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シルク由来素材 大切に育てて18年
ドクターセラム「大きく売るのではなく末永く売る」

 シルクフィブロインという、シルク由来のオリジナル健康食品素材を取り扱う企業がある。健康食品・化粧品OEMのドクターセラム㈱(東京都渋谷区)。2005年2月の会社設立とほぼ同時に、同素材を配合したゼリー状食品の国内製造とOEM販売を開始した。現在18期目。シルクフィブロインとともに歴史を刻む同社の吉川育矢社長(写真)は同素材の魅力をこう語る。

 「カイコの絹糸を構成するタンパク質の主要成分がフィブロイン蛋白です。それを分離精製したものが私たちのシルクフィブロイン。製法に工夫を凝らすことで、アミノ酸やペプチドには分解されないようにしていますから、分子量として25万、また多孔性の3次元構造を保持している。そのため摂取すると体内で脂質や糖質などを吸着・排泄すると考えられています。研究開発には、シルクの研究で知られる、長島孝行・東京農業大学農学部教授(昆虫機能開発研究室)が深く関わっています。

 原材料販売は行っていません。大手企業も含めて引き合いはあったのですが、お断りしています。シルクフィブロインを配合したスティックゼリーのOEMのみ。最初期に採用してくれたのは、大手エステティックサロン運営会社などでした。現在までずっと販売を続けてくれていますから本当に有難く思っています。

 今年2月、18期目に入りました。おかげ様で、しっかりとした商品説明が可能な販売チャネルを中心に採用されています。体感があるという声を頂戴してきました。また、実際に数値が改善されたという声も。ただ、そうした声ばかりに頼るのでは心許ないと思った。そのため、当初はモニター試験が中心でしたが、医療機関の協力も得ながら、OEM供給している最終商品を使ったヒト試験を10年以上前から行っています。被験者の延べ人数としては、2,000人以上に上るのではないでしょうか」

売り上げよりも息の長さ大事に

 「査読付き論文は、これまでに安全性も含めて3報を発表してきました。最終商品について無作為化二重盲検試験を行い、脂質代謝改善機能などが確認されたことを報告しています。機能性表示食品ですか? 以前は取り組んでいたのですが、今は様子を見ています。というのも、表示を通じて説明するのに適した商材ではないからです。チェーン調剤薬局大手の担当者からもそう言われました。『機能性表示は本当に必要か』と。それよりも、対面販売を通じて、お客様にしっかりとした説明を行うべきだということです。今は私もそう思っています。

 とはいえ、機能性表示食品に必ずする必要が生じるのであれば、そうします。シルクフィブロインは、腎機能に対する有効性も示唆されています。もし、今後、機能性表示食品にしなければならない時がやってくるのだとすれば、改めて臨床試験を行い、腎機能に関するヘルスクレームを行う届出にチャレンジするつもりです。どうなるか分かりませんが、その準備は済ませてあります。

 今後の展望ですか? 正直、売り上げを大きく伸ばしたいとは思っていないです。最近、中国の有力企業から80万包のオーダーが入ったのですが、それはボーナスみたいなもの。もちろん、そのように大きな案件は有難いですが、それよりも、シルクフィブロインを末永く売れる素材に育てたいですし、シルクフィブロインを配合した当社の製品を無くしたくない。私が亡くなった後もです。

 海外から輸入しているシルクの価格が高騰したり、製造に失敗して大量の原料を無駄にしてしまったりなど、これまでに色いろとありました。でも、どれも乗り越えることができている。シルクフィブロインをロングセラー商材にするという目標に、少しずつですが着実に近づいていると思っています」

(聞き手・文:石川太郎)

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