No.1表示、特商法違反で初の処分 消費者庁、健康食品通販会社に業務停止命令
公平・公正ではない非客観的な調査に基づき「ナンバーワン(No.1)」表示を行っていたのは特定商取引法違反に当たるとして、消費者庁は15日、都内の健康食品通信販売会社に対して3カ月間の業務停止命令を行ったと発表した。
誇大広告と認定
客観的な調査に基づかないNo.1表示をめぐり消費者庁は、ここにきて優良誤認表示を禁じる景品表示法に基づく行政処分を立て続けに行っている。一方で、今回は特商法12条に基づく通販の誇大広告禁止規定を適用した。同庁によれば、初のケース。通販において、消費者を誤認させる不当なNo.1表示は、課徴金納付命令を伴う景表法と、業務停止命令の規定がある特商法の両方から規制できることを示した格好だ。「どちらの法律でやるかはその都度、関係の法令に照らして適切に対応する」(同庁取引対策課)としている。処分は14日付。
消費者庁の発表によると、特商法違反で行政処分を行ったのは、健康食品の通販を行う㈱サン(東京都新宿区、峯岸直樹社長)に対して。同社は自社で運用するウェブサイト上で、『PLatte(プラッテ)』を商品名とする「ダイエットドリンク」と称する粉末飲料について、ランディングページで「ダイエット実感値の高いダイエットドリンクNo.1」や「体を内側から整えてくれるダイエットドリンクNo.1」などと全10項目にわたりNo.1表示を行い、「10冠達成」をうたいながら販売していた。しかし、客観的な調査に基づくNo.1表示でなかった。
実際の調査は、同商品と類似の商品4品目を選定し、各商品の特徴を文章で示し、同10項目について、文章で示した特徴から受ける各商品の「印象」を尋ねたもの。また調査対象となった消費者は、同社が調査を委託した事業者に登録している会員で、商品や類似商品を実際に飲用した消費者を対象にした調査ではなかったという。同庁取引対策課は、公平・公正な方法で行われた調査とは言えない、と指摘している。
申し込み最終確認画面表示違反も
同庁はこのほか、申し込み最終画面における表示義務違反も認定した。特商法では、通販の申し込み最終確認画面で、契約に関わる6つの事項について表示義務規定を設けている。しかし定期購入契約の申し込みの撤回や解除、分量などが表示されていなかったという。
このため同庁は、同社に対して15日から3カ月間、通販業務における新規契約の停止を命じたほか、再発防止や誇大広告を行っていたことの消費者への周知徹底などを指示した。また、「主導的な役割を果たしていた」として、同社の峯岸社長に対しても同日から3カ月間の業務禁止命令を行い、発表した。
同社は21年4月設立。消費者庁の調べによると、23年11月期に9億円の売上があった。全国の消費生活センターには同社に関する相談が21年7月から今年1月末までに1,380件寄せられており、特に昨年になって件数が急増していた。定期購入契約の解約をめぐる相談もあったという。
他にも健康食品の取り扱いがある同社のコメントは、現時点で得ることができていない。
【石川太郎】
(冒頭の画像:客観的な調査に基づかないとして違反認定されたNo.1表示。消費者庁の報道発表資料から)
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