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CBD普及へ 「突破口を開きたい」 
超党派議連の事務局長 松原仁議員が語る

 カンナビジオールの活用を考える議員連盟(CBD議連)。CBDオイルなどCBD関連製品を巡る法制度上の枠組みを整備し、その健全な市場流通を促す目的で昨年6月発足した超党派の議連だ。今年2月までに合わせて4回の総会を開催。メンバーは現在までにおよそ40議員を数える。議連の仕切り役である事務局長を務める松原仁・衆院議員(=写真、立憲民主党)は、このほどウェルネスニュースグループのインタビューに応じ、「全てのステークホルダーの意見を尊重するとともにコンセンサスも得ながら、CBDの幅広い活用に向けた突破口を開きたい」などと述べた。

議連発足の背景と現体制

 「ある方からCBDやヘンプを紹介されたのがきっかけです。米国ではヘンプに含まれるCBDをてんかん患者のための医薬品として利用していると。それに、サプリメントとしてもさまざまな有効性が期待できるため、医薬や医療の周辺産業の大きな成長につながる可能性があると。しかし日本でも米国のようにCBDを活用していくためには、法規制が壁になったり、制度が整っていなかったりする面があると。

 そうした話を伺い、規制を緩和したり、制度を整備したりすることで、日本でもCBDを幅広く利用できるようにすべきではないかと考えた。そこで元厚労省幹部に相談したところ、『これまでのように議連を立ち上げればいい』と勧められました」。

 CBD議連を立ち上げた経緯について松原議員はこう話す。

 民主党政権時代、国家公安委員長や拉致問題担当大臣などを歴任してきた松原議員の政治活動の幅は広く、これまでに、オンラインゲーム・eスポーツ議連、ベジタリアン・ヴィーガン議連、CPLP(ポルトガル語諸国共同体)推進議連──など、数々の議連を立ち上げ、事務局長を務めてきた経緯がある。元厚労省幹部が松原議員に「これまでのように議連を~」とアドバイスしたのはそれが理由だ。

 それら議連を松原議員とともに立ち上げきた人物がいる。官房長官も務めた河村建夫前衆院議員だ。CBD議連も河村会長、松原事務局長の体制でスタートした。しかし河村氏は昨年末までに政界を引退。会長の後を継いだのは山口俊一衆院議員(自民)で、会長代行は佐藤茂樹衆院議員(公明)。また、顧問として、衛藤晟一衆院議員(自民)が名を連ねている。

規模が大きいわけではないが・・・

 CBD議連は昨年6月の発足後、会合を繰り返している。今年2月、衆議院第二議員会館で開催された総会(第4回)には、大麻取締法を所管する厚労省の監視指導・麻薬対策課を始め、警察庁、法務省、経済産業省などの行政から幹部らが参加。議員側からは、議連役員の他、石井苗子参院議員(日本維新の会)、須藤元気参院議員(無所属)、川田龍平参院議員(立憲)らが顔を見せた。

 「現在の議連メンバーは、ほぼ全ての政党から合わせて40人ほどでしょうか。これまでにさまざまな議連を運営してきた私の経験から言えば、規模が大きいとは言えない。オンラインゲーム・eスポーツ議連は100人を優に超えていましたし、さらに大きな議連もある。

 ただ、この議連で特徴的だと感じるのは、参加を望む声が、立ち上げ以降に多く上がっていること。CBDに関心を持っている議員は少なくない。議論に熱心な印象も受けています」(松原議員)。

議論の落としどころはどこに

 CBD議連が目指す政策を一言でいえば、CBDを日本でも、医療の領域から、その周辺領域であるヘルスケアまで、幅広く、かつ、適切に活用できるようにするための道筋づくりを促すことだ。では、それに向けて具体的に何をすることが必要だと考えているのか。松原議員は取材に次のように答えた。

 「(現行の大麻取締法における)部位規制を成分規制に改める必要があると考えています。その上で、幻覚作用があるため規制が求められるTHC(テトラヒドロキシカンナビノール)について、実際にどれ位の量を摂取すると幻覚作用を及ぼすのかなどを検証した上で、その含有濃度の上限値を国として規定すべき。

 THCの含有量を文字通り『ゼロ』にすることは事実上、不可能ですし、実際、海外にはCBD製品についてTHC含有上限濃度を数値で規定している国がいくつもある。日本もそれに倣うべきでしょう。そうすることで、医療の周辺産業の拡大につながる可能性も出てくる。しかし、だからといって、大麻や麻薬を流通させようする輩が出てくることは決して許さない。そういった方向に議論、検討を促し、実現させられるかどうかがこの議連の最大のポイントです。大麻を解禁しようなどということでは決してありません」。

変化しそうな大麻規制 影響どう見る?

 議連が実現を目指すそうした政策を、今後予定されている改正大麻取締法の施行が後押しする可能性がある。厚労省の主催で昨年1月から6月まで全8回にわたり有識者が議論した「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の報告書では、大麻規制の今後のあり方について、現行の大麻草の部位規制からTHCに着目した成分規制に見直すこと、大麻から製造された医薬品の施用を可能とすべきこと──などが提言された。「成分に着目した規制に見直す場合には、含有されるTHCの濃度に関する規制基準を設けることの要否を含め、引き続き検討する必要がある」ともされている。

 しかし松原議員は取材に「一朝一夕にはいかない」とコメント。楽観視すべきではないと釘を刺す。

 「法改正にはかなりのエネルギーが必要です。確かに、本件のイニシアチブを取っているのは厚労省だが、他の省庁のコンセンサスを必ず得る必要がある。現行の部位規制を成分規制に変えるというのは抜本的な改正で、反発の声が上がる可能性もあるでしょう。そのため、とても丁寧な議論が求められる。そもそも国民がどう受け止めるか。そういったところも注視していく必要があります」。

 他方で、次のようにも述べている。

 「日本のブランド力がある企業もCBDに関心を抱いている。ただ、そうはいっても取り扱いづらいのが現状でしょう。そうした企業に、最初の一歩を踏み出してもらう勇気を与えるためにも、ここまではダメ、ここまでならば大丈夫という線引きを国として示す必要がある。この議連が、新しい時代に向かって、パラダイムシフトを起こすきっかけ作りをできるのであれば、とても意味があると思っています」。

【石川太郎】

(冒頭の写真:インタビューに答える松原議員。3月16日、衆議院第二議員会館にて)

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