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改正特商法「電子メールによる契約」がアダに~参議院(中)

<消費者委員会20人から34人に増員>
立憲民主党の川田龍平議員はその後、食品安全委員会や消費者委員も束ねる立場にある井上信治内閣府特命担当大臣の責任の重さに言及した。もはや消費者委員会は消費者庁に乗っ取られたのではないかとの懸念を示した同議員は井上大臣に対して、消費者委員の組織体制について質問した。

井上大臣の答えによれば、設置当初の2009年当時と比較すると、今年度は定員2人から14人に増員。政策調査員を加えた実員は20人から34人に増加したという。また、予算は消費者行政全般に対する監視・調査審議のために必要な運営経費を中心に、オンラインでの会議の開催、消費者団体などとの意見交換を実施するために必要な経費も含め、1億3,200万円を確保していると述べた。「これでじゅうぶんか?」との川田議員の問いに対しては、「人員、予算において引き続き努力する」と回答するにとどめた。

<消費者庁200人から380人に増員>
続けて川田議員は、消費者庁の体制について質問した。井上議員は、09年の消費者庁発足以降、約200人から約380人に増員。予算については、約90億円から約120億円に拡充していると答えた。そして、「デジタル化の進展をはじめ、消費者を取り巻く環境が常に変化多様化するなかで、消費者庁としての役割をしっかりと果たせるよう、引き続き必要な体制の充実や予算の確保に取り組む」と補足した。

<突如持ち出された電子交付の条>
ここで川田議員は「待ってました」とばかりに、改正法案の中身について次のように切り出した。少々長いが、大事な箇所なので要約引用する。

「当初想定されていた改正案には、消費者側、事業主側、有識者ともほぼ異論はなく、円満に提出をされ、通例通り全会一致で可決されることが見込まれているにもかかわらず、突如、契約書の電子交付が加わったことで流れが変わった。電子交付は、消費者庁が消費者保護の立場から頑として受け入れてこなかったものを、今回はあろうことか、大臣自らが指導して導入に乗り出した。衆議院では問題意識が共有され、いかに消費者を守るか、ギリギリまで協議が続けられたが、最終的には電子交付の規定そのものの削除は受け入れられず、修正は、施行期日を遅らせ、かつ見直し規定を設けることになった。
衆議院の修正案賛成、原案反対と、評決態度は苦渋の決断だった。電子交付の範囲の拡大については、大臣、消費者庁が自ら申し出て法案化に至ったもので、今回の最大の争点となっている。衆議院における審議を経て、参議院本会議の趣旨説明などのこれまでの質疑を経て、これほど懸念されている理由について、大臣としてどう理解されているのか?」

対する井上大臣の答弁は、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けて新たな日常が模索されるなかで、経済社会のデジタル化は必要不可欠となっている。そのような状況下において、消費者の利便性の向上や消費者利益の擁護を同時に達成していくために検討を行った結果、紙での交付を原則として、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面の電磁的方法による提供を可能とする改正を行うこととした。既存の制度を見直す際には、常にさまざまな意見や、場合によっては懸念があり、制度改革に当たっては、さまざまな意見に真摯に耳を傾けながら行っていくことが重要であると考える。今回の詳細な制度設計にあたっても、さまざまな意見も十分に考慮しながら、丁寧に検討していきたいと思う」と、これ以降も、早送りにしたいくらいに似通った答弁が政府側から繰り返されることになる。

川田議員は、法案の可決に向けて最大の争点となっている契約書面の電子交付について整理したいと前置きした上で、書面による交付が要求している契約について質問した後、交付すべきとされる書面のフォントのサイズや色などの細かい指定について、どのような内容がどのような趣旨で、何により定められているのかを質問した。
消費者庁の高田次長は、「契約書面には法律および施行規則により、事業者の名称・住所・電話番号、購入した商品の種類、販売価格などの記載が義務。また、施行規則でクーリングオフが行使できることを容易に認識できるように赤枠の中に8ポイント以上の大きさの赤字で、クーリングオフに関する事項を記載すべき」と答えた。

この後の質疑と答弁について、以下に要約紹介する。

川田議員「デジタル交付の場合もその契約について書面を交付すべきという趣旨は変わらない。積極的な承諾を得られたからといって、単にA4判で用意していた書面をPDFにして提供するという対応でも十分なのか? どのような形にするか、今後、施行までに慎重に検討がなされる必要があるが、現時点でどのような工夫を考えているか?」

高田次長「今回の制度改正は社会経済のデジタル化をさらなる消費者の保護につなげることを図りつつ、電子メールなどにより必要な情報を受け取りたい消費者のニーズにも応えるためのもの。このため、今回提出している改正法案においては、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に電子契約書面等の電磁的方法による提供、例えば電子メールでの提供を可能とする制度改革を行うこととしている。改正法案が成立した暁には、消費者団体などの意見を十分聞きながら、消費者の承諾の取得の実質化や電子的方法の具体的内容などについて法律の施行までの間に、政省令などの策定過程において適切な制度設計を行う」

川田議員「現時点ではまだ考えていないということのようだが、契約書面等の電子交付において、書面交付義務の場合と同等の消費者保護機能を担保できるかどうかが重要。詳細な制度設計は法案成立後の政省令で規定することになるとのことだが、衆議院の委員会審査において消費者庁からオンラインで完結する分野は、電子メールで、それ以外のものは当面、紙で承諾を得ることなどが考えられると、紙の書面で承諾を取った場合、その承諾を取った旨の控えを消費者に対して渡させる旨の答弁があった。
契約書面等が電子化されても、承諾の機会が書面として残ることで家族はヘルパーと第三者により、契約事実の発見につながると考えられるので、承諾の控えの趣向は確実に担保されるべき要件とすべき。この点も、政省令等に掲載という認識でよろしいか?」

高田次長「承諾の取り方について、消費者利益の保護の観点から、口頭や電話だけでの承諾は認めないこととしているなかで、電子メールなどの電子的広報か紙で承諾を得た場合のみ認められることが考えられる。その際、例えばオンラインで完結する分野は電子メールで、それ以外のものは当面、紙で承諾を得た上で、その機会を消費者に施行することも考えられる。
いずれにせよ、法案成立後、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けると共に、消費者相談の現場にいる相談員から丁寧に意見を聞いて、消費者の承諾の実質化や電子的方法による提供の具体的広報のあり方を検討していく」

川田議員「私が今回の法案の関連で大きな問題があると思っているのは、スマホを介した契約。問題点は大きく2つある。1つは、いちどに閲覧できる情報量が限られているため、契約の全貌を的確に理解することが、PCの画面、パソコンの画面や書面と比べて困難であること。もう1つはスマホで完結する契約については、通常のパソコンの画面を介した契約にも増して、契約者以外の人が契約の存在を知ることが困難になるということ。
スマホには、あらゆる個人情報が集約されており、家族であってもプライバシーがあり、スマホを勝手に見ることはなかなかできない。メールやSNSの内容まで共有できるかというと、それは無理な話。このような問題点は、今でもインターネット取引全体に見られるもの。これへの対応が不十分なまま、契約書上のデジタル化を進めるのは、新たな被害者を生み出すことに直結するのは明らか。このような問題点についてどのように認識しているか?」

高田次長「書面交付義務は、消費者保護の観点から重要な機能になっており、電子的方法での提供を可能とする場合においても、紙の書面と同様、一覧性を保ったかたちで閲覧可能である必要があると考えている。
具体的には、電子メールでPDFファイルを添付する方法などに限定するなど、紙での書面交付と同様の機能が維持できる方法とすることが考えられる。いずれにしても、オープンな場で広く意見を聞きながら、専門家の意見も聞いてより良い制度設計のあり方を検討していく」

川田議員「今回議論となっているクーリングオフについては、そもそもが周知不足ではないかと認識している。対面の販売であっても、クーリングオフの告知はおまけのような扱いになっているように思う。真っ当な商材を扱っている事業者であればクーリングオフの規定は恐れる必要はない。クーリングオフが適用対象となる契約全てについて、必ず目に入る位置に大きく表示するべきではないか?」

高田次長「クーリングオフは、契約の申込みまたは締結を一定期間内は、申込者等が無条件で契約の申込みの撤回、または契約の解除を行うことができるという消費者にとって重要な制度。今般の電磁的方法の承諾の取得に当たっても、そういうことがきちんと説明されるような制度設計にしていきたい」

川田議員はこの後、預託商法、あるいは詐欺的定期購入商法のあり方について質問を続けたが、ここでは電子メールにおける契約のあり方にスポットを当てているために割愛する。
同議員は、経済的な消費者被害は家庭の破綻も招きかねない。消費者被害を防止するというのは大前提の話。消費者の利便性を極端に重視して先走ることがないように厳格な運用を図ってほしい、と述べて質疑を締めくくった。

(つづく)

【田代 宏】

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