㈱明治（東京都中央区、松田克也社長）はこのほど、発酵乳が野菜由来の機能性成分であるカロテノイドの吸収を促進することを明らかにし、その研究成果を「第76回日本栄養・食糧学会大会」（6月10日～12日）で発表した。発表のタイトルは「健常人において発酵乳と野菜の同時摂取はカロテノイドの吸収を促進させる」。同研究は、京都大学（湊長博総長）との共同で行われた。

　野菜には多くのカロテノイド（β-カロテン、α-カロテン、リコペン、ルテインなど）が含まれており、血圧を低下させる機能、目の疲労感を和らげる機能など、栄養補助食品や機能性表示食品の関与成分として知られている。
　しかし、カロテノイドの吸収率は低く、その吸収性を高めるためにさまざまな手段が検討されている。同研究は、健常人において、発酵乳が食事由来のカロテノイドの吸収性にどのような影響を与えるか評価した。

　ランダム化クロスオーバー試験により、3つの臨床試験を実施した。健常男性（1試験当たり16人）に、野菜（試験1：ニンジン、試験2：トマト、試験3：ホウレンソウ）のみ、または野菜と発酵乳を同時に摂取してもらった。発酵乳は、脱脂粉乳に乳酸菌（L. delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1251およびS. thermophilus OLS3290）を添加し調製。試験食品の摂取前、摂取2、4、6、8時間後に採血を行い、血漿中の全画分、トリアシルグリセロールリッチリポ蛋白（TRL）画分のカロテノイド濃度を測定した。

　試験1では、ニンジンと発酵乳を同時摂取したとき、ニンジンのみを摂取したときと比較して、摂取4、6、8時間後の血漿TRL画分中のβ-カロテン値が有意に高値となった。また、ニンジンと発酵乳を同時摂取したとき、ニンジンのみを摂取したときと比較して、β-カロテン、α-カロテンの上昇曲線下面積（iAUC）が、有意に高値となった。

　試験2では、トマトと発酵乳を同時摂取したとき、トマトのみ摂取したときと比較して、血漿TRL画分中のリコペンのiAUCが有意に高値となった。試験3では、ホウレンソウと発酵乳の同時摂取は、ホウレンソウのみ摂取したときと比較して、血漿全画分中のルテインのiAUCが有意に高値となった。

　これにより、野菜と発酵乳の同時摂取は、健常人の食事由来カロテノイドの血中濃度を有意に高め、吸収性が高まることを明らかにした。同社では、発酵乳が、野菜由来のカロテノイドの吸収性を高める新たな手段になることを示しているとしている。

（冒頭の図：同社リリースより）