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解説:機能性表示食品の「免疫」表示

【解説】

 消費者庁は7日、「免疫機能の維持」を訴求する機能性表示食品の届出を公表した。「免疫」を表示した製品は初めて。

 公表されたのは、キリンビバレッジ(株)とキリンホールディングス(株)の合計5品。機能性関与成分は「プラズマ乳酸菌」。「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されている」旨を表示する。

 機能性表示食品の「免疫」表示については、今年3月に閣議決定した健康・医療戦略で、実現へ向けた方策を明記。「機能性表示食品等について科学的知見の蓄積を進め、免疫機能の改善等を通じた保健用途における新たな表示を実現することを目指す」とされた。

 これに先立ち、2018年6月に閣議決定した未来投資戦略2018には、次の方策が盛り込まれた。「本年度より5年間で科学的知見の蓄積を進め、免疫機能の改善などを通じた保健用途における新たな表示を実現することを目指す」。

 これらの動きから、科学的エビデンスが蓄積されるまでの今後数年間、「免疫」表示は困難との見方で一致していた。記者もその1人だった。

 まず、整理する必要があるのは、閣議決定の意味合い。記者は数年先の時点で、科学的エビデンスの状況を踏まえ、「免疫」表示の可能性を判断するものと理解していた。ところが、予想よりも早く、届出ガイドラインなどを満たす届出が行われたわけである。消費者庁では「(閣議決定で示された)それぐらいの年数がかかると予想していたが、その期間をかけずに実現した(届出があった)ということ」(食品表示企画課)と説明する。

 機能性表示食品制度は届出制であり、閣議決定の「本年度より5年間で科学的知見の蓄積を進め…」というスケジュールを待つ必要はないという。届出ガイドラインなどをクリアした届出が行われれば、速やかに公表することになる。

 今回の届出のポイントを考える。これまで、死菌をはじめとする乳酸菌を用いた免疫関連の研究は、被験者に疾病者が含まれるケースが多かった。疾病者を含むと、届出ガイドラインに違反し、公表されることはない。今回は届出資料を見る限り、研究レビューのリサーチクエスチョンに記されたように、被験者は「健常人」となっている。

 また、届出ガイドラインでは、認められない表現の1つに、「科学的根拠に基づき説明されていない機能性の表現」を挙げている。その事例として、「限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現…(略)…抗体や補体、免疫系の細胞などが増加するといったin vitro試験やin vivo試験で科学的に説明されているが、生体に作用する機能が不明確な表現」がある。

 消費者庁では「明らかに限られた指標で、身体全体に効果があるという誤解を与えるとだめ」(同)と釘を刺す。その一方で、「科学的エビデンスがあり、指標が明確で、その変動によって身体がどう変化するのかがわかっていれば、届出は可能」(同)としている。

 もう1つの重要なポイントに、機能性の表現がある。健康の維持・増進の範囲内の表現か。医薬品医療機器等法などの法規に抵触しないか。今回の届出は、この2点をクリアしたとみられる。初の「免疫」表示であり、消費者庁が薬機法を所管する厚生労働省へ照会したと考えるのが自然だ。

 今回の届出について、消費者庁は「健康を維持・増進するものとして科学的エビデンスがあり、表示内容も範囲内のものが提出された」(同)と話す。指標に関するデータがあり、作用機序も含めて、生体に作用する機能が明確に説明されていることから、届出ガイドラインで示したNG事例に該当しないと判断したようだ。

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