1. HOME
  2. 通販
  3. クレジットカード不正使用と転売問題対策で連携(前)

クレジットカード不正使用と転売問題対策で連携(前)

 決済システムの脆弱性を突いたクレジットカードの不正使用や、通販各社の販促のためのオファーを悪用した転売が後を絶たない。巧妙化する手口を独自の技術で見破り、通販各社の売上向上と消費者への安心を提供するかっこ㈱、O-PLUX事業部長の青木泰貴氏と、EC・通販統合システム開発の先駆者として数多くの通販会社を支援してきた㈱エルテックス、ソリューションサービス本部長の穂坂邦彦氏が、横行するクレジットカード不正使用と転売の現状と、その対策のためのソリューションについて語り合った。

㈱エルテックス 執行役員 ソリューションサービス本部 本部長 穂坂 邦彦 氏
 SEとして入社後、ECや通販システム構築PM/PL経験を経て、『eltexDC』の初期開発責任者として製品を完成させる。その後、『eltexCX』事業を立ち上げ、開発部門長に就任。現在は、システム開発全般の本部長として、人材育成や各種製品・サービスの付加価値向上に努める。

かっこ㈱ 執行役員 O-PLUX事業部 事業部長 青木 泰貴 氏
 大手SIerを経て、現在は同社の不正検知サービス『O-PLUX』の戦略立案や、加盟店、パートナーの開拓に従事。これまでもさまざまなECサイトに対して、クレジットカード不正、悪質転売、後払い未払いなどの対策を提供してきた。より安全なEC市場の発展のため、さまざまな業種や規模での不正検知サービスの普及を目指している。

<通販事業者の成長をバックヤードとして支える>
青木 エルテックスさんはEC・通販統合システム開発の先駆け的な存在ですね。事業内容についてご説明ください。
穂坂 当社は、まだ通販どころかPC自体が黎明期だった1985年に、PCとネットワークをビジネスの世界で活用しようと創業した会社です。ECや通販の統合システムの開発から、それらと連動する業務システムの開発、インフラ、運用、顧客対応、事業の戦略・戦術開発、集客、サイト制作までワンストップでクライアントのビジネス活性化をお手伝いしています。主力商品の1つであるEC・通販統合パッケージ『eltexDC』は、文字通りEC・通販に必要な業務をカバーするパッケージです。受注機能から在庫・出荷・顧客管理まで一貫して提供できるワンストップパッケージです。
青木 通販システムと聞くと、カート一体型の汎用型のシステムから、各社の商品や販売戦略に合わせてカスタマイズするものまでさまざまあります。どこが良くてどこが悪いとかではなく、同業他社も多く競争は激しそうですが、御社が選ばれる理由というのは何でしょうか?
穂坂 当社の顧客レンジは、年間売上10億円~300億円と幅広いです。当社では、パッケージ準拠で使いたいという要望から、本格的にカスタマイズしたいというものまで、各社の事業規模や経営方針に沿った形で、よりベストなものを提案しています。多様な業種・業界への幅広い導入実績が、クライアントから心強いパートナーと思っていただける点ではないでしょうか。とはいえ、この世界は日々進化していますので、私たち自身もクライアントと一緒に成長させてもらっています。

青木 もう1つの主力商品『eltexCX』について説明してください。
穂坂 こちらは、『eltexDC』が取得した受注データを基に、顧客の特性や広告の効果を分析し、顧客満足度を上げるためのフォロー施策や、顧客に合わせたリピート提案などを行う顧客体験最適化ツールです。『eltexCX』のコンテンツから、必要なサービスを選択してセットアップできるため、各社の特性に合わせた導入が可能です。

<不正検知で業績向上に貢献、安心を提供>
穂坂 当社は、クライアント企業の売上を伸ばすための仕組みを提供しています。当社のクライアントから、「顧客が増え、売り上げが伸びると同時に、不正な注文など入ってほしくない注文も増えて困る」という声が多く聞かれます。
青木 確かにそうした声は増えていますね。当社では、独自のロジックで利用者の行動から異常・不正を検知し、新しい手口にも柔軟に対応できる不正検知のソリューションを提供しています。クライアント企業の決済におけるリスクマネジメントの支援を行い、消費者の満足と利益の最大化を両立する提案を行っています。当社の不正注文検知サービス『O-PLUX』(オープラックス)は、名寄せによる不正注文のすり抜けの阻止、デバイス情報の活用、不動産空室情報などの外部データや2万サイト以上に上る『O-PLUX』利用企業全体での不正傾向・情報の一致など、多数の要素による総合判定が可能です。リアルタイムに自動審査が行えるAPI連携から、システム改修が要らないCSV連携まで、顧客のシステム環境に合わせた多彩な連携方法も用意しています。

穂坂 クレジットカードの不正使用の現状について教えてください。
青木 クレジットカードの不正使用による被害額は年々増加しており、2020年は223億6,000万円で過去最悪となりました。この状況は21年も高止まりのまま続いており、カード番号などの情報漏洩が止まらないことが原因と言われています。国際的な詐欺集団による大掛かりなものが大半で、警察を含めその対策が急がれています。
穂坂 コロナによる影響もあるのでしょうか?
青木 コロナで通販のニーズが高まったことで、利用者の絶対数が増えたということはあると思います。それともう1つ、必要に駆られて通販ビジネスに参入してきた新規参入事業者も増えていますので、そうした通販ビジネスに未熟な事業者が狙われているという側面もあると思います。

穂坂 転売の増加も通販会社を悩ませているようですが?
青木 実は、クレジットカードの不正注文に匹敵するほど深刻な状況なのが転売です。手口は、例えば健康食品の通販会社を例に挙げます。商品のPRや新規顧客獲得を目的に、「初回無料」、「初回半額」(お1人様1回限り)という施策を目にすることは多いと思います。こうした初回限定品を、複数人物になりすまして大量に購入し、CtoCと言われるフリマアプリなどで販売し利ザヤを稼ぐというものです。通販会社からすれば、当然優良な顧客になりませんし、正規品より安く販売されてしまうため、本来優良な顧客になり得た顧客も奪われてしまいます。また、保存状態や配送状態が悪いものもあり、消費者の不信感につながるという悪循環となっています。
穂坂 商材はさまざまですが、インターネットが身近になり始めたころから、オークションやフリーマーケットで転売するという問題はありましたので、ここ数年の間に、転売のハードルが下がり深刻度が増したということですね。

(つづく)

【文:藤田 勇一】

(冒頭の写真:㈱エルテックス 執行役員 ソリューションサービス本部 本部長 穂坂 邦彦 氏)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ