幼児の腸内細菌タイプ、兄姉数が関連か 理研など共同研究グループ、きょうだい構成と疾患リスクとの関連解明へ
理化学研究所(理研)などの共同研究グループはこのほど、2歳と4歳の子どもの腸内細菌叢のタイプや便中の短鎖脂肪酸濃度が、年上のきょうだいの数と関連することを突き止めたと発表した。
共同研究グループは、理研生命医科学研究センターの柴田涼平客員研究員、大野博司チームディレクター、千葉大予防医学センターの櫻井健一教授、山本緑講師、兵庫医科大学看護学部の島正之特命教授、高知大学エコチル調査高知ユニットセンターの菅沼成文センター長、同医学部小児思春期講座の大石拓助教、同イノベーションセンターの安光ラヴェル香保子特任助教、東北大学大学院医学系研究科の発達環境医学分野の大田千晴教授、富山大学学術研究部医学系小児科学講座の足立雄一教授(研究当時)、同医学系公衆衛生学講座の稲寺秀邦教授、同エコチル調査富山ユニットセンターの吉岡英治センター長らのグループ。研究成果は、科学雑誌『Pediatric Research』オンライン版(10月14日付)に掲載された。
乳幼児期の腸内環境は、その後のアレルギー疾患などとの関連が報告されている。これまでの疫学研究では、年上のきょうだいがいる子どもはアレルギー疾患などの発症リスクが低いと報告されていたが、こうした関連が就学前まで続くのかや、どのような経路で生じるのかは十分に分かっていなかった。
そこで同研究グループは、エコチル調査の詳細調査に参加する子どもを対象に、千葉、兵庫、高知、宮城、富山の5地域と理研が共同で追加調査を実施。2歳児903人と、そのうち4歳時でも参加した684人の便と生活環境の情報を解析した。
周産期や家庭・生活環境に関わる要因と腸内細菌叢の構成との関連を調べたところ、年上のきょうだいの数は2歳時と4歳時のいずれでも強い関連を示した。また、年上のきょうだいの数が多いほど、2歳時には複数の便中短鎖脂肪酸濃度が高く、4歳時にはプロピオン酸濃度が高いことが認められた。
さらに、腸内細菌叢を3つのタイプに分類したところ、年上のきょうだいがいる子どもでは、細菌の多様性と便中プロピオン酸(短鎖脂肪酸の1つ)濃度が最も低いタイプに分類される割合が低いことが分かった。さらに、4歳時では、年上のきょうだいの数と腸内細菌叢のタイプとの関連を仲介する可能性のある複数の因子を検討したところ、直近3カ月の抗菌薬使用を介する経路が、年上のきょうだいの数と腸内細菌タイプ関連の一部に関与する可能性が示唆されたという。
同研究は、これまで主に乳児期に検討されてきた年上のきょうだいと腸内環境の関連を、2歳時と4歳時で捉え、腸内細菌叢の構成と便中の代謝物の両面から示した点に特徴がある。これまで、年上のきょうだいがいる子どもでは、アレルギー疾患などの発症リスクが低いことが報告されている。同研究の成果は、こうしたきょうだい構成と疾患リスクとの関連を考える上で、腸内環境がどのように関わるのかを理解する手がかりになるとしている。
こうした研究が進むことで、将来、腸内環境に働きかけることでアレルギー疾患などの発症リスクを低減できるかを検討するための基盤になることが期待される。しかし今回の研究は、年上のきょうだいがいること自体が病気を予防することや、今回認められた腸内環境の違いが疾患リスクの低下を直接もたらすことを示したものではなく、今後、疾患発症との関連や因果関係を検証していく必要があるとしている。
(冒頭の写真:同社リリースより)

