象というのが、生命体のなかで本当に起きているかどうか、臨床試験の結果とどれぐらい関係性があるのか、そう考えた場合、その成分の体内の動態というのを無視して考えることは難しいです。

ラボでは体内動態試験も

――作用機序と有効性との関連でしょうか?
高尾 心配点としては、有効性の出どころというのが、機能性表示食品を販売している企業1社からしか出ていなかったり、その利益を享受する側が研究したものが1つしかなくて、他の研究者が同じ意見を持っていない研究でも査読論文として存在したりするもの。
 これらを含めて機能性表示食品の科学的根拠とされますが、ただそういう作用機序というものを元に考察して、論文の有効性が商品として、購入した人の生活や健康に有用なものとしてもたらされているというのであれば、その関与成分として研究された同成分の体内動態というものに対して、強い興味を抱きます。

――有効性が疑われるのではないかと?
高尾 長期的に考えれば、例えば、関与成分というものがあって、それを体内で全く検出しないのだけど、それを良しとしてやっていたという場合、つまり細胞における実験結果をもとに有効性があると思われているとしながらも、血液の中に検出されていかない。吸収されていない。
 また、吸収されてもほとんどが少量に過ぎず、期待される活性が得られるほどに入っていないとか、それでも最終的に1本の論文で有効性が支持されていて、そのまま表示されており、それを消費者が正しい科学の売りどころがあるものというふうに思い込んで買わされるという事態は、長期的にはとても難しいことだろうなというふうに考えるのです。

――工場では体内動態試験を行っているのでしょうか?
高尾 研究室も裾野工場内に移設しました。研究室で体内動態試験を実施しています。
 製品開発と製品性能保証の活動では、成分評価の目的でそれを経口投与し、採血をし、成分の血液中の検出挙動を調査するルーチン業務をしております。

――検査する機械設備は?
高尾 医療機関の協力で当社の生物検査室で行われます。採血というのは適当に取るのではなく、第1回目の採血が摂取30分後、2回目が60分後、3回目は90分後、合計5カ所の区間というプロトコールを設置します。成分によって違うのですが、まずは正しい血漿を確保するということが大切です。

――なるほど。
高尾 次に入手したサンプルを精密分析にかけます。一番多く使うのはLC/MSという装置です。液体中の成分を固定相と移動相の相互作用の差を用いて分離し、質量検出器で検出する手法です。LC/MSを使うと、HPLCでは特定できない血中の微量成分を化学構造のピークのところを適切に狙い撃ちし、従来のHPLCと比べてずっと小さな単位で数値化させることができます。

 一方、体内でどのような挙動を示すかという点も、その水面下の品質規格として私たちがそれを管理しているということが必要です。管理されるにふさわしい原材料を製造しないといけない。そうでなければ、分析しても毎回違うということになってしまいます。
 これ表裏一体ですね。分析されるにふさわしい、同じように性能が確保されているものをいつも作ること。作ったものを同じように、正しく分析をする能力があること。この両軸が同時にあって初めて、性能の確保ということが可能になります。これが私たちの品質の保証体制です。

 数字についての利用方法は難しくて、数字そのものが独り歩きすることはよくありませんが、私たちは、規格書のなかで吸収力について特に定めていないのですが、それを利用していただいている加工食品の商品には、水面下で常に私たちが性能を提供し続けています。


【聞き手・文:田代 宏】

<COMPANY IMFORMATION>
所在地:静岡県裾野市今里492-1(本社・工場)
    東京都板橋区板橋4-21-7(東京事務所)
TEL:03-5944-4201
E-mail:www.omnica.co.jp/contact.html
URL:www.omnica.co.jp
事業内容:機能性食品の原材料製造・製品受託製造

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