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エビデンス入門(65) 崩壊試験とは

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣

 前回は、食品製造施設における衛生規格について解説した。今回は、品質管理に関わる項目として、崩壊試験について解説する。

 崩壊試験とは、主に医薬品で行われている試験で、錠剤、カプセル剤、顆粒剤などが、定められた試験液中などの一定の条件下で、規定時間内に形状が崩壊するかどうかを確認する試験法を言う。
 試験の方法は、日本薬局方で規定されており、2つの異なるpHの試験溶液を用いて医薬品の崩壊時間を測定する。具体的には、pH1.2の第1液、pH6.8の第2液を用いて崩壊を確認する試験である。医薬品では、崩壊試験の規格(崩壊時間の規定)が製剤の種類によって定められている。

 近年、健康食品においても、カプセルや錠剤など、医薬品と似た形状の製品が多くなっている。特に機能性表示食品制度が始まってからは、サプリメントタイプの加工食品という区分が設定され、錠剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、あるいは顆粒といったように、薬と似た形状の機能性表示食品が多く販売されている。

 食品の場合は、剤形が医薬品と同様のものであっても、崩壊試験の規格はない。しかし、2019年8月1日に国民生活センターが公表した報告書「錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査」において、崩壊しない製品があることが報告された。胃や腸で崩壊しない場合は、そのままの形状で便として排出されることも考えられ、成分が吸収されないこともある。特に機能性表示食品制度では、研究レビューでの届出が可能であることから、科学的根拠の論文と食品形態が異なる場合は、吸収されるかどうかによって、届出製品へエビデンスが外挿可能かどうか問題になる。つまり、根拠論文と同様の吸収様態が確保されていないと、厳密にはエビデンスが外挿できるとは言えない。このことから、製品がきちんと崩壊し吸収されることは大変重要である。
 国民生活センターが公表した報告書を受けて、「健康補助食品 GMP ガイドライン」は改正され、「錠剤・カプセル状等の製品等については、別途定める崩壊試験をロット毎に行わなければならない」と定められ、崩壊試験が義務化された。崩壊時間の規定についても、多くの企業で医薬品と同じ時間としているところが多い。

 機能性表示食品制度の発足によって、食品ではあまり気にされていなかった品質管理が、時には医薬品と同等レベルで求められるなど重要になってきている。これらの品質管理は、健康食品の質を向上させ、健康被害の防止などに役立つと考えられる。

(つづく)

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