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アフィリエイト広告検討会を総括!(5) 
消費者への情報提供と教育が急務(前)

(公社)日本通信販売協会 専務理事 万場 徹(まんば とおる) 氏

(公社)日本通信販売協会は、通信販売会社438社を傘下に置く業界団体。自主基準「通信販売広告における食品の表示に関する方針」を策定するなど、業界の健全化に取り組む。また1月、「アフィリエイト広告等に関する検討会」に意見書を提出した。同検討会で委員を務めた専務理事の万場徹氏に、同検討会の総括とともに会員各社に対する啓発、消費者理解と啓発の必要性について話を聞いた。

景表法第26条に基づき指針
今夏をめどに示される

――アフィリエイト広告検討会の総括をお願いします。

万場 成果報酬を伴うアフィリエイト広告に関して、表示主体者はあくまでも広告主で、その広告主に広告内容の責任があるとされました。景表法第26条に基づき、表示の管理上の措置についての指針のアフィリエイト版が、8月頃に示される予定です。広告主である事業者は、現時点でも広告表示管理をしっかりとやらなければなりませんが、アフィリエイト広告特有の問題があるため、それに即した方針内容になるものと思います。つまり、現時点でも、広告主である通販会社には、現状の広告管理体制をきちんと説明できることが求められています。


 しかし、突拍子もない広告表現、つまり、明らかな不当表示を行う事業者は一定数存在し、特にネット通販に多く存在するのが現状です。そうした事業者を取り締まるため、全体に網をかけるという意味で法規制などがされてきましたが、果たしてそれで良いのかというと疑問です。ネットの世界では、日々さまざまなテクニックが開発され非常に便利なものが生み出されます。しかし、便利なものは、それを悪用しようとする人にとっても便利なものですから、次々と新しい悪質商法が生まれます。その度に規制という網がかけられてきましたが、それが結局全体に影響するという流れになっています。

――特商法改正時と同様ですね。


万場 特商法の検討会では、詐欺的定期通販にターゲットを絞り規制をするという結論が出ましたが、結局蓋を開けてみれば、12条の6が新設され、定期購入も単品購入も全てがその対象になりました。悪質事業者だけでなく、全体に網がかかるかたちになったということです。果たしてこれで解決するのでしょうか。今回の不当表示の問題に関しても、対象を排除しても、次から次に新たな不当表示が現れるのが実情です。

――どのような対策が必要でしょうか。
万場 検討会の席で、「怪しげな広告に惑わされない消費者を作るしかないのでないか」と発言させていいただきました。インターネット通販が身近になった現在のネット時代に合った、消費者のネットリテラシーの向上が急務だと思います。残念ながら、どれだけ対策を行ったとしても、消費者をだまそうという悪質商法は後を絶ちません。そのため、消費者側が学習し、だまされない消費者が増えてくれば、悪質事業者側があきらめ、ひいては不当表示もなくなっていくのではないかと思います。

――大げさな表示をうのみにする消費者は多いのでしょうか。
万場 多少は期待して購入するのでしょうけれども、完全に信用しきって購入する消費者は、ほとんどいないのでないかと思っています。「完全には期待しないまでも、試しに買ってみよう。期待した効果が得られなければ継続しない」、そう考える消費者がほとんどなのではないでしょうか。そういう点が、規制する行政や消費者団体と意見が合わないところです。行政や消費者団体には、消費者を守らなければならないという使命がありますのでやむを得ないのかもしれませんが、もう少し消費者を信用してもよいのではないかと思います。もちろん、健康を害するものや何十万円にも及ぶ財産被害につながるようなものは論外ですが。また、詐欺的通販のような、お試しといっておきながら3回縛りだったというようなケースは、その通り表示しなければなりません。1人ひとり個別に対応するわけにはいきませんので、ある一定の基準を設けなければならいという行政側の考え方も分からなくはありませんが、誇大な広告表現については、受けとめる側で違いますので、一律に規制するというのはどうしても無理があります。

(つづく)

【聞き手・文:藤田 勇一】

<万場氏プロフィール>
1984年 社団法人日本通信販売協会(2012年4月より、公益社団法人となる)事務局に入局。主に行政対応、広報など、業務全般を担当。業務課長、業務部長を経て、00年に理事就任。01年からは事務局長も兼任し、11年、常務理事に就任。16年、専務理事に就任し現在に至る。「アフィリエイト広告等に関する検討会」委員。

関連記事:アフィリエイト広告検討会を総括!(4)26条「適正管理措置」はソフト・ローの措置(前)

     アフィリエイト広告検討会を総括!(5)消費者への情報提供と教育が急務(後)

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