ネットおかやま、差止請求訴訟で勝訴 岡山地裁、グレースの「不実告知」を認定
適格消費者団体の(特非)消費者ネットおかやま(以下、ネットおかやま/岡山市北区、河田英正理事長)と通信販売会社㈱GRACE(以下、グレース/東京都新宿区、江頭竜輔社長)が争っていた裁判で、岡山地方裁判所は18日、ネットおかやまに勝訴の判決を言い渡した。
この裁判は、健康食品『麹の贅沢生酵素』、『FLORA FURORA』を販売していたグレースが、代金の未納がない消費者に代金の請求を行っていた行為に対し、ネットおかやまが「代金の請求を行わないこと」、「被告の代理人に対して、代金の未納がない消費者に対して代金の請求を行わないように指示すること」、「すでに請求した消費者に対して代金の請求が誤りであることを通知すること」――の3点を求めた不当勧誘行為差止・予防措置請求訴訟。
争点となったのは、消費者契約法第4条1項1号の規定にある「重要事項について事実と異なることを告げること」(不実告知)を不特定多数の消費者に対して行う恐れがあるかどうかに絞られた。同法では、不実告知があれば消費者は契約を取り消すことができる。
グレースは2019年12月頃から2022年10月頃までの間、同社の商品の定期購入を解約し、すでに代金未納がない消費者1,549人に対して代金未納があるとして請求を繰り返し行っていた事実が認められている。
裁判所はこれらの事実を重く見て、「被告(グレース)が、この勧誘を行っていた期間は少なくとも3年弱と長期にわたっている上、被告は、不実告知はないなどと事実を否定していることからすれば、被告は、同様の行為を行うおそれがあると認めることができる」(原文ママ)との判断を示している。
また、「被告は、弁護士との間で締結していた債権回収業務委託契約を解約しているが、解約日以降も請求を続けており、この事実をもって、不実告知をするおそれがないとすることはできない」、「被告は、解散登記手続を速やかに行うよう司法書士に依頼しているが、4か月近く経過した現在においても解散登記を了したことを裏付ける証拠を提出しておらず、解散する意思を有しているとは認められないから、この事実をもって、不実告知をするおそれがないとすることはできない」(以上、原文ママ)としており、判決ではネットおかやまの主張を全面的に認めている。
ネットおかやまは、同ホームページで「全面勝訴」の報告を行っている。
【田代 宏】
(冒頭の写真:消費者ネットおかやまが公表した判決文)
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