第9回取引DPF官民協議会開催 努力義務の履行状況やCtoC取引の安全確保など報告
消費者庁は23日、第9回取引デジタルプラットフォーム官民協議会(取引DPF官民協議会)を開催した。施行から3年を迎えた「取引DPF法」に基づく事業者の取り組みや、消費者による販売業者情報の開示請求、CtoC取引の安全確保などについて報告が行われ、活発な議論が交わされた。
努力義務への対応、本人確認が進展
事務局は、取引DPF法第3条に定める努力義務の履行状況について報告した。調査対象33社のうち28社がアンケートに回答し、24社が消費者と販売業者をつなぐ専用メッセージ機能を提供。25社は、登録された連絡先が機能しているか、パトロールや消費者からの連絡を通じて確認している。
苦情対応では、回答した28社すべてが受付窓口を設置し、申出に基づく調査や出品停止、アカウント制限などの措置を実施していた。本人確認に関しては、公的書類の提出を求める事業者が25社となり、前年度の21社から増加。銀行口座名義と登録氏名・名称の一致を確認する事業者も、前年度の12社から18社に増えた。また、17社が消費者保護の取り組みをウェブサイトなどで公開しており、安全なプラットフォームを選ぶための情報提供も進んでいる。
販売業者情報の開示請求、1万円要件に課題
令和6年度から令和7年度上半期までに、消費者からの販売業者等情報の開示請求は33件あり、12件で情報が開示された。不開示の理由には、相手が法律上の「販売業者等」に該当すると判断できないケースのほか、請求要件となる債権額が1万円を超えないケースがあった。
これに対し、協議会の構成員からは、請求件数自体が少ないことを踏まえ、1万円の要件を撤廃・緩和し、少額の被害でも回復につなげられるようにすべきだとの意見が出た。事務局は、関連する検討会でも引き続き検討課題とされていると説明。プラットフォーム独自の補償制度なども考慮し、慎重に議論を続けるとした。
「隠れ事業者」対策と自主的な消費者保護
令和7年7月に改正されたガイドラインでは、個人を装い、営利目的で継続的に販売する「隠れB(隠れ事業者)」を見分ける要素として、特定商品の大量出品や同一商品の複数出品、口コミ数などが整理された。CtoCプラットフォームに期待される取り組みには、問い合わせへの対応、取引監視、本人確認、代金を一時的に預かるエスクローサービスなどが含まれる。回答した運営事業者11社は全社が問い合わせ対応と監視を実施し、10社が本人確認を導入。6社は全取引でエスクローサービスを利用している。
事業者団体からは、法令遵守にとどまらない対策も紹介された。アジアインターネット日本連盟(AICJ)は会員社の事例を紹介。リクルートは、新サービスの開発や仕様変更に際し、企画時、実装前、リリース前の3段階で複数部署による審査を行う。Amazonは、経済産業省と連携した「+あんしんストア」の開設や、製品安全、リチウムイオンバッテリーの使用・廃棄に関する啓発を進めている。シェアリングエコノミー協会は、連絡の遅延を防ぐ自動通知や、重大なトラブル時に電話対応へ切り替える仕組みを紹介した。
(一社)セーファーインターネット協会(SIA)は、特定商取引法に基づく表示やサポート体制の整備、製品安全に関する官民の取り組みへの参加を推進。オンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)は、闇バイトへの加担防止、フィッシングメール対策、フリマサイト外での不正決済防止など、社会情勢に応じた注意喚起を行っている。
相談窓口と虚偽表示への対応
令和7年度に消費者庁へ寄せられた申出は569件。このうち取引DPF上のトラブルは251件(物販213件、役務提供38件)で、直販サイトなど法律の対象外となる案件が318件を占めた。消費者庁は令和8年4月、相談先を分かりやすく案内できるよう申出フォームを改修し、消費者・プラットフォーム・販売業者の関係を図示するなど、消費生活相談窓口「188」などへつなぐ工夫を加えた。
第4条に基づく出品停止要請の事例として、実際には効果が確認できないのに血行促進や疲労回復をうたった衣料品、EUの安全規格に適合していない安全靴、広告と異なる内容を提供する給付金関連の情報サービスが紹介された。消費者庁は、それぞれの取引DPF提供者に対し、表示の削除などを要請した。
越境ECの拡大、税関との連携強化へ
後半では、財務省関税局が通販貨物の水際取締りについて説明した。越境ECの普及に伴い輸入許可件数は増加し、2024年は約1億9,000万件、2025年は約2億3,000万件に達した。1万円以下の小口貨物が多く、偽ブランド品や危険な模倣品など知的財産侵害物品の差し止めも、3年連続で3万件を超えている。
税関は、膨大な貨物から危険性の高いものを効率よく見つけるため、プラットフォーム事業者との情報交換や、取引・販売データを審査に活用する仕組みの検討を進める。
協議会では、海外のオンライン旅行代理店など、参加事業者以外でのトラブルへの対応や、生成AI・ダークパターンを悪用する不正への対策も課題として挙がった。行政や事業者による検知の高度化に加え、消費者が安全対策を講じるプラットフォームを見分けられるよう、情報発信や啓発を強化する必要性が指摘された。
また、消費者保護を進める上で、プラットフォーム側に一律の規制や負担を求めるだけでなく、利用者が安全対策の内容を理解し、自ら適切なサービスを選べる環境づくりも重要だとの意見が出た。事業者の自主的な取り組みを分かりやすく公開するとともに、行政、事業者団体、物流・税関関係者が連携し、取引の監視や情報提供を継続していくことが求められる。
【藤田 勇一】
当日の配布資料はこちら(消費者庁HPより)

