高品質原料を作る次世代工場（前） オムニカの高尾社長に聞く
㈱オムニカ（静岡県裾野市、高尾久貴社長）は2019年、静岡県裾野市に新工場を建設した。機能性表示食品制度の施行に合わせて構想された工場では、「臨床試験で有用なエビデンスを確認したものと同じ原料を作る」、「言い訳を許さない原料を作る」ための設備と技術を備えている。代表取締役社長の高尾久貴氏に話を聞いた。
構想から設立まで6年
――新工場の稼働から2年が経ちました。
高尾 新工場を構想し、建設を検討し始めてから稼働するまでに6年を要しました。個別工程1件1件で徹底的に実験を行い、条件を繰り返すことで結果のアウトプットの部分が正しく再現されているのか、正しく出力されているのか、条件検証と基本設計に３年、その後、土地の取得や本設計、そして竣工までに3年かかりました。
――実験というのは？
高尾 最も重要な点は、天然だから品質がばらつくという言い訳の余地を排除する。そのばらつきをなくし、一定の組成にする技術力です。
――具体的には？
高尾 単に成分をin vitroやヒト試験で研究するだけではなく、研究された成分と同じものをいつも恒常的に作り続けていくという、そういう供給の体制というものも同時に持っていないといけません。
そうでなければ将来的に、機能性表示食品という制度の主旨を正しく理解し、活用していくことは難しいのではないかと考えました。
そこでとりあえず、それまで我々が製造している天然物を由来とする成分を中心に、品質のばらつきというものを見ながら、これらが本当に研究されたものと同じ能力を持っているのかどうかについて、どのように証明するかを考えました。
――定性・定量の問題ですか？
高尾 現在行われる品質管理を目的とした定性定量試験は必須ですが、これは試験結果の再現性確保や真値も把握しておくことなどが大切だと思います。
しかし、より重要なのは関与成分の生物学的同等性だと考えています。完全なばらつきをなくすことはなかなか難しいのですが、天然だからということでそれを理由に、製造ロットごとに成分の動態が強かったり弱かったりでは、効き目も安全性も当てになりません。
天然のばらつきを制御し、出来上がったものに対して合否というかたちではなく、予定どおりに手続きを行うこと。天然のばらつきというものを言い訳に持ち込まない工場であるという点について、なんとか達成することができました。これが工場の立ち上がりまでの期間ということになります。
高い稼働率と低コストを実現
高尾 私たちは工場で物を作るだけではなく、実際に取引先を巻き込んで経済的な効果を上げていかなくてはならない。製造業としてものを作るだけというのでは、重要な要件を満たしていないわけです。同時に、設計の段階から、世界を相手にしたコストとの闘いを織り込んだ工場にデザインしなければなりません。
そして、作成したマニュアルに沿って、設計どおりに、高い稼働率で計画的に運転させていくという反復練習を行う期間が必要です。どのようなところに、どのような人材がその装置に対して関与し、それを何人ぐらいでどのように動かすのか。いつ、どの段階で情報を入手し、それを適切にフィードバックしていくか。
24時間行っていくわけなのですが、当初は無駄な動きなども多く、いろんなトゲのようなものがあって計画どおりにうまく進まないことがありました。後は改善ですね。合理的に改善し、人と物と情報、これらが正しく連携し合ったときに一番効率の良い製造条件ができあがります。
また、コストというのを全く考えずにモノを作り、出荷していくことは製造業として大変無責任なこと。できる限り高い稼働率で、コストというものに対して世界で戦うことができるように工夫することで、品質も高くなるということが分かりました。
【聞き手・文：田代 宏】
＜COMPANY IMFORMATION＞
所在地：静岡県裾野市今里492-1（本社・工場）
東京都板橋区板橋4-21-7（東京事務所）
TEL：03-5944-4201
E-mail：www.omnica.co.jp/contact.html
URL：www.omnica.co.jp
事業内容：機能性食品の原材料製造・製品受託製造
関連記事：高品質原料を作る次世代工場（後） オムニカの高尾社長に聞く
：:高品質原料を作る次世代工場（中） オムニカの高尾社長に聞く
：オムニカ、研究開発型の品質管理でリード（1）
：オムニカ、研究開発型の品質管理でリード（2）
：オムニカ、研究開発型の品質管理でリード（3）
：オムニカ、研究開発型の品質管理でリード（4）
：オムニカ、研究開発型の品質管理でリード（5）
：1日2粒で効果期待の新・関節ケア成分 【機能性表示食品特集】オムニカが開発、持続型社会にも貢献
関連動画：映像から知るオムニカの機能性食品成分
