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機能性表示食品、サプリGMP義務化 巡る検討会が提言、健康被害情報の報告も要件に

 機能性表示食品のうち「サプリメント」の製造・品質管理はGMP(適正製造規範)の遵守を法令に基づく義務とすべき。サプリ以外の加工食品なども含め、医師が因果関係を否定できないと判断した健康被害情報を国や自治体に報告することも届出事業者の義務とすべき。現行の容器包装(商品パッケージ)の表示義務事項を見直し、医薬品や特定保健食品(トクホ)と消費者に誤認させない表示を新たな義務表示とすべき──機能性表示食品制度の見直しに向けた議論を進めてきた有識者検討会は23日、そのように見直しの方向性を提言する報告書の案を取りまとめた。

消費者庁、制度見直し案を今月中に

 提言の内容に影響を与えない修文を行った上で、来週にも、正式な報告書として公表する。検討会の提言を踏まえ、機能性表示食品制度を所管する消費者庁は、提言を具体化させた制度見直し案を今月末までに取りまとめ、課題改善を図った制度の実施準備に入る。新たに義務化する項目は、新規から既存までの届出事業者に適用する方向。経過措置期間を設けるが、健康被害情報の報告義務は迅速に実行する考えを同庁は示唆している。

 小林製薬㈱(大阪市中央区)が販売していた機能性表示食品のサプリメントの使用で消費者に生じた腎機能障害の広がりを受け、制度を所管する消費者庁は、官房長官に指示された制度見直しの方向性を確定させるため、各方面の有識者で構成する「機能性表示食品を巡る検討会」(中川丈久座長=神戸大学大学院法学研究科教授)を設置。検討会は、4月中旬に初会合を開き、報告書案を取りまとめた23日の最終回までに、関係団体等に対する延べ19回のヒアリングを行いながら、特に安全性の確保に重点を置いて議論を進めた。

 検討会は報告書で、機能性表示食品の届出や販売などに関する要件を、法令で明確に規定するよう提言。法的強制力はないため、行政措置を講じられるどうかが曖昧であった届出ガイドラインを主体とする制度運用からの転換を提言した。同庁は、食品表示法に基づく内閣府令の食品表示基準を改正して提言に応える。届出事業者が義務事項を遵守していなかった場合、同法に基づく指示、命令などの行政措置を講じられるようにする。

機能性表示しないサプリ、「規制のあり方 今後の検討課題とすべき」

 一方、機能性表示食品に対する規制や要件を厳格化し過ぎて、安全性や機能性の科学的根拠の開示が求められない「いわゆる健康食品」に事業者が立ち返り、消費者の商品選択肢を狭めてしまう本末転倒に陥ってはならないとも提言した。報告書の案では、小林製薬が起こした問題の再発を防止するために、「機能性表示食品の信頼性を高めることができ、かつ、実効性のある対応策とする必要がある」と盛り込んだ。

 また、機能性表示食品以外のサプリメントに対する規制の必要性にも言及。その規制のあり方を「今後の検討課題とすべきとの意見があった」とした。検討会の議論の過程では、ヒアリングを受けた業界団体が「サプリメント法」の制定を提案。法律上の定義がない「いわゆる健康食品」が抱える諸問題を解決できる手段だと訴えた。検討会の構成員が一部、法制化に賛同する意見を示してもいる。検討会が懸念する、「いわゆる健康食品」に戻ることを抑止するためには、機能性表示食品以外のサプリメントに対する規制検討が必須となる。

 機能性表示食品のサプリメントに義務付けるGMPの具体的な内容については、今年4月に所管が厚生労働省から消費者庁に移った行政通知「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針」を土台にするよう提言した。機能性関与成分を含む原材料の製造・品質管理にGMPは義務付けないが、最終製品製造事業者が原材料を受け入れる段階で、届出時における機能性関与成分全体との同等性や同質性を確保することを基本とするよう求めた。届出者がGMP準拠を自己点検できるようにするほか、消費者庁が食品表示法に基づく立入検査を行う仕組みの構築も検討すべきだともしている。

【石川太郎】

(冒頭のイラスト:巡る検討会の有識者構成員全9人の似顔絵、文中の画像:オンラインで開催されライブ配信された会合の様子)

関連資料:機能性表示食品を巡る検討会 報告書(案)(消費者庁のホームページへ)
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