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東洋新薬からロコモ対策の新成分 バナバ葉由来コロソリン酸、日常的な運動とともに

 中高年のうちからのフレイルやロコモの予防対策にアプローチする植物由来の機能性食品成分が最近、新登場した。開発したのは、機能性表示食品など健康食品の受託開発・製造を手がける㈱東洋新薬(本部:佐賀県鳥栖市)。健康寿命を延ばすためのフレイル・ロコモ対策は、50代のうちから始める必要があると同社では訴える。健康食品事業の主要な受託品目として注力しているプロテインとの親和性があることもあって、この分野の研究開発に力を入れている。

歩行能力の維持、膝の違和感軽減などに機能

 加齢に伴い低下する歩行能力の向上に役立つ機能、椅子から立ち上がるときや座るときの膝の違和感を軽減する機能、一時的な腰や肩の負担を軽減する機能──そうした身体活動にかかわる3つの機能が報告されていると、機能性表示食品のヘルスクレームにおいて説明されている機能性成分がバナバ葉由来コロソリン酸だ。

 東南アジアなどに生息する落葉高木のバナバの葉に由来する成分で、トリテルペノイドの一種。もともと血糖値抑制機能を訴求する機能性関与成分として届出が進んでいた成分だが、東洋新薬が独自に基礎研究からヒト試験まで行い、歩行機能の低下をはじめとするフレイルやロコモの要因にもなる身体機能の低下に対する有効性を見いだした。まずは同社で機能性表示食品の届出を実施。第1弾となる届出が今年4月に公開された。

 前述のヘルスクレームは、階段の昇り降りや散歩などといった、軽い負荷のかかる日常的な運動との併用を前提とする。主な摂取対象者は健康な中高年。ヘルスクレームの科学的根拠として届け出た研究レビュー(SR)で採用している2022年発表の論文では、50歳~70歳の健常男女40人を対象に、週4~5日のレジスタンス運動および健口体操(オーラルフレイル対策のための口腔体操)と併用するかたちで、バナバ葉抽出物の歩行機能や姿勢などに及ぼす影響を評価している。ちなみに、ヘルスクレームに反映されていないが、同論文では、筋肉量の低下によって生じると考えられる、顔やヒップの「たるみ感」に対する有効性が確認されたことも報告している。

 軽い負荷のかかる日常的な運動と、バナバ葉由来コロソリン酸を継続摂取することで、歩行能力などの身体機能が向上されるメカニズムについては、同成分を摂取することで、筋タンパク質の合成が促進され、骨格筋の筋肉量や筋力が維持されるためだと考えられるという。その根拠は、タンパク質の合成に重要な因子となるmTORを活性化させる働きのあることがコロソリン酸に示唆されていること。また、筋芽細胞を用いたin vitro 試験で、バナバ葉抽出物がmTORを介して筋タンパク質合成を活性化することや、その作用に関わる成分がコロソリン酸であることも示されているという。

フレイル対策、「食の領域でやれること多い」

 東洋新薬の研究開発部門はこう話す。「フレイルやロコモなどの対策を早いうちから進めることは、健康寿命延伸の観点から非常に重要。そこに対してサプリメントから明らか食品までの『食の領域』でやれること、やるべきことは沢山ある。タンパク質をはじめとする栄養素以外の機能性成分でもやれることは多いはず。そういった価値があるものを、我々の(研究開発に関する)総合力を駆使しながら総合的に見いだし、提案していきたい」。

 ところで、黒ショウガ由来テトラメチルルテオリンという成分がある。同社が最近、消費者庁に届け出た新規の機能性関与成分だ。「日常生活における一時的な疲労感を軽減する」機能があることを同社で突き止めた。メカニズムについては、褐色脂肪組織における交感神経活動の亢進にともなうエネルギー消費量の向上による、と説明されている。一時的な疲労感を軽減させて、疲れを感じやすくなった人々の背中を、外出や社会活動などに向かわせることができるのだとすれば、これも立派なフレイル対策の機能性食品成分だといえる。

【石川太郎】

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