消費者庁、トクホ次長通知を改正へ サプリ形状GMP要件化、疾病リスク低減表示の見直しも
消費者庁は近く、特定保健用食品(トクホ)制度に関する次長通知を一部改正する。サプリメント形状のトクホの製造・品質管理について、GMP(適正製造規範)の遵守が許可後の要件(実質義務)であることを示すほか、疾病に対するリスク低減表示を行うトクホの表示について、「2段階表示」の許可申請が行えること、またその許可申請を行う場合、観察研究またはそれと同等の科学的根拠が必要であることを明確化する。
2段階の疾病リスク低減表示とは、「日頃の運動と〇〇(関与成分)を豊富に含む健康的な食事は、△△の方に適した食品です。△△は、□□(疾病)のリスク因子です」などといった表示。海外では、「植物ステロールは、血中コレステロールを下げます。高コレステロールは冠状動脈性疾患の発症のリスク因子です」などといった2段階疾病リスク低減表示を、科学的根拠に基づき認めている。
同庁食品表示課によると、2段階表示を行おうとする、疾病リスク低減表示トクホの許可申請が先ごろあり、審議もされた。許可申請された表示は、「本品は〇〇を含んでおり、△△の方に適した飲料です。△△は、□□(疾病)のリスク因子の1つです」
許可申請されたこの表示は、通常のトクホとしてすでに許可されている製品の表示内容(ヘルスクレーム)に対し、疾病リスク低減に関する公知の事実を追加したものだという。だが、審議の結果、「関与成分である〇〇による△△低下作用は示されているが、これをバイオマーカーとした場合の関与成分、または関与成分を含む食品と□□(疾病)との関係を示す観察研究の資料が不足している」などとされた。
同庁は、2段階疾病リスク低減表示の許可申請が今後増えると見て、必要な科学的根拠などを明確化するために、次長通知を改正する。その申請に当たっては、「観察研究若しくは観察研究と同等となる科学的根拠資料が必要である。その際の観察研究については、関与成分のほか、関与成分を含む食品の摂取と疾病の関係を示した資料も根拠の一つになり得る」とする文言を盛り込む。同課では、関与成分である〇〇と□□(疾病)の関係(どの程度の関連性があるのか、どの程度の根拠の強さがあるのか)について、「個別審査が必要」になるとしている。
トクホ表示許可部会、改正案を概ね了承
消費者庁に置かれたトクホの表示許可を審議する有識者専門部会(佐藤淳子部会長=順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学准教授)は20日、トクホ次長通知(特定保健用食品の表示許可等について)の一部改正案について議論し、大筋で了承した。同庁は今後、通知改正案に対するパブリックコメントを実施の上で改正通知を発出する。
GMPの実質義務化については、経過措置期間を設け、機能性表示食品のサプリに関するGMPの実質義務化と同様、2026年9月1日から完全実施する。
改正する次長通知には、機能性表示食品のサプリGMP基準を規定した内閣府告示と同様の内容を明記し、遵守を求める。サプリの定義については、機能性表示食品におけるサプリの定義をそのまま当てはめるかたちで示す。また、サプリであるか否かに関わらず、生産・製造及び品質管理の体制に関する資料の提出が許可要件であること、提出した資料に沿って製造・加工されていることなどが許可後の遵守事項であることを盛り込む。
改正された次長通知はいずれ、法令に引き上げられる見通し。
【石川太郎】
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