非変性Ⅱ型コラーゲンをなぜ拡充? カニバリは?【龍泉堂】海外有力ブランド導入で「攻めつつ守る」戦略
鶏胸部軟骨由来の非変性Ⅱ型コラーゲンのラインアップを拡充した㈱龍泉堂(東京都豊島区)。サプリメントの原材料開発・販売を手掛ける企業としてポートフォリオを広げていくことは自然だが、経口免疫寛容、関節ケア、少量摂取といった特徴が重なる製品を複数抱えることのメリットは、いまひとつ見えてこない。狙いを同社の塩島由晃社長に聞いた。
臨床データに違い 「カニバリない」
「NEXT(ネクスト)-Ⅱ」と「Collavant(コラバント) n2」。それぞれ同社が現在取り扱う非変性Ⅱ型コラーゲン(鶏胸部軟骨由来)原材料のブランド名だ。前者は2022年に発売した自社開発素材で最終加工国は日本。後者は今年5月、同社が新たに製品ラインアップに加えた欧州で一貫製造される非変性Ⅱ型コラーゲンで、医薬品原薬ヘパリンの製造販売で世界的大手とされるスペインのライフサイエンス企業Bioiberica(バイオイベリカ)社が開発、製造するもの。龍泉堂は、同社から日本での独占販売権を得た。
ネクストⅡは現時点で機能性表示食品対応素材、コラバントn2は「今後日本人を被験者にしたデータを追加する」(塩島社長)と、日本の機能性表示食品制度に対する足元での対応状況に差がある。しかしそれぞれの特徴に大きな違いはない。
どちらもⅡ型コラーゲンに特有の三重らせん構造を維持しているため経口免疫寛容を作用メカニズムとする機能性が期待できる。期待できる機能性は双方とも関節の健康維持・増進(関節ケア)で、それぞれRCT(ランダム化比較試験)で機能性が検証されている。1日あたりの摂取目安量も同じ。「1日1粒」を可能とする40mgである。「カニバリゼーション(自社内競合)を起こさないのだろうか」。同社がコラバントn2の取り扱い開始を発表した際、そのように首を傾げる業界関係者が存在したのは当然といえば当然だ。
「カニバリ? それはない」。同社の塩島社長は取材にそう断言した。なぜ、そう言い切れるのか。「ネクストⅡとコラバントn2は臨床データの取り方が違う。ネクストⅡにはないデータがコラバントn2にあり、コラバントn2にないデータがネクストⅡにはある」
つまり、こういうことだ。新たにラインアップに加えたコラバントn2の機能性は、基本的に膝関節を対象に検証されている。かつ、それは運動時や運動後の膝の違和感を対象に確かめられたものだ。それに対してネクストⅡでは、膝関節にとどまらず、腰であったり、階段の昇り降りを含む歩行機能であったりに及ぼす機能性を、運動時でも運動後でもない状態で検証している。
他方、コラバントn2にあって、ネクストⅡには今のところないデータとして、関節軟骨の保護機能を示唆するデータがある。ヒト試験で関節軟骨破壊の指標とされる尿中CTX-Ⅱを評価。運動時の違和感が強い被験者層で、コラバントn2摂取群はプラセボ群との比較で有意な低下を示したという。また、膝に痛みを抱える女性のみを対象にしたヒト試験が実施されている。これもネクストⅡにはないデータだ。
二枚看板で市場シェア拡大図る
このように、それぞれの機能性の大枠は関節ケアではあるが、機能性を評価する対象部位や評価手法、評価項目がそれぞれ異なる。「だから棲み分けができている。どちらが良いという話ではなく、それぞれに違いと良さがある」(塩島社長)。かつ、こんな違いもある。「コラバントn2は欧州を中心に各国で採用されている。ネクストⅡもアジア圏を中心に輸出しているが、コラバントn2は非変性Ⅱ型コラーゲンの世界的なブランドだ」(同)。
そうした関節ケアのグローバルブランド原材料を、日本では初めて龍泉堂が取り扱うことになった。単に取り扱うだけではない。前記のとおり国内独占販売権を得ている。そのため、他社が国内でコラバントn2を展開することは不可能だろう。そう考えれば、同社が非変性Ⅱ型コラーゲンを拡充した理由がより鮮明に見えてくる。まず、ネクストⅡとコラバントn2の二枚看板で国内の非変性Ⅱ型コラーゲン市場におけるシェア拡大を図ること。次いで、海外の有力ブランドを自社の手元に置くことで、他社の参入余地を狭めること。つまり「防衛」だ。製品ラインアップの拡充で攻めつつ守る。塩島社長は取材でそのように説明した。
【石川太郎】
(冒頭の画像:龍泉堂が現在ラインアップする非変性Ⅱ型コラーゲンの製品ロゴ)

