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湧永製薬、海外市場10年で1.6倍 記者セミナーで湧永寛仁社長が抱負を語る

  湧永製薬㈱(東京都新宿区、湧永寛仁社長)は2日、記者セミナーを帝国ホテル(東京都千代田区)で開催した。コロナ禍の下、会場とZoom配信のハイブリッド開催を実施した。会場には約40人近いプレスが詰めかけた。

 セミナーは3部構成。代表取締役社長の湧永寛仁氏は「湧永製薬グループ海外法人50周年と今後の挑戦~アメリカ・ドイツ・そして東南アジアへ」というテーマで、今年1月で設立50周年を迎えた同社の子会社ワクナガ・オブ・アメリカの歴史と事業展開を中心に紹介した。続いて同社学術・営業薬制部の前川尻真司氏が、熟成ニンニク抽出液の研究概要、有用成分の働きについて解説。中央研究所の三木里美氏が熟成ニンニク抽出液の慢性炎症抑制作用による動脈硬化改善について、最新の研究報告を行った。

熟成ニンニク抽出液を開発

 湧永社長は主力製品『キヨーレオピン』の開発に至るまでの経緯を説明した。同社は67年前の1955年6月1日、大阪の地で、従業員25人でスタートした。創業者である祖父・湧永満之氏とオイゲン・シュネル博士との逸話も紹介。二人三脚で熟成ニンニク抽出液を開発する2人の間には「医薬品は専門家の手に委ねる」、「研修に励まれる先生と取引をする」、「広告のみで医薬品を販売しない」、「抗生物質に頼りすぎない」、「東洋医学のすばらしさを研究する」、「医薬品に国境はない」という6つの約束が交わされたという。これらの約束の下に、マイルドで独自性の高い熟成ニンニク抽出液が生み出され、1991年には科学技術長官賞を受賞した。

主力製品『キヨーレオピン』誕生(1960年)

 シュネル博士からは当時、「ニンニクというのは、古来から非常に体にいいものだということが分かっている。ただし、ニンニクは非常に刺激の強い成分を含んでいるため、生で食べるのは難しい。加工することで刺激を抑え、ニンニクの良さを引き出すようなことはできないか。そういう研究を行ってみてはどうか」とのアドバイスを受けたという。
 同社は現在、広島事業所(広島県安芸高田市)の熟成タンクで約2年の時間をかけて生ニンニクをゆっくりと熟成させ、刺激の強い成分を有効成分に変化させる独自の技術で主力製品『キヨーレオピン』を1960年に開発。現在は液剤5タイプ、固形剤3タイプのラインアップを揃え、薬系ルートで展開している。湧永社長は、「おかげさまで、滋養強壮剤というカテゴリーの中では長年トップ」を続けているという。

「キョーリック」シリーズが充実

 同社は17年1月から、「キョーリック」シリーズとして健康食品も展開している。健康補助食品『キヨーリック』のほか、熟成ニンニク抽出液とイチョウ葉やCoQ10、DHAなどの他成分を配合した機能性表示食品7品目、栄養機能食品1品目を上市。「OTCとは違うチェネルを開拓した」(同)とし、薬局薬店のほかスーパーなどでも展開している。
 さらに犬用健康補助食品『ワンサポート』を18年に上市。今後、動物病院向けの製品も開発中という。

「ワクナガ・オブ・アメリカ」設立50周年

 湧永社長によれば同社は、地元に根付く「地産地消」という考え方を大事にし、海外展開を図っているという。1972年にハワイに現地法人「ワクナガ・オブ・アメリカ」を設立した後、79年に本社機能をロサンゼルスに移転。その後、ミッションビエホに本社・工場を新たに建設し、2011年にミラローマに新工場を解説した。今年22年で50周年となる。米国を拠点に現在、50カ国以上で展開している。

生産体制やプロモーション活動を強化した結果、「ニューヨーク・タイムズ」や「ウォール・ストリート・ジャーナル」などの大手メディアにも取り上げられた。
17年に欧州への進出を開始。ベルリン(ドイツ)に現地法人「ワクナガ・オブ・ヨーロッパ」を設立。20年にグリュンバルダー社(ドイツ)を買収し、欧州における販売チャネルの確保と販路拡大のシナジー効果を図り、翌年、液剤タイプの『Kyolic Kardio Liquid』を特別医療目的用食品として発売した。セミナーでは、ドイツで放映しているテレビコマーシャルも会場で紹介した。海外における市場開拓を加速させた結果、主力製品『Kyolic』の売上は直近10年間で約1.6倍まで伸びたという。今後同社は東南アジア、「特にタイに集中して健康市場を伸ばしていきたい」(同)という。

「健康の根源に関わる研究を」(湧永社長)

 メタボリックドミノの概念に基づき、今後の海外戦略を述べた。メタボリックドミノとは上流に「肥満」などの生活習慣、中流に「高血圧」、「脂肪肝」などの健康異常、下流に「心不全」、「脳卒中」などの疾病を配置し、上流から倒れ始めたドミノが最終的に疾病に行きつくというもの。
湧永社長は、「世界では上流のドミノが何なのかという研究が進んでいる。熟成ニンニク抽出液がドミノの上流に深くかかわっていると感じている」とし、「倒れにくいドミノを作るために疾病予防領域における研究、人間の健康の根源に関わる研究を継続し、報告していきたい」と抱負を語った。
「医薬品に国境はない」とする湧永社長。今後は東南アジア、「特にタイに集中して健康市場を伸ばしていきたい」(同)と述べた。

【田代 宏】

(冒頭の写真:湧永寛仁社長)

関連記事:熟成ニンニク抽出液の有用性(前)

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