小林製薬㈱（大阪市中央区、小林章浩社長）が販売する機能性表示食品のサプリメント『紅麹コレステヘルプ』を使用した複数の人に腎障害の有害事象が生じた問題で、入院症例数が24日時点で26人に増えていたことが分かった。

問題公表後、体調不良の相談が多数

　今回の問題を小林製薬が初めて公表した22日18時の時点で入院症例数は6人（うち5人は同日までに退院）だったが、その後、20人増えたことになる。同社によれば、20人のうち医師から報告があったのは1人で、その他は有害事象が生じた本人や家族などからの報告。現在までに大半が退院したが、入院中が3人、退院後通院中が9人、それぞれ存在するという。

　同社が25日午後、明らかにした。有害事象の公表以降、同製品を使用して体調不良を感じる消費者からの相談が多く寄せられていて、電話がつながりにくくなっているという。そのことを同社は謝罪しつつ、電話回線の増設や相談員の増員を行うなどして対応を強化する、としている。

原材料販売の状況公表　サプリ等用途で年間6.9トン

　同製品は、小林製薬が自社工場で製造する紅麹を配合したもの。同社はそれを自社製品に使用するほか、外部企業に原材料供給していたため、影響が広がっている。その中で同社は25日の新たな発表で、有害事象を起した可能性がある紅麹の原材料販売量などを公表。昨年の1年間で製造した量は18.5トンだったことを明らかにした。

　同社の発表によれば、18.5トンのうち同製品（紅麹コレステヘルプ）への使用量は2.4トンにとどまり、16.1トンを外部企業向けに販売。16.1トンのうち6.9トンは、同製品に使用しているのと同じ紅麹原材料の販売量で、使用用途は「サプリメントなど」。6.9トンのうち一部は、同社が「想定していない成分」が「含まれる」ことを確認しているという。

　一方、残り9.2トンは、食品や飲料の着色や風味付けなどの用途で販売したもの。これは同製品に使用しているのとは異なる紅麹原材料で、「想定していない成分」が「含まれない」ことを確認しているという。サプリメントなどの用途の紅麹も含め、直近1年間に製造した全製品の検査が24日までに終了した。

直接取引先52社、そこからさらに別のメーカー等へ

　同社が製造販売する紅麹中に、同社として想定していない成分が見つかったのは、昨年8～9月に同社の大阪工場で製造し、10～11月に出荷した分。その成分が何か、また、その成分と有害事象との因果関係がはっきりしていないこともあり、同社は現在、製造ロットに関わらず製品回収を進めている。原材料供給していた先にも22日から回収を要請しており、同社製紅麹を配合した食品を自主回収する動きが日を追うごとに拡大。健康食品業界からは、「一刻も早い原因究明が求められる。原因が分からないと他の原材料にも影響が飛び火する」との懸念の声も聞かれる。

　同社の発表によると、同社製紅麹を配合した外部企業の製品に関して腎疾患等の有害事象の報告は今のところない（24日時点）。同社製紅麹の原材料販売を担当していたのは子会社「小林製薬バリューサポー」で、同社と直接取引していた外部企業は52社あった。ただ、直接の取引先が別の食品メーカー等に卸し販売する場合もあり、どの製品に使用され、どこでどう販売されているのか、同社としても全貌を掴めていない様子だ。

「想定しない成分」含む製品の製造番号公表

　小林制製薬は25日の追加発表で、同社の「想定していない成分」を含む可能性がある紅麹原材料を使用した『紅麹コレステヘルプ』の製造番号を公表した。

　製造番号は製品パッケージ裏面の左下に記載がある。ドラッグストアをはじめとする店頭やECサイトでの販売分の製造番号は以下のとおり。

J3017、X3037、X3027、X3017、H3057、H3047、H3037、H3027、H3017、F3037、F3027、E3037、E3027、D3079a

　また、同社の通信販売を通じた販売分の製造番号以下のとおり。

X304、H306、G301、E301

　以上のうち、X3017、H3047、H3037、H3027、H3017のほかH306は、入院症例が確認された製造番号だという。

【石川太郎】

（冒頭の画像：回収が進められている小林製薬の機能性表示食品。同社の報道発表資料から）

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