情報漏えい、相談増加 消費者庁がFAQ公開、IPAも窓口強化
健康食品・化粧品の通販各社などで不正アクセスによる個人情報漏えいが相次ぐ中、消費者庁は5日、「個人情報流出に関するFAQ」を消費者トラブル解決ナビに掲載した。
同庁の堀井奈津子長官は10月29日の記者会見で、個人情報漏えい・不正アクセスに関連する消費生活相談が増加していると説明。情報処理推進機構(IPA)も11月2日、個人情報漏えいの被害を受けた消費者向けの相談受付強化を発表した。行政機関による二次被害防止に向けた対応が進んでいる。
相談件数、前年同期の約20件から70件超に
堀井長官は10月29日の記者会見で、全国の消費生活センターなどからPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された相談情報について説明した。それによると、2026年10月1~25日に登録された不正アクセスなどに関連する相談は70件を超え、前年同期の約20件から増加した。
相談内容では、事業者から情報漏えいの通知を受け、個人情報がどのように使われるか不安を感じているといったものが多かった。不正利用による実害を訴える相談も1桁程度あり、利用した覚えのない事業者から不審な連絡を受けたとする相談も10件未満あったという。
不審な連絡の例として、知らない事業者から情報漏えいを知らせるメールが届き、パスワードの変更を促されたケースにも言及した。こうした連絡が実際に二次被害につながっているかについては、詳細が分かっていないとした。
消費者庁、FAQ掲載と注意喚起を実施
消費者庁は10月29日、不正アクセスによる個人情報漏えいなどに関する注意喚起を公表した。漏えいした個人情報の悪用を防ぐため、IDやパスワードの変更、パスワードの使い回しの回避、多要素認証やパスキーの利用などを呼び掛けている。
また、クレジットカードやキャリア決済、インターネットバンキングの利用明細を定期的に確認することや、事業者、公的機関などを名乗るメールやSMSに記載されたURLを安易に開かず、正規のウェブサイトやアプリから情報を確認するよう求めた。
11月5日には、消費者トラブル解決ナビに「個人情報流出に関するFAQ」を掲載したことを公表した。同庁は、不安がある場合には消費者ホットライン「188」や最寄りの消費生活センターなどへの相談を呼び掛けている。
堀井長官は、各地の消費生活センターの相談員が適切な対応を取れるよう、関係機関の相談窓口などの情報を共有していることも明らかにしている。
IPA、消費者向け相談受付を強化
IPAは11月2日、不正アクセスによる個人情報漏えいなどの被害に遭った消費者への対応を強化すると発表した。
同機構は、ウェブシステムの脆弱性を悪用した攻撃や、サプライチェーンを通じた侵害などによって、個人情報を含むデータが窃取される事案が相次いでいると指摘している。
今回強化する「情報セキュリティ安心相談窓口」では、個人情報が漏えいしたことによる不安、ウイルスや不正アクセス、フィッシング詐欺などに関する技術的な相談を受け付ける。
二次被害のリスクを下げるための対処方法や日常的な安全対策について助言するとともに、消費生活センターなど関係行政機関との連携も強化する方針だ。
通販5社への独自取材、その後の行政対応
ウェルネスデイリーニュース編集部は10月26日、健康食品・化粧品の通信販売に関係するファンケル、アテニア、アエナ、Eストアー、ロート製薬の5社と、関係行政機関・業界団体への取材結果を報じた。
ファンケルとアテニアでは、不正アクセスにより、それぞれ36万8,184人、41万7,312人の個人情報が漏えい。アエナでは最大81万7,215人分が不正閲覧された可能性が公表されている。Eストアーの不正アクセスは、通販システム「ショップサーブ」を利用する7,858店舗が対象となった。
ロート製薬については、通信販売の顧客対応システムに保存された通話音声データや顧客管理情報が不正取得された可能性があり、10月の本紙取材時点では調査が継続していた。
本紙の取材に対し、消費者庁は10月23日、消費生活相談情報を取りまとめ、関係省庁に共有するとともに、被害や二次被害の防止に向けて追加の注意喚起を行う予定と回答していた。
その後、同庁による注意喚起とFAQの掲載、IPAによる相談受付の強化など、行政側の対応が具体化している。ただし、今回の行政発表では、通販5社の事案に起因する二次被害の件数や、個別事案との因果関係が明らかになったわけではない。
情報漏えいの影響を受けた消費者への支援に加え、今後は個々の事案における被害状況の把握や、事業者の再発防止策の進捗も注目される。
【田代 宏】

