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消費者裁判手続法検討会、報告書の取りまとめへ

消費者庁は28日、最後の検討会となる「第11回消費者裁判手続特例法等に関する検討会」(消費者裁判手続法検討会)をオンラインで開催した。
 前回までの補充修正部分に対し、検討会の議論が適切に反映されているかどうかの確認を中心に各委員が意見を交わし、報告案に対して若干の修正が求められた。この後、山本座長と消費者庁の間で協議の上、最終的な報告書が取りまとめられる。

 (一社)日本経済団体連合会 消費者裁判手続特例法等改正検討ワーキンググループWG委員で弁護士の木村健太郎委員は、被害回復裁判手続の「直接的な契約関係にないが一定の関与をした事業者に対する請求」において、「一定の関与」という定義を明確化したほうが良いのではないかと述べた。その理由として、現在消費者庁で開催されている「アフィリエイト広告等に関する検討会」で、「不当表示に関する責任を負う者の範囲を広げていくという方向で検討が進められているように聞いている」とし、「その場合、この制度の対象となる事業者の範囲も広がりすぎるのではないかという懸念が企業から出ているため」と話した。修文は求めないものの、例えば「共同不法行為が成立する蓋然性のある関与をした事業者」などの注釈を加えることを求めた。これについては、疑念が生じないように後日、事務局で検討することとなった。

 協議を終え、消費者庁の伊藤明子長官は以下のとおり挨拶した。

 「本年3月から11回にわたりまして、消費者裁判手続特例法の施行後に見えてきた課題について、毎回大変ご熱心にご議論いただき、また本日取りまとめに至ったことにつきまして、心から感謝申し上げます。山本座長におかれましては多くの論点があったなか議論を取りまとめていただき、重ねて御礼を申し上げます。また、この検討会の中で、この制度の担い手である特定適格消費者団体の皆様に制度開始以降、消費者被害回復の実績が着実に積み重ねられてきたことが、改めて明らかになりました。敬意を表するとともに、本検討会へのご協力に感謝申し上げます。
 本検討会では、消費者団体訴訟制度は、いわば社会インフラの1つであるという制度自体の意義も改めて明らかにしていただきました。特に、社会や制度が複雑化する中で、事業者や個人に委ねるだけでは十分に消費者保護が図られない場面が一層増加しております。そういう中ではこの制度に期待される役割はますます大きくなるということを改めてお示しいただいたことは非常に意義のあることでした。
 また、制度が期待される役割を発揮するための課題については、検討事項が多岐にわたり、制度運用の実態も踏まえて、具体的な対応策をご提案いただきました。約半年という短い期間の中で、委員の皆様の幅広いご識見を結集して集中的にご議論いただき、この制度をまず消費者にとって利用しやすく、また消費者被害の救済をさらに進めるとともに、制度を担う団体の活動を支える環境整備を行うという観点からのアプローチをお進めいただいたものというふうに考えております。
 本日、いくらかの文言修正を座長と事務局でさせていただきますけれども、これを受け止めた上で、熱心なご議論の成果であるこの報告書をしっかりと受け止めて、今後、法制的な検討、法制的な具体化に取り組みたいと思っております」

 この後、山本和彦座長(一橋大学大学院法学研究科教授)の挨拶で閉会した。

【田代 宏】

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