総医研、抗疲労分野で業界トップクラス 【機能性表示食品特集】400超のヒト試験で得たノウハウ
㈱総合医科学研究所(大阪府豊中市、杉野友啓社長)は、「抗疲労」、「エネルギー代謝(脂肪燃焼)」領域のヒト試験を得意とする。エネルギー代謝を評価する呼気ガス分析装置は6台保有している。400件以上のヒト試験を通じて得た機能性評価のノウハウを基に、新規成分による届出サポートが得意。昨年からPET-CT検査、MRI検査が可能な医療機関と提携し、試験領域の拡大を図る。
「コンソルト声明」準拠論文200報以上に
特定保健用食品(トクホ)の許可申請用試験で培った豊富な経験も強みだ。個別許可型トクホにおいてはトップクラスの実績を持つ。ヒト試験受託では、血圧、疲労感、アレルギー、体脂肪、脂質代謝、食後血糖、眼精疲労、睡眠、肌、膝関節、骨の健康など400件以上のヒト試験を通じて取得した機能性評価のノウハウを有しており、多くの試験データが機能性表示食品の届出資料に活用されている。
臨床試験登録システム(UMIN-CTR)への登録対応、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に準拠した試験実施に対応し、医学系、栄養学系をはじめとした査読付き学術雑誌で、 CONSORT声明に準拠した論文作成において200報以上の実績を誇る。
同社のヒト試験施設「江坂リサーチセンター」(大阪府吹田市)には、「疲労評価試験」、「睡眠評価試験」、「肌評価試験」、「呼気ガス分析による脂肪燃焼評価試験」、「血管内皮機能評価試験」などの各種ニーズに対応した設備がそろっている。また、温度・湿度・照度・音などを徹底管理することで、最適な試験環境を整備している。コンプライアンスに優れた約5万人の被験者バンクから該当者を抽出し、迅速で安定的に被験者を確保している。
「呼気ガス分析装置」所有数は業界トップ
受託で最も多いのが抗疲労試験だ。身体的疲労負荷試験では、自転車エルゴメーター、トレッドミルなどを用いる。精神的疲労負荷試験では、パソコン作業による探索作業・記憶課題・計算課題などを計測する。また、就労などによって生じた疲労を対象とした試験も行う。
「最終的な目標は健康寿命の延伸」という杉野友啓社長。同社では生活の基礎をなす衣・食・住の食以外でも、寝具・照明(住)やインソール(靴の中敷き、衣)でも疲労感を軽減することで日常を快適に過ごすための課題解決を図っている。
次いでニーズが多いのが脂肪燃焼試験(脂質代謝系の試験)で、呼気ガス分析による脂肪燃焼試験を得意としている。同社の臨床試験専用施設「江坂リサーチセンター」(大阪府吹田市)には、1台600万円を超える高価な測定機器(呼気ガス分析装置)が6台設置されている。保有台数では業界トップを誇る。
その他にも、「運動機能評価」、「血管内皮機能評価」、「肝機能評価」、「睡眠評価」、「肌評価」などに定評がある。
「PET-CT」「MRI」による検査も可能に
また昨年から、新たな医療機関と提携し、PET-CT検査やMRI検査が可能となった。PET-CTでは脳機能の分子イメージング、MRIでは骨格筋量、関節機能の評価など、検査領域の拡大を図る。
機能性表示食品制度が発足してから9年。年間で平均20件程度を受注し、機能性表示食品に関する臨床試験はこれまでに60件超の受注実績を持つ。同制度の施行によりエビデンス重視の考え方が業界に浸透。届出以外で、安全性に関するエビデンスを求めるユーザーが増えた。新規事業の立ち上げに伴う異業種からの問い合わせも急増し、臨床試験は内科以外の領域にも広がりを見せた。一時期、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、ウェブ対応を行うなどの工夫で乗り越えた。
5月8日には新型コロナウイルス感染症も5類への移行が決まり、その影響力が弱まる中、試験の受託は順調に推移し「秋期の試験も埋まり始めている」と話している。
機能性表示食品制度への評価はかなり高い。「消費者に対しては、効果効能をきっちり伝えないと購買意欲につながらない。しっかりしたエビデンスを持って、きちんとした商品を幅広く使ってもらうというのが大事。疾患領域に入る手前の人をどうやってそこに入らないようにするか。良い商品であれば、健康な領域に引き戻すことができるわけだから、そういう役目を持った機能性表示食品は今後も普及させなければならない」という。
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事業内容:臨床試験の受託事業
(冒頭の写真:呼気ガス分析装置)