食品不適正表示、相次ぎ発覚(前) パナックス、牛肉表示で3法令措置
食品の原産地や地理的表示(GI)を巡る不適正表示が相次いで明らかになった。農林水産省は6日、㈱パナックス、イオン東北㈱、㈱福丸フーズの3社に関する行政措置を公表した。
パナックスでは他県産の牛肉を「鹿児島県産」などと表示したほか、個体識別番号の不適正表示やGI「鹿児島黒牛」の不正使用を確認。イオン東北ではベトナム産やインド産のえびを「インドネシア産」と表示した「えび天ぷら」を35万4,575パック販売していた。福丸フーズでは、ふるさと納税返礼品を巡りGI「越前がに」の不正使用が確認された。
農水省と大阪府は6日、㈱パナックス(大阪府吹田市、原田武志社長)が販売した牛肉に不適正な表示があったとして、同社に対し、地理的表示(GI)保護制度に基づく措置命令、牛トレーサビリティ法に基づく勧告、食品表示法に基づく指示をそれぞれ行った。大阪府は、茨城県産常陸牛などを使用しながら「鹿児島県産」などと表示していたことを確認した。
大阪府が2025年2月13日~26年8月28日まで立入検査などを行った結果、パナックスが表示責任者となっていた生鮮牛肉5商品で、原産地を事実と異なる内容で表示していたことが分かった。
「鹿児島黒牛カタロース500g」は茨城県産常陸牛を使用しながら「鹿児島県産」と表示し、24年12月16日~25年2月26日までに33パック(16.5kg)を販売。「鹿児島黒牛カタロース400g」も茨城県産常陸牛を使用しながら「鹿児島県産」と表示し、24年12月に74パック(29.6kg)を販売した。
「鹿児島黒牛ロースステーキ200g」では、熊本県産和王または千葉県産かずさ和牛を使用しながら「鹿児島県産」と表示し、67パック(13.4kg)を販売。「宗谷黒牛モモスライス400g」は埼玉県産彩さい牛を使用しながら「北海道産」と表示し、114パック(45.6kg)を販売していた。「彩さい牛カタローススライス400g」は岡山県産備前牛を使用しながら「埼玉県産」と表示し、7パック(2.8kg)を販売していた。5商品を合わせると295パック、107.9kgとなる。
個体識別番号でも不適正表示
農水省近畿農政局の調査では、牛トレーサビリティ法に基づく個体識別番号についても不適正な表示が確認された。
事実と異なる個体識別番号を表示していたのは、「鹿児島黒牛カタロース」と「宗谷黒牛モモスライス」で計157パック、66.1kg。「鹿児島黒牛カタロース500g」は33パック、「400g」は10パック、「宗谷黒牛モモスライス400g」は114パックだった。
個体識別番号を表示していなかった商品もあり、「くまもとあか牛切り落とし」579パック、「黒毛和牛焼肉カット」126パック、「国産牛サイコロ」782パックの計1,487パック、2,018.5kgを卸売業者などに販売していた。
近畿農政局は、事実と異なる個体識別番号を表示したことなどの主な原因として、正しい情報を提供する意識や牛トレーサビリティ制度に対する認識の欠如、不適正表示を防止する管理体制や商品管理システムの不備が考えられるとした。
「鹿児島黒牛」でGI不正使用
農水省は、地理的表示「鹿児島黒牛」の不正使用も確認した。
同省によると、パナックスは少なくとも24年12月~25年3月まで、原料肉が「鹿児島黒牛」ではないことを認識していたにもかかわらず、同社で加工した牛肉パック商品を実需者へ卸売りする際に「鹿児島黒牛」と表示し、GIマークを付けて販売していた。農水省は、GI法が禁止する不正使用に該当すると認定した。
農水省はパナックスに対し、GI表示やGIマークの使用状況を点検し、違反する表示などがあれば除去・抹消すること、原因の究明・分析、再発防止策の実施などを命じた。
大阪府も、食品表示法違反の主な原因について、「消費者に対し正しい表示を行うという意識及び食品表示に関する認識の著しい欠如」、表示内容の確認・管理体制の不備があると考えざるを得ないと指摘。表示の是正、原因の究明・分析、チェック体制の強化などを指示し、11月6日までに講じた措置を報告するよう求めた。
【田代 宏】

