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膝関節ケアの非変性Ⅱ型コラーゲン 「歩行機能を助ける」のヘルスクレームも

 コラーゲンには種類がある。生体内での分布や性質によってⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型……などと20種以上が存在する。そのうち関節軟骨に多く分布するコラーゲンとして知られるのがⅡ型。その構造をほぼ維持させたまま機能性食品素材化したのが、鶏などの軟骨から抽出精製した非変性Ⅱ型コラーゲン。関節のケアに特化するかたちで消費者に提案されている。原材料として、複数の製品が開発されているが、ここでは今年発売されたばかりの「NEXT-Ⅱ」を取り上げる。

龍泉堂のNEXT-Ⅱ、腰への機能も報告

 NEXT-Ⅱは、非変性Ⅱ型コラーゲンが8%以上(ELISA法で分析)含まれる鶏軟骨の抽出物。機能性食品素材開発・販売の㈱龍泉堂(東京都豊島区)が海外の非変性Ⅱ型コラーゲン研究者らの協力を受けながら10年前に開発した。国内での上市は今年2月。日本人における機能性や安全性を検証するヒト試験を国内で実施し、海外の学術誌に論文投稿した上で、関節ケア領域の機能性表示食品対応素材として提案を始めた。

 関節に対してどのようなヘルスクレームを行えるのか。消費者庁に届け出されている届出資料を見ると、「膝関節の柔軟性・可動性を助ける」、「日常生活(歩く、階段の昇り降り、しゃがむ、正座する、正座や椅子から立つ、着替える)における膝や腰の違和感を軽減する」、「寝返り、腰を反らす、腰をひねる時の腰の違和感を軽減する」、「歩行機能や階段昇降機能を助ける」──といった4機能が提示されている。

 膝・腰の動きや違和感にアプローチしながら、歩行や階段の昇り降りなど、日常的な身体活動をサポートする働きがある旨を訴求するかたち。膝や腰に違和感を抱えていると、運動や外出などの機会が減りがちになり、身体的・社会的フレイル状態に至らせるリスクを高める。このヘルスクレームは、膝など関節に違和感を抱える人たちを、フレイルとは逆の方向に向かわせることを促すものともいえそうだ。

作用機序と考察される経口免疫寛容とは

 非変性Ⅱ型コラーゲンの摂取がなぜ、関節にベネフィットを与えるのだろうか。龍泉堂は次のように説明する。

 「生体内に存在するⅡ型コラーゲンとほぼ同じ構造であるのが理由。トリプルヘリックス(三重らせん)構造や、それに付随するエピトープという抗体を認識する部位が維持されている。そのため、摂取後にさほど分解されずに小腸まで届き、小腸のパイエル板に認識される。これにより経口免疫寛容が誘導される。ペプチドなどに変性されたⅡ型コラーゲンでは経口免疫寛容が誘導されない」。

 経口免疫寛容とは、ざっくり説明すると、外から体内に入ってきたもののうち、生体にとって必要なものに対しては免疫反応を起こさせない仕組み。それを起動させるために必要なのがエピトープで、それを持つ非変性Ⅱ型コラーゲンは経口免疫寛容を誘導できる。そのため、Ⅱ型コラーゲンを主要な構成物質とする関節軟骨を免疫細胞が攻撃して炎症を引き起こしている際に、非変性Ⅱ型コラーゲンを摂取すると経口免疫寛容が誘導され、免疫細胞の反応が止まり、軟骨細胞の破壊が抑制される。そのようにして関節軟骨の破壊と再生のバランスの正常化を促すと考えられている。

 同社はこう説明する。「健常者であっても日常生活動作や運動により関節を酷使した場合、少なからず関節に違和感を覚え、機能に衰えが起こっている」。そういった関節疾患と診断されたわけではない人が非変性Ⅱ型コラーゲンを摂取することでも経口免疫寛容が誘導され、膝関節の柔軟性可動性を助ける。その結果として、膝や腰の日常的な動作をサポートするという。

【石川太郎】

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