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特定保健用食品の復権へ向けた新たな挑戦~下田智久会長に聞く(前)

2020年8月27日、特定保健用食品(トクホ)公正取引協議会(東京都新宿区)が発足し、12月24日から公正競争規約の施行が始まった。正会員30社、賛助会員2社・1団体(12月18日現在)。機能性表示食品制度が広がりを見せるにともない、トクホの影が薄まりつつある現状に危機感を持ったという下田智久会長に、トクホ復権に向けたシナリオを聞いた。

<規約策定への取り組み 一度は挫折も>
――トクホ公正競争規約の策定に至るまでの経緯についてお聞かせください。
 下田 私が(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)の理事長に就任した10年ほど前、健康食品全体は、すごく将来性のある業界だと認識をしていましたが、健康食品というものが信頼できるのかといわれると、今一つ、忸怩たるものがあったのも事実です。
 どうやれば、健康食品全体が消費者に信頼できるかたちがあるのかと調べていったときに、協会ではJHFAマークがありましたが、残念ながら認知度が低い。トクホが唯一、国が認証する事業ですから、これだったら国民の皆さんにも安心して勧められると考え、会員の皆さんからも公正競争規約の導入をやれば消費者の認知度も高まるのではないかとの声がありましたので、本気で取り組むもうと考えたのです。

――結果としてうまくいきませんでした。
 下田 専門家を招いて研究しましたが、導入をあきらめざるを得ませんでした。

――理由は何でしょう?
 下田 2つあります。健康食品全体に網をかけようとしたのですが、全体となると非常に幅が広いため、なかなか定義が難しかった。もう1つは、健康食品を統一する団体がなかったことです。現在、健康食品の団体はたくさんあり、それぞれの立場で設立されてきた経緯があります。それを一本に束ねて1つの規約の下にやっていこうという気運に乏しかったという気がしています。そういうことから、業界での一部でもやっていこうという意見もありましたが、全体を束ねる意見として集約することができませんでした。

<健康食品の機能表示実現 協会のミッションに>
――しかし断念はしなかった?
 下田 思いを完全に断念したわけではなく、消費者の信頼を得る仕組みが必要だという認識はありました。その後、2013年にスタートした規制改革会議のなかで、機能性表示食品制度が大きなテーマとなりました。それまでも健康食品は本当に効くのかという疑問があったのでしょう。11年に機能性評価モデル事業が消費者庁の公募事業として持ち上がり、日本健康・栄養食品協会が受託しました。消費者庁からは10成分を提示されて、世界の文献や動向を調査し、どういう評価手法を使ってそれが健康に効くか、あるいは効かないかを検討してくれと言われました。最終的に1成分を追加した11成分で、評価パネル会議を立ち上げました。
――パネル会議のミッションは?
 下田 「何も言えない」、「表示できない」といった健康食品が大多数を占めていたわけですが、健康に効果がある食品は、古来沢山知られていたわけで、それらが何の表示もできないというのはいかがなものか、表示できるようにしてもらいたいという業界の悲願があるなかで、表示が可能なトクホや栄養機能食品以外の食品に風穴を開けることが私どものミッションでした。

(つづく)
【聞き手・文:田代 宏】

(写真:下田智久会長)

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