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エビデンス入門(34)
機能性表示食品の安全性情報の調べ方(後)

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏

 機能性表示食品の最終製品の安全性に関連する書式について続ける。

 今回は、薬物相互作用について解説する。薬物相互作用とは、医薬品を服用する場合に、他の医薬品成分との飲み合わせによって、医薬品の効き目の増強や減衰が生じる現象をいう。薬物相互作用を起こす物質は医薬品成分に限らず、一般の食品に含まれる成分が影響する場合もある。

 服用している医薬品と同じ作用を起こす物質をアゴニストと呼び、服用している医薬品に拮抗作用を起こす物質をアンタゴニストと呼ぶ。このような作用が起きるのは、薬物を代謝させる酵素の働きを促進あるいは、阻害することにより血中における医薬品成分濃度が通常と変化することによって起こる。

 有名な事例では、グレープフルーツジュースがシトクロムP450と呼ばれる薬物代謝酵素に作用することで高脂血症治療薬などをはじめとするさまざまな薬物に影響することが知られている。 機能性表示食品については、健康増進に関連する機能が表示されている。疾病に罹患していない者を対象にしているが、医薬品を服用している消費者が摂取する可能性もあることから医薬品との相互作用についても、届出者が調査し届出書類で示す必要がある。

 食品と医薬品成分の薬物相互作用については、まとまった情報が網羅的に検索できるデータベースは少ない。よく知られているものは、城西大学薬学部編さんの「食品‐医薬品相互作用データベース」がある。食経験が多いものほどさまざまな情報が報告される傾向があるため、情報を得やすい。しかし、食経験が少ないものは、データベースなどの二次情報では収録にタイムラグが生じて、掲載されていない場合も多い。

 そのため、機能性表示食品の薬物相互作用について調査する場合は、機能性関与成分だけでなく、起源材料についても調査することや、システマティックレビューと同様に、論文データベースを調べるなど幅広い情報を調査する必要がある場合がある。特に、食経験が乏しい場合には安 全性情報の調査と同様に、幅広い情報源から薬物相互作用、特にシトクロムP450などの薬物代謝酵素への影響がないかを中心に調べることが必要となる。

 薬物相互作用を持つ食品は、摂取量の多少はあるが、身近な食品でもよく報告されている。機能性表示食品の届出者は細心の注意を払い、調査を行う必要がある。

(つづく)

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