1. HOME
  2. 機能性表示食品
  3. 機能性表示制度見直し、検討会が報告書 案にはなかった事業者へのメッセージ

機能性表示制度見直し、検討会が報告書 案にはなかった事業者へのメッセージ

 機能性表示食品制度の見直しの方向性を提言する有識者検討会の報告書がまとまり、消費者庁が27日、公表した。検討会は23日に報告書の案を議論。文言等の修正を行った最終的な報告書を座長一任で取りまとめた。報告書には、機能性表示食品に関わる全ての事業者に対するメッセージが最終的に盛り込まれた。

 消費者庁は、機能性表示食品の安全性に重きを置いて議論した検討会の提言などを踏まえ、今月末までに制度見直しの方向性を確定し、政府や社会に提示する。その後、機能性表示食品の根拠法令である食品表示基準(内閣府令)などの改正を実施する見通し。それに伴い、届出ガイドラインの改正も行うとみられる。

 検討会は、報告書の末尾に、案にはなかった事業者の連携などを求める提言を盛り込んだ。

 機能性表示食品は「安全性及び機能性について国の評価を受けずに機能性表示が可能となる制度である以上、事業者による届出後の自己評価が適時適切に行われていることが前提となる制度である」とした上で、「制度に対する消費者からの信頼を回復させ、本制度の特色を活かした発展を遂げていくためには、事業者が連携して上記の提言に自発的に取り組むことを強く期待したいとの意見があった」と追記した。

サプリのGMP管理、健康被害情報の報告 法的義務化を提言

 検討会が示した制度見直しの方向性は大きく3つ。まず、健康被害疑い情報の消費者庁、保健所への報告義務化。報告対象事案や提出期限などのルールを食品表示基準で規定することも提言した。これにより「遵守しない場合には機能性表示食品としての表示を行わないよう食品表示法上の指示・命令などの行政措置を発動することが可能になる」とした。

 次に、錠剤やカプセル剤などの形状を持つサプリメントの機能性表示について、法令で規定したGMP(適正製造規範)に基づく製造・品質管理の法的義務化(届出時及び届出後の販売期間中)。GMPの具体的な内容については、今年3月発出の厚労省課長通知「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する通知」(GMP通知、現在の所管は消費者庁)を基本とすることを提言した。GMP通知の対象は、主に最終製品。

 検討会は報告書で、機能性関与成分を含む原材料の品質管理について、「サプリメント形状の製品(最終製品)を製造する者がGMPに基づき当該原材料の受け入れ段階で当該原材料の成分全体の同等性や同質性の考えを基本として対応することを表示責任者である届出者の責任において実施させるべきだ」とした。分かりづらい書きぶりだが、検討会の議論では、「エビデンスがとられたモノとの同等性、同質性をパターン分析により確認できれば、一定の安全性は確認できるのではないか」とする意見が出ていた。

 3点目は、容器包装上の安全性に関する義務表示事項の見直し。「医薬品ではないこと」を「機能性表示食品である旨」との同一面に明記すること、医薬品等との相互作用や過剰摂取を防止するための安全上の留意事項を具体的に記載すること、特定保健食品(トクホ)のように食品自体に特定の保健の目的があるかのように誤認させる記載を表示禁止事項とすること──などを提言。特に、医薬品やトクホとの誤認を防止する観点からの義務表示事項見直しを求めた。

新規の機能性関与成分、安全性確認の厳格化求める

 一連の義務化事項は、届出済みの機能性表示食品に対しても適用するよう提言した。

 また、安全性に関する事項について「特例的な措置」の導入検討を求める意見も盛り込んだ。これは報告書の「その他」の項目に盛り込んだもので、新規の機能性関与成分の安全性などに言及している。制度の運用に影響を与える意見でもあり、案の段階で、一部の業界関係者が大きく注目していた。最終の報告書における当該部分の全文は以下のとおり。

 「新規の機能性関与成分に係るサプリメント形状の食品など、その性状に応じ、当該成分に係る機能性表示の裏付けとなる安全性等の課題について科学的知見を有する医学や薬学等の専門家の意見を聴く仕組みを導入する等、消費者庁における販売前の確認をより慎重に行うため、届出資料の提出期限を特例的に販売日前60日 (閉庁日を除く。)よりも長い期間とする手続の見直しや、届出・販売後の科学的知見の充実により機能性表示をすることが適切でないことが判明した場合に機能性表示ができなくなる仕組み等、安全性に関する事項への特例的な措置について検討を行う必要があるとの意見があった」

【石川 太郎】

(冒頭のイラスト:機能性表示食品を巡る検討会座長を務めた中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授)

関連資料:機能性表示食品を巡る検討会報告書(消費者庁のホームページへ)
関連記事:巡る検討会関連記事:検討会設置の背景は?
    :【第1回】過度な規制強化、「いわゆる健康食品」に流れる恐れ
    :【第2回】安全性に照準 制度見直し後のルール、「法令化が必要」
    :【第2回関連】業界団体、風評被害の大きさ訴える
    :【第3回】健康被害疑い情報、報告義務化へ 医師の診断伴う情報主体に
    :【第4回】GMP導入を議論 有識者意見一致、サプリメントは義務化へ
    :【第4回関連】健康食品GMP認証機関が意見表明
    :【第5回】義務表示事項の見直しも提言へ
    :【第6回(最終回)】サプリGMP義務化、健康被害情報の報告も要件に

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ