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消費者庁VS大幸薬品(2)
合理的根拠をめぐるバトル

 消費者庁とのバトルが続いている大幸薬品㈱(大阪府吹田市、柴田高社長)が東京地方裁判所に提出した根拠資料がどういうものか。
 同社は報道関係者向けに配布したプレスリリースで、東京地裁が下した判断として、3点に絞ってその概要を紹介している。以下にそのまま紹介する。
 
(ア)専門家のヒアリング結果及び査読付き論文試験から、二酸化塩素には、その酸化作用によって、空間中に浮遊するウイルス等を不活化する作用があり、二酸化塩素の濃度が高いほど不活化作用が強くなることが認められる。

(イ)(同社が提出した二酸化塩素の空間除菌効果に関する試験結果が記載された)本件各外部報告書に記載された試験は、外部機関でありJEM1467において公的機関とされている北里センターにおいて、JEM1467の附属書Dに準拠して実施されたものであり、関連する学術界・産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されたものということができる。

(ウ)(同社が消費者庁に提出した資料によって)置き型のクレベリン商品が実際の生活空間においても浮遊するウイルス等を除去する効果を有することが合理的な根拠を有する資料によって裏付けられているということができ、本件各表示のうち、(クレベリン置き型60g)については6から8畳の部屋において、(クレベリン置き型150g)については8から12畳の部屋において、空間に浮遊するウイルス等の相当程度を除去する効果を有することが、合理的な根拠を示す資料により裏付けられている。

以上

 ここで言う「JEM1467」というのは、(一社)日本電機工業会が発行している規格である。1995年3月に制定し、2015年3月に改正している。一般家庭や事務所などに設置して「脱臭」、「集じん(塵)」、「ウイルス抑制」、または集じんだけを行う空気清浄機(空気清浄器)などについて規定している。
 同工業会によれば、規格を必要とする事業者・団体や個人に対して有料で発行しているという。 東京地裁が置き型以外の4商品について仮処分を認めなかったのは、あるいは「~設置して」とする規格の規定に基づいた判断だったのだろうか。

 大幸薬品のホームページには、学術情報として同社の研究成果が数多く公開されている。ただ、これらの論文のレベルはどの程度のものなのか?

 論文が投稿される学術雑誌を評価する指標の1つに「インパクトファクター」がある。大幸薬品の論文が掲載されたとする学術雑誌のインパクトファクターを分かる範囲で確認したところ、少なくとも11誌がヒットした。
 この中には、インパクトファクターが「15.534」という高い水準を示す『European Journal of Pharmaceutical and Medical Research』も含まれており、論文のタイトルは「感染症予防のための二酸化塩素ガス」とされている。

 ほかにも、タイトル「低濃度二酸化塩素ガスをラットに6ヵ月間投与と2週間の回復期間を設けた吸入毒性試験」掲載誌『Journal of Occupational Medicine and Toxicology』(インパクトファクター:2.646)、「二酸化塩素は次亜塩素酸ナトリウムよりもSARS-CoV-2に対してより強力な抗ウイルス剤である」『Journal of Hospital Infection』(3.926)、「A型インフルエンザウイルス感染に対する低濃度二酸化塩素ガスの防護効果」『Journal of General Virology』(3.891)、「二酸化塩素によるインフルエンザウイルスのヘマグルチニンの不活化:受容体結合部位におけるトリプトファン153の酸化」『Journal of General Virology』(3.891)などがある。

 もっとも、「ジャーナルが優秀でも掲載される論文が優秀とは限らない」(有識者)との見方もある点を付け加えておく。

 大幸薬品は2014年にも消費者庁から措置命令を受けている。
 「簡単、置くだけ! 二酸化塩素分子がお部屋の空間に広がります。」、「置く、掛けるで使える! 自分だけの空間に浮遊するウイルス・菌を除去!」、「用途 オフィスに 教室に 居室に その他、洗面台、化粧台、ロッカー、食器棚などにもお使いいただけます」などと記載していた。
 その後同社は、「利用環境により成分の広がりは異なります」との注意文言を入れて修正を行っている。
 今回の措置命令についても同社は、「指摘を受けた表現に関しては修正したが、今回はその部分を含めてということなので、え?というところがあった」と驚きを隠さない。

 同社の柴田社長も2020年3月、経済誌の対談でそのことに言及している。
 「消費者庁の措置命令に従って努力し続け、CMにもただし書きをつけるようにした。CMを改変したことによって、消費者には理解してもらえたはずだ」と語っている。また、14年当時にSNSなどで一般消費者からクレベリンに対する中傷を受けたことを告白。
 「(今ではSNSで)『クレベリンを使ったらこのシーズンにインフルエンザにかからなかった』、『効いているようだ』という書き込みも出てきており、ある程度の民意は獲得できたと思っている」と述べている。

 しかし一部報道によると、今回もまた同社の株価が急落、ネットなどで書き込みによる中傷があるとの報道記事を見かける。
 
 一方の当事者である消費者庁は今のところ沈黙を貫いている。同庁がどのような対抗措置を取っているのか、取っていないのかは皆目分からない。しかし、国民の血税を使って係争するのだとすれば、速やかな情報開示を期待するのがごく普通の国民感覚だろう。
 合理的根拠とは何か? 今回の措置命令は事業者のみならず、空間除菌市場、商品を購入した消費者にも多大な影響を及ぼしている。特に消費者にとって、措置命令が一部取り消されたシリーズ商品の効果をめぐっても懐疑的な状況が生まれている。

 消費者庁は記者会見で、「措置命令が出てないということをもってその商品が、景品表示法上問題がないという話ではない。景表法上問題があるということであれば、今措置命令が出てないからといって、調査対象にならないということはない」と、含みのある言葉を述べている。一刻も早い解決を期待すると同時に、大幸薬品、消費者庁のいずれに対しても、消費者不在の裁判にならないことを求めたい。

【田代 宏】

(冒頭の写真:措置命令の対象となった商品)

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      消費者庁、空間除菌商品に措置命令
YouTube動画:「クレベリン」シリーズの措置命令めぐり、消費者庁と大幸薬品が対立

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