龍泉堂、45周年セミナーに170人 フレイル予防から機能性素材、品質管理まで
㈱龍泉堂(東京都豊島区、塩島由晃社長)は17日、東京都豊島区のホテルメトロポリタンで、創立45周年記念「第9回 超高齢社会学術セミナー」を開催した。業界関係者170人が参加。東京大学大学院医学系研究科教授の小川純人氏が、高齢者のフレイルや認知症、その予防対策について特別講演した。このほか、同社が取り扱う機能性素材の最新研究成果を紹介した。
終了後の懇親会では、(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)の池田秀子理事長が、GMP義務化などを背景に健康食品の品質管理の重要性が高まっていると強調した。
研究主導型企業を目指す
冒頭、挨拶に立った塩島社長は、前日の16日に創立45周年を迎えたことについて、取引先や研究者、国内外のパートナー企業などに感謝を表明した。

「健康食品やサプリメントを取り巻く環境は大きく変わった」と振り返り、健康寿命の延伸やQOL向上に果たすサプリメントや機能性表示食品の役割が大きくなる中、科学的根拠や安全性・品質管理・GMP基準などの情報に対する社会の要求も高まっているとの認識を示した。その上で、「単に原料を輸出入、販売する会社ではなく、自らも研究開発し、動物試験や臨床試験を行い、独自のエビデンスを作り、その結果を皆さまと共有する研究主導型の企業、原料メーカーであり続けたい」と述べ、科学的根拠を持つ素材を市場に送り出していく考えを強調した。
フレイルから要介護への連鎖
続いて登壇した小川氏は、「高齢者のフレイル・認知症とその予防対策」をテーマに講演した。フレイルを身体的、社会的、精神心理的な側面を含む概念として説明。生活習慣病や加齢、フレイルを背景に、転倒・骨折、認知症、脳血管障害などを経て、寝たきりや要介護につながる過程を説明した。
フレイルが進行する仕組みについては、栄養状態や筋力、身体活動などの低下が相互に影響する「フレイル・サイクル」を紹介した。慢性的な低栄養や食欲・食事摂取量の低下から、体重減少やサルコペニア、筋力や歩行速度、活動量の低下などが連鎖し、フレイルを進行させる悪循環について説明した。
健康寿命の延伸に向けては、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に加え、加齢に伴うフレイルへの対応が重要となるとし、小川氏は、転倒・骨折の背景として骨粗鬆症、サルコペニア、ロコモティブシンドロームなどを指摘。認知症については、アルツハイマー型、血管性などがあるとした。また、こうした過程の中にACP(人生会議)を位置付け、健康寿命だけでなく、人生の最終段階を見据えた対応についても取り上げた。

人生の最終段階における臨床経過については、小川氏らによる研究成果も紹介した。
研究では、看取りの場所によって患者の特性が異なるとし、死亡1~3カ月前の同時期に疼痛管理と緩和ケアが実施される傾向がみられたとした。また、自宅で最期を迎えるためには、リビング・ウイルを持った上で十分なケアを導入する必要性が示唆されたという。
死亡の徴候についても、死亡1週間前、48時間前、1日~半日前にみられる徴候は多様で、因子分析の結果などから、各時期の徴候に共通性や連鎖が認められる可能性を示唆した。
機能性素材の最新研究を紹介
龍泉堂からは、開発室の高橋亮平氏らが機能性素材に関する最新の知見を紹介。サフラン由来素材「Affron®(アフロン)」を取り上げ、日本人の睡眠を取り巻く状況や、睡眠、ストレスに関する研究成果を説明した。また、オリーブ葉抽出素材「Bonolive®(ボンオリーブ)」について、骨や関節、肌などを対象とした臨床試験を紹介した。
塩島社長は非変性Ⅱ型コラーゲン「NEXT-Ⅱ®」について、日本人を対象に実施した臨床試験などの研究成果を報告。膝関節機能を評価した12週間の試験や、MRIを用いて軟骨体積などを評価した24週間の試験について説明した。
品質管理の重要性強調
続く懇親会にも130人の関係者が参加した。
来賓の挨拶では、古くから業界で活動する(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)の池田秀子理事長が登壇。機能性表示食品へのGMP義務化やサプリメントを巡る規制見直しを背景に、健康食品業界で「品質」に大きな注目が集まる時代を迎えたとの認識を示した。

130人が詰めかけた懇親会、乾杯の瞬間
池田氏は、天然物由来の素材を扱う仕事について、「単に良い素材を見つけて販売するだけではなく、その機能性と安全性、そしてそれらを支える品質について、長い時間をかけて信頼を積み重ねていくことが非常に大切」と強調した。
龍泉堂は1981年の創業以来、天然物由来の原材料を中心に健康食品素材を供給してきたが、創業当時は食薬区分による厳しい規制の下、健康食品に使用できる素材が限られていたと振り返った。
その後、規制緩和が進み、1998年には約170種類の西洋ハーブなどが健康食品にも使用できるようになったが、「玉石混交の素材が市場にあふれる」といった状況も一時期生じたと指摘。そのような市場環境の変化を経ながら、45年間にわたり第一線で原材料を供給してきた龍泉堂に敬意を表した。
さらに池田理事長は、健康食品を取り巻く最近の制度改正にも言及した。
「機能性表示食品についてのGMPの義務化が完全実施された」とした上で、サプリメント全体の規制のあり方を巡る審議についても「一応終了し、これから取りまとめに入ると思う」と説明した。
その上で、「その中で品質という問題に大きな光が当たるという時代になってきた」と述べ、品質管理の重要性が一段と高まっているとの認識を示した。
45年の「信頼の積み重ね」を評価
池田理事長は、2005年に健康食品GMPの認証を開始した頃に塩島社長と知り合ったエピソードも披露した。塩島氏が2011年に2代目社長に就任した当時を振り返り、若い経営者がどのように会社を率いていくのか心配しながら見守っていたとしたが、その後について、「龍泉堂という会社をしっかり受け継いで、今日の姿まで引っ張ってこられた」と評価した。

塩島社長がJIHFSの理事として約10年間活動していることにも触れ、規範の改定などに際して意見を求めると、「きちんと積極的な意見を送ってくださる」と協会活動への貢献に謝意を示した。
池田理事長は、品質管理を重視する現在の流れについて、「まさに龍泉堂様が歩んで来た、そして非常に大事にして来られたことが、今、ここに大きくまた前に進む力になるのだろう」と期待を寄せた。
【田代 宏】

