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消費者庁・依田審議官が驚きの発言? W放談シリーズVol.7公開

 ウェルネスニュースグループ(WNG/東京都港区)はきょう(23日)、W放談シリーズVol.7「制度の見直しを検討?」をYouTubeチャンネルに公開した。
 
 「機能性表示食品は届出制に安住していいのか?」、「行政が関与できるような制度設計の議論を」、「許可した商品に対して景表法は打てない」――届出制を許可制へと繰り返し発言する消費者庁の依田学審議官が8月4日に行った講演が物議をかもしている。

 健全な健康食品の発展のために国が定める規格基準を導入する必要性を繰り返す発言に、一部関係者の間で「機能性表示食品制度をトクホに組み入れようとしているのではないか?」との懸念が芽生えている。他方、9月20日にウェルネスニュースグループが開催した「エビデンスセミナー」では、東京大学名誉教授で食の信頼向上をめざす会代表の唐木英明氏が、用量適合範囲を明確にするための解決法の1つとして規格基準型の導入を提唱している。

 健康食品を「過度な期待が持たれているわけではない」などと貶め、科学的根拠を「悪魔の証明」になぞらえる依田審議官の発言は、来春、厚生労働省の食品衛生基準行政を消費者庁に移管させるという政府方針がバックグラウンドとしてある。
 消費者庁の健康栄養政策は厚労省の延長上にあるとする同氏は、「消費者庁はミニ厚労省になる」と明言し、この機会をチャンスに変えるよう聴講者に求めた。
 限られた時間の中で行われた講演だからか、審議官の講話に、過去にも繰り返し議論されてきた“健康食品”の定義付けの問題が出て来ることはなかった。

 依田審議官の発言に対して、先述した唐木氏は次のとおり期待を示している。

 「依田審議官の発言で印象に残る点が2点あります。第1は厚労省の健康政策について改めて紹介したことです。政策の中心は栄養、運動、睡眠であり、保健機能食品については過度の期待を持たないようにくぎを刺す一方で、安全性については厳しく指摘しています。審議官の意図は、このような状況において保健機能食品のさらなる発展を図ることは簡単ではないこと、従って新たな考え方が必要であることを述べたものと推測します。

 2番目は、その具体策が規格基準型の採用であることを示唆する発言です。最近の措置命令について、事業者から提出された科学的エビデンスに根拠が認められないこと、同様の届出が多数あること、このような事態が再度発生する恐れがあることを述べ、単なる届け出ではなく、行政の介入の程度を増やすべきと主張しました。そしてEUのサプリメントはヘルスクレームの文言と目安量を決めていることを紹介し、まずはトクホを身近なものにするために規格基準型を採用する可能性について述べ、機能性表示食品についてもその採用について言及しています。さらに、米国、EU、中国などの制度の調査について述べ、規格基準型というかたちでの行政の介入が具体的な検討課題になっていることを紹介しました。

 厚労省の基本政策は、私が『健康食品入門』に書いたように医薬品中心主義であり、それは今から150年以上前に明治政府が掲げた医薬品は“有効無害”であるべきという思想と、これに合わない民間医療の徹底的な排除です。この厚い壁に小さな穴をあけたのがトクホであり、機能性表示食品ですが、この両者に規格基準型を取り入れることで一本化の道を開き、保健機能食品はさらに発展を遂げる可能性があるものと考えます。新しい発想でこの問題に取り組もうとする審議官の健闘を祈ります。

 短い講演時間ですべてを話すことは困難ですが、それでも一言コメントが欲しかったのは、いわゆる健康食品問題です。広告にしろ、安全性にしろ、問題が多い“いわゆる健康食品”をどうするのか。これについても消費者庁の考え方と、保健機能食品の健全な発展のための計画にどのように取り入れるのか、なんらかの機会に明らかにしてほしいとと思います。

 最後に、有効性の根拠がないとして措置命令が出されたのですが、実はプラセボ対象試験には深刻な欠陥があり、薬理作用が小さく心因作用が大きい場合には有効性を知ることができません。そのため軽度の症状に対する鎮痛剤や抗うつ剤の効果はプラセボと同程度に評価されてしまいます。これについては下記の文書に詳細に述べられています。

厚労省医薬審発第136 号(平成13 年2 月27 日)「臨床試験における対照群の選択とそれに関連する諸問題」(ICH ガイドラインE10)

 機能性表示食品の被験者は健康な成人であり、その症状は軽度であるため、プラセボ対象試験で有効性を示すことは困難です。そのため、機能性表示食品は効果がないという誤解が広がっています。しかし、現実を見ると機能性表示食品は“有効無害”であるからこそ多くの利用者が継続的に使用しているのであり、もし“無効”であればその利用はなくなるはずです。保健機能食品の適切な試験法について早急な検討が必要であり、これもまた保健機能食品の健全な発展のために避けて通ることができないものと考えます」

 これらのことは、コメントの中にもあるとおり、唐木氏の著書『健康食品入門』(日本食糧新聞社刊)に詳しく述べられている。

関連記事:消費者庁、機能表示制度見直し検討か 審議官、「リスクある届出制に安住していいのか」
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